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今いる場所を好きになると、自分のことを好きになる おわら風の盆を見て考えたこと

富山市では、毎年9月1日から3日間、富山市の中でもかなり山の方の八尾町という場所で、市内最大のお祭り「おわら風の盆」が開催される。過去には、この八尾町、「おわら風の盆」を題材にして、小説やNHKドラマが作られたりして、全国的に知っている人は知っているお祭りだ。私は、富山に移住した2019年に、「おわら風の盆」を題材にした小玉ユキさんの漫画『月影ベイベ』の存在を知り、全9巻を購入し、それ以来、毎年この時期に読み返す。


「おわら風の盆」は、江戸時代の1700年頃から約300年も続く伝統的なお祭り。このお祭りの210日前後は台風が日本列島を通過する時期で、昔から収穫前の稲に台風被害が及ばないことを願う豊作祈願の風鎮祭の意味があるそう。

八尾町の人口は約5500人であるが、このお祭り3日間に訪れる観光客の数は、その年の開催する曜日(平日開催なのか、土日を含む開催なのか)や天気などにも左右されるが、約20万人。普段の人口の約40倍近くの観光客が訪れる。古い街並みの小さな八尾町がこの3日間だけは観光客でいっぱいになる。

当然、富山市内から観に行くのにも、アクセスの仕方をきちんと考えたりしなければいけない。普段は閑散としている新幹線富山駅も電鉄富山駅も、普段の富山では観たことのないような人、人、人の行列になる。

それでも、観にいくかどうか。

「おわら風の盆」が大好きで、毎年、楽しみに行っているという人もいる。長年富山市に住んでいるけれども、一度も行ったことがないという人もいる。ケーブルテレビではずっと中継をやっていて、踊っている様子は自宅からも見ることができる。全く興味のない人もいる。それはそれでいい。それぞれの価値観だから。

でも、でも、でも、、、富山市に住んでいるならば、やっぱり私は一度は行ってみたほうがいいと思う。

「富山にはなんもない」よく聞く言葉だ。なんもない、って何?なんでもあるよ。確かにデパートは1つだけだし、買い物といえばファボーレというショッピングセンターくらい、有名な遊園地があるわけでもなければ、大学の数だって限られている。でも、暮らしに必要なものは揃う。そして、他県にはない美しい立山連峰の眺めや、魚介類の豊富な富山湾があり、美味しい水と綺麗な空気がある。なんもない、ってどういうこと?

他県から移住してきた私はそう思う。

いや、「なんもない」と行っている人も、富山はそれほど嫌いでもなかったりするのだ。ただ、そう言いたいだけ。

自分の魅力を知っていて、それを適度に上手にアピールすることができる人は魅力的だと思いませんか?若くても、歳を重ねていても、痩せていても、太っていても、健康でも、病気を抱えていても、人にはそれぞれ魅力があります。その魅力を自分自身が知っていて、生かしながら生きている人は幸せを感じる時間が長いでしょう。そして、その幸せは他人にも伝わります。だから、他人の目から見ても、自分の魅力を知っている人は魅力的に見えるのです。

それは、自分の今、いる場所の魅力を知っているかどうかということと繋がります。自分がいる場所が嫌いな人は、自分も嫌いな人でしょう。なぜなら、自分がいる場所は、少なくとも大人になれば自分が決めているのです。どんなにしがらみや仕事がその場所にあろうとも、どうしても自分にはその場所が合わないと思って行動する人は、とっくに引っ越しています。今、いる場所は自分の選択の結果です。その結果が気に食わないという人は、自分の選択が、ひいては自分のことが気に食わない、嫌いということだからです。

自分の住む場所を知ろう。自分の住む場所を好きになろう。それは、自分自身を知り、自分自身を好きになることだから。

私は今年は、初日の9月1日に、美しい街並みで有名な諏訪町の踊りを中心に楽しんできました。

「おわら風の盆」には 実際に行った者でなければ わからない魅力があります。 小さな子どもたちの踊り、 高校生の踊り、 20代の踊り。「おわら風の盆」では公式には25歳で踊り子は卒業です。小さい頃から練習してきて、25歳で集大成を迎える。卒業間近な踊り子たちの踊りは、それは目を見張るものがあります。最後の歳を迎える踊り子の思いはどんなだろうかと想像すると胸がいっぱいになります。 踊り手を見つめる八尾の大人たちの眼差しの暖かさ。 胡弓を唄を三味線を奏でる人たち。 若き人も、 長い間、このお祭りに関わり続けてきた人もいます。 この時間の流れを、感じること。 過去、現在、未来が溶け合う瞬間です。


胡弓の調べ、歌、三味線。 おわらの音楽は、なんとも穏やかで伸びやかで癒されます。


私は耳が敏感で、多くの日本のお祭りは音が大きすぎてうるさく感じてしまい辛くなることが多いのです。でも、「おわら風の盆」の音はあくまで癒される音。観客も、踊りが始まると話すのをやめて静まるのですよ。こんなお祭りは滅多にないと思います。

だから、「おわら風の盆」に行くと帰ってきてからも、そして寝ている間も、翌朝も、心地の良い余韻が続くのです。 目をつぶると脳裏には、穏やかな胡弓と歌と三味線の音が聞こえる。しなやかな指先、柔らかな、かつエッジの効いたおわら独特の上品な踊り。 この余韻が醍醐味かもしれないと思います。

一度は来られ、風の盆。

https://x.com/toyamalove111/status/1830191801816555910


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