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「シャポシュニコワは、いつも哀しい瞳をしていた」Vol.5

~ラジオドラマ風、ボーダーレスなSTORY~
Vol.5 Final Answer


#創作大賞2023 #恋愛小説部門

Vol.5

「そうか!あの時はずっとナツミと居たんや!」

 私は突然思い出した。
 というより、気が付いて腑に落ちたのだ。〈ハタと膝を叩く〉とは、このことだ。今日も、夕焼けビーチを窓から眺めながら、晩御飯を作っていた。
そしたら、突然ひらめいた。


 使わなくなった商業施設のコテージをDIYしたこの住処。居心地は悪くない。日本でいう〖古民家リフォーム〗と、似ている。買取だ。

 

 このサイパンのロコビーチへ再び戻った初日に、ベンさんご夫婦が、口を揃えて私に告げた言葉。
”Why❔ he looked in lovers mode.”

 不可解だった。
 ベンさんの眼には、クヒナさんの眼にさえも、ホントに私たち夫婦が、恋人同士みたいにラバーズ・モードに映ったのか❓と。

 自分にとっては〈住めば都〉どころか、人畜無害なダンナが生理的嫌悪にまで気持ちが飛躍して、その街から飛び出した程の険悪な仲。
 なのに、そのことに気づかぬ程スキスキモードな鈍感なヤツ❓。。。なんて悲しい現実だ。

 と、思っていたが、違う。
 ベンさんご夫婦が観ていた、ラバーズモードの彼とは、ナツミのことだったのだ。
 同じ、あのダイナーで眺めた二人の様子でも、ベンさんfamilyにはナツミの方が本当のWife&Husbandに見えたのだ。


 日本人的感覚では、できない発想だった。。。
 私はこのサイパン島生活にも馴染んで来た自分に、気づく。いくら外国語脳で生きていても、純粋日本育ちでそれこそ〈住めば都〉で日本の暮らし感覚に馴れているから、その発想は出来なかったのだ。


 それじゃあ、ホントに入籍していたダンナは、どんな存在に診えたんだろう。。。❓
 
 私は、好奇心が湧いてきて、明日ベンさんfamilyに訊いてみたくなった。思わず、クスッと笑った。

もう、夕陽が悲しげには、映らない。


時間が止まった夕暮れ


 あくる日、現地で買った中古の2seater を走らせ、今度は夕方からの時間にクヒナさんのダイナーへ向かった。

 例の「つとむ伯父さん」こと「Uncle Taylor」さんからの手紙を持参で。

 ビーフ・ストロガノフのメインDishと、カンパリ・オレンジと、カルパッチョ風シーフード・サラダ、ジェノヴァ・PIZZA。 
 SAIPANらしくないメニューも、クヒナさんの手料理は、”とってもYummy🎵 なのが、うれしい。


 昼間は、買い出しか海釣りか畑にいるベンさんも、家族のようにダイナーのメニューを食べ、なぜだか沖縄のオリオンビールを飲む。

 息子のティオ君もだ。high schoolへ通いながら、ティオ君は観光向けビーチでLIFESAVERを仕事にしている。
 父親の事業は本当は、レジャー・イベント開催やマリンスポーツの企画主催をしているのだ。
”けど、もう年老いて潜れないし、大きな観光企業に食われている”と、話してくれた。
 いずれ、経営学も学んで、跡を継ぎたいとも口にした。

ティオ君は、カタコトなら日本語も話すので、訊いてみた。
「覚えてる❓初めてここに来た時の、私」
ティオ君が頷く。
「どっちがミサキのmarriageな相手だと感じた❓子供の時に。
 サングラスかけてwavie hairで声が高いkeyの人❓
 それとも、髪が短くってMaline Sports の体験パックをペイした人❓」
 ティオ君は少し首をかしげてから、笑顔を向けた。
「Off course!サングラスが似合う彼。鼻がこ~んなで」

 ぁ、やっぱナツミだぁ。。。
たしかに彼は鉤鼻で魔女鼻だ。

「だけど、、、もうひとり、分からない。ここに来てる、はず。
SCUBAの申し込み、してるなら」

「そうね、来てた」
「覚えてない」
「Í see. Thank you so much💛」
(わかった。とっても感謝💛)


 同じ質問で、ベンさんとクヒナさんにも尋ねてみた。別々に。
 結果は、三人共同じ答えで、どうやらホントにナツミがhusbandだと感じてた様子。
 「一緒に滞在してるんだけど❓」
と訊いてもベンさんは、旅行会社の添乗員だと思っていたそうだ。現地に滞在中は好きに過ごせるconductorかと。


 だよね。。。気持ちがそのまま出ていたんだな。。。
 
 
見合い結婚同然の人よりも、偶然再会の元カレの方が、まだ『男と女』に見えて、しかも新婚夫婦っぽいなんて。

「They said ; Fact is stranger than fiction.….」
(事実は小説より奇なり、かぁ。。。)
「That's true.….」
(それが真実だなぁ。。。)
感慨深くため息をついた、ベンさん。


 つとむ伯父さんからの手紙を見せて、私は伝える。
「 I found a clue to the mystery of Uncle Taylor's message.」
(謎が解けたの。Taylorおじさんのメッセージ)
「Really❕❔」
(ほんとに!?)
 私は大きく頷く。
「His message meant, he wished me to love both men.
Two guys have been in love with each side, yet.

(彼のメッセージは、こういう事。二人共愛してやってくれ。二人の男はそれぞれに今でも愛しているんだ。)

He told me;
”And also, YOSHIHARU and your partner are cousin-in-low.”

(彼は、こう伝えたかったの。”しかも、義治クンと君のパートナーは、僕を介して義理の従兄弟同士なんだ。”ってね。)

My boyfriend YOSHIHARU said;
Uncle TSUTOMU was dead once.
But this man wasn't finished and lived in Brazil.
In brazil life, the man called them Uncle Taylor.
Uncle Taylor is the father of my ex-boyfriend NATSUMI.
So, I tried to contact NATSUMI yesterday.
That mystery was cleared for us.
Uncle Taylor wishes could become a love actuary.
Yes, we can 🎵」

(私のBF義治クンが、つとむ伯父さんはもう亡くなられてるって言ってた。)
(けど、生きててブラジルに住んでたの。
ブラジルでは、Taylorおじさんと呼ばれてて、元カレの父親なんだって。)
(だから私、元カレに連絡とったの、昨夜。)
(私たちの謎が解けた。Taylorおじさんの願いは、私達の現在の愛の現実なのよ。この三人なら、出来る 🎵 )

「No way! Unbelievable!」
(まさか! 信じられない! )
ベンさんが、頭を抱えて驚愕した。
「What a foolish! How do you think to love both guys with just balance? 」
(なんてこった!二人共同じだけ愛して行けるだなんて!?)


私は、落ち着いて微笑みながら、日本語で応える。
「大丈夫。今まで、ずうっとそうやって来たんだから。
悩みながら、葛藤しながらも、出逢いからずっとこうして
今まで来てしまったの。
だから、これからも、あるがままよ❓」



「あの結婚は、NOカウントね!?
ベンさんfamilyにも夫婦って判らなかった人だもの。
だから、これからも二人だけ、愛して行く。
その他の男性には、恋愛感情は生まれなかった」


 私はあらためて英語に直して簡潔に伝える。
「 I could clear against that tight situation, until today.
I will. Maybe I'll be able to do as let me be, from now.」

(今日までずっと困難を乗り越えられた。
やってみる。多分、今日からあるがままの心に素直なら、叶うと思う。)


 その瞬間に、ティオ君が私のテーブルへ男性を1人、連れて来た。
 義治クンだ。


ーーー to be continued.


ーーー梗概ーーー
 ラジオドラマのシナリオ風に、綴ってみました。サイパン現地での会話は、同時通訳的に和訳も付記しています。
 街中では多言語が氾濫。宗教や民族文化でも、男女間でも年齢や環境でも、個々に多種多様でボーダーレスな社会性。
 現地滞在生活の中で回想を繰り返し、恋愛観結婚観や家族の在り方が嚙み合わない婚姻によって、真実の人生のパートナーを見失っていたと気づく。
 ラストに『謎のMESSAGE』が腑に落ち、永らくの呪縛『シャポシュニコワ』も思い出さなくなっていた。
 二人きりのSWEETS物語ではなく、社会とは切り離せない生活の現実として、読後に何か葛藤や思索が解ければ清々しくって嬉しいです。
                      ーーー梗概 了 ーーー 


Vol.1➡ https://note.com/namorada0707/n/nd32fd6393900

Vol.2➡ https://note.com/namorada0707/n/n49eacd3e4506

Vol.3➡ https://note.com/namorada0707/n/n017ed645caa8

Vol.4➡ https://note.com/namorada0707/n/n0b0b17845d9d

Vol.6➡ https://note.com/namorada0707/n/nb99c3e44241c







 
 



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