性教育、SM、QOL、人生……
セクシャルなことを話すつもりなので、苦手な人は注意して頂きたい。
最近、SMについて少しずつ勉強している。
自分がそういうものに親しみを覚えるのだが、世間一般では良くてイロモノ扱いだし、自分でも自分をマトモだと思いにくい。
「そんなことないよ、誰にも好きなやり方を選ぶ権利はあるし」みたいなことは言われるが、じゃああなたは自分のパートナーが「実は隠していたんだけど」と突然SM愛好家であることを告白してきたらどういう反応をするのだろうか。どうも慰めようとして墓穴を掘りまくる人が多い。わからんことはわからんと言ってくれたほうがいい。かえって傷つけることにどうして気づかないのだろう……。日本では色々わからないからと質問することを失礼とか傷つける行為だと誤解している人だらけでびっくりするものだ。知ったかぶりされるほうが何百倍嫌か。と言って、ズケズケした聞き方しかできない人も困る。LGBTの人などにも同じ態度で話してしまっている人を見かけるが、自分がされる立場だったら、と想像する練習をして欲しくはある。何も特別な性的嗜好(指向)とされていなくたって、自分の性生活について聞かれるなら、繊細な注意をしてもらいたいのが多数派であろう。いきなりベッドルームを開けて入って来られて「ふーん、これ何?」なんて言われたくないでしょうに。それを擬似的に体験させてしまうのだ、言葉というものは。
さて、豪快に愚痴に逸れる展開をしたので本題。
私は数か月前この本を購入した。
私の妄想、かなえて下さい・・・。 (SANWA MOOK)
読み込むと驚くが、非常に良い本である。SMに興味がなくてもできれば手に取ってもらいたいくらいだ。女性が書いた、女性の性にとても踏み込んだ解説を丁寧に慎重にされた本で、日本ではこういう書籍に出会うのに骨が折れる。男性が書いた男性向けの抜き本みたいのが本当に多い。
神田つばきさんは「エロライター」として活躍されていた(る)ので、知っている人は意外と多そうである。Twitterなどで偶然相互フォローしてから色々知った私こそ新参者だ。妙な言い方だが「とてもきちんと話してくれる」方で、とても感銘を受けた。こういう方は本当に尊敬できる。相手ときちんと話すことを知らない人が多いのだ。
この他の著書『ゲスママ』はまだ読んでいる途中だが、私などは親しみに近いものさえ覚える。
この人の文章はあちこちネット上にあるのだが、勉強になる。SMばかりではないし、SMを誤解している人達に読んでもらえたらいいなとは思う。が、私らしくもっと深刻なことをつくづく思う。
世に出回るセックスの知識、情報のうち、私がチェックするのはそもそもがSMのものだけだが、SMが危険を伴うものであるせいか、少し慎重さが必要なだけで、かなり良心的な情報が多いように思う。これをなぜ学校で教えないのだと思う内容も大変多いのだ。SM知識はともかく、「こういうことをしてはいけない」「女性にこういうことは言ったりしたりしてはならない、それは女性には生涯を棒に振りかねないリスクを負わせるのだ」逆に「こういうことを積極的に考えましょう、しましょう」みたいなことが理解できる。高校生くらいになったらこれは大人から教えなければ、無責任極まりない。
日本の性教育が悲惨なレベルで貧弱であることを、私はあまり知らないできた。私はある程度の性教育を小学生時代に受けられたからである。
避妊の知識すらあまりない若い人たちが多くて恐ろしい。何故必要なのかということに実感がないことも含む。
私が育った地域は、性教育のニュース記事があると大抵出てくる所である。それほど、性教育が喫緊の課題であると考えられている訳である。
治安は良くない。出身中学は不良ばかりだった(あまりヤンキーとは言われなかった)。十代の親というのは滅茶苦茶多いし、残念ながら事件も多いように見える。私も危険な目にはあったし、いつも強い警戒が必要だった。
前提として「大したこと」だと思われていないのだ。人生には基本的に欠かせないことであるのに。
日本の教育の考え方はものすごいことになっている。性教育をしないほうがいい、何故なら教えなければ余計なことを知らせないことになり、淫らな行為に走るのを防げるから、らしい。
どこに学校の性教育のせいで好ましくない淫行に走るバカがいるのか……。そんなことをさせないために教えるのだ(もっともセックスをすること自体が全部却下という思考停止っぷりな人達の「好ましくない」は何だろうか……)。教育が不足でいい加減で中途半端だからだ。何もセックスの行為そのものを教えるだけが性教育ではなく、その周囲のことがほとんどだろう。第一、必要な言葉を使うなとお達しがあるのだそうだ……。
英単語を使わずに英語を教えろというのと同じだろうに。
少子化対策とかいいんですかね。女は機械ではないので、生むだけでは済まないんですよ……
生理が毎月あって、ほとんどが酷い痛みなどの不調を伴うもので、妊娠以外では止まらない(ピルは普通、異常な生理の治療薬である)。
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、とても精神状態が不安定だし、10か月も自分以外の人間がお腹の中にいて栄養もそちらに優先的に取られるし、自分1人の体調管理だって大変なのにふたり分になるし、病気ではないが同じようなものである。当事者以外が「病気ではない」などと言うのは、基本的に自分が助けたくない言い訳であろう。言う必要のないことだ。「病気ではないが周りが協力すべき」という文脈以外では。
私は妊娠も子育ても経験していない。大した知識はない。だがこの程度のことでも男性は知ると驚くのだ。そしてそういうのは私がたまたま行き着いた、スケベな人達向けの娯楽本に見せかけた本から偶然知ったなんてことが多いようだ。
実地でそれぞれが勝手に学ぶことになるということである。私とてそうである。長い間副交感神経が優位になりきらないために睡眠障害が酷いが、そういった仕組みを知るきっかけを得たり、かなり危険をおかしていたことを後から知ったり、こんなことは十代で学ぶ権利があるし、思春期の子達に教えることはそもそも大人の義務であろう、ということを今頃主治医や、ネットで知った人の著書から教わったりしている。これまで1度しかハッキリ襲われないで済んだのはもう奇跡と言っていい。無知であることは損害しかないのだ。20年前に知っていたら恐らく人生は相当違った。もう過ぎたものは取り返しがつかない。数年前に襲われたことも、初めから防げた可能性が高い。知識がないばかりに機会を損なったり、しなくていい経験をしまくってきた。私は性生活の契約である結婚もしていないが、すべてでなくても相当部分、ただ知らないことが多かったから間違った選択をしていたのがわかって来て、悔しく思う。これで子どもが増えたら不気味であるし、いいことなどなかろうなどと感情的に思えてしまう。
QOLという言葉があるが、性の知識がないことは、間違いなくQOLを著しく下げる。性差別が横行するのも当たり前である。
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