一期一会(みかん味)
和歌山の山奥旅館修行が始まり、3週間ほど経った。
仕事の内容はほぼ覚え、効率的に動けるようになったのと、体が今の生活リズムに慣れてきたため最初に比べあまり疲れにくくなってきた。
それでも5時起きはキツいため、常に寝不足気味。
1日休みがあっても洗濯したり、ご飯作ったり、買い物したりしてると眠いことも忘れて、気がついたら夜になってる。
自分はこの仕事の期間が決まっているからまだいいが、これを長年続けているベテラン仲居さん方は本当にすごい。
もともと1ヶ月お世話になる予定だったが、事情により2ヶ月お世話になることになった。
寂しい気持ちもありつつ、早くみかんの収穫をしたいという希望に板挟みにされている。
ここの旅館は世界遺産が近くにあるため、外国人のお客さんが半分以上。なんなら外国人しかいない日もある。
そのため英語での接客をしなければならない。
大学で1年半ネイティブの先生のもと、英語をみっちり勉強したはずだが、今の英語力をみると受験終了時の方が間違いなく高かった。
そんな貧弱英語力で高級旅館の接客をしていいのかと初めは不安しかなかった。
しかし人間やってみると意外となんとかなるみたい。
拙い英語でもお客さんは頑張って理解しようとしてくれるので、案外意思疎通が図れる。
そして何より救いなのが、ここのお客さんみんな優しい!!!
料金が高いためいわゆる富裕層っぽい人が多く、みんな余裕がある。
小さな失敗をしても全然大丈夫よ~って感じで笑ってくれる。
その優しさに何度救われたことか。
この仕事はなかなかきついけれど嫌にならないのは、人の暖かさに触れられるからなのだろうとつくづく感じる。
お客さんはもちろん、従業員の方々も本当に優しい方ばっかり。競馬、パチンコ、お酒大好き、食べ物たくさんくれる、よくしゃべるおじちゃんたち。
休憩中ぼけーっとしながら、毎日炊事場開催される井戸端会議に耳を傾けると、笑顔のお裾分けをしてくれるおばちゃん(お姉さん)たち。
たまに訛りが強すぎて何言ってるかわからないけれど、笑顔の絶えない素晴らしい環境。
田舎は排他的みたいなことを聞くけれど、ここに限ってはそんな言葉とは無縁らしい。
旅館から車で1時間くらい山を降りるとそこそこ栄えた町に出られる。
そこにはイオンやら、無駄にでかい無印良品やらが鎮座している。
そしてそのあたりは海沿いなので海が見られる。
海無し県長野に生まれた身として、海を見るとどうしてもテンションが上がってしまう。
せっかく海沿いに来たのだから砂浜を歩かないとという使命感に駆られ、降り立つ。
しかし、日差しの強さ、靴の中に砂が入る、波音うるさい、そもそも水怖いなど色んなマイナスが頭をよぎり、5分もたたずに退散。
やっぱり海より山、川派だなぁ~と痛感。
爆盛り洋食屋でエビフライをたべ、大量激安のみかんを買い、旅館に戻る。
途中の山道はみんな飛ばしまくるので、何度も道を譲りながらのんびりドライブ。
そろそろ観光しないと。
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