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バイバイの話


今週末はいよいよ文フリ大阪ということで、今回出す本の話をしようかと思います。これを見て興味を持ってくれる人がいたらいいなという思惑半分、たぶんしばらくするとどんな思いで書いたのか忘れると思うから、その時のためにという気持ち半分で書いていってみます。今回は、新刊の「バイバイ、メランコリー」についてです。


新刊「バイバイ、メランコリー」A5、42P

❁ あらすじ
就活中の女子大生・花香は、雨宿りのために入った古本屋で1冊の本を手にする。家に帰って読んでみると、そこには手紙が挟まっていて……。たまたま手にした本から始まった、顔も知らぬ女性との文通のお話。

これまでに大学生を主人公にしたのは、おそらく「麦茶の底にたまるもの」だけだと思います。それ以来なので、3年ぶりです。今回就活生を主人公にしたのは、去年自分が就活を経験したことがきっかけです。その時感じた思いや考えを形にして残したい、そんな気持ちで書きはじめました。なので、花香はこれまでの中で一番私に近い登場人物になっていると思います。その分、どう終わらせるか悩みに悩み、1年以上たった今、やっとこうして形にすることができました。

改めて思えば、就活って何なんでしょうね。高校入試、大学入試、期末試験、……試験と名のつくものは様々受けてきましたが、自分自身がまるごと評価対象になるのは、これが初めてだったように思います。高校受験は、面接があるといっても試験の点数さえとれていればまず大丈夫でしたし、ほかの試験は言わずもがなでしたから。だからこそ就活では、落ちた時、自分を全否定されたように感じるのでしょう。これまで自分が過ごしてきた20何年間すべて、「君、それ間違ってるよ?」と言われたように思うのでしょう。きっと本当はそういうわけではないし、そもそもそんなこと他人が決めるものではないはずなのに。

自分の思う道を行けばいい。自分の人生なんだから好きに生きればいい。応援歌や物語の中で、そんな言葉を見聞きしたことがあります。聞いた瞬間は、私も自分らしく生きよう!と思うものの、すぐに、でも、そんなこと言われたって……とも思ってしまいます。だって、私は社会の中で生きていて、そこでうまくやっていくためには、世間のお眼鏡にかなうことをしないといけないから。企業受けがいいから、経済学部に行く。そう言った友人を心の奥で笑ったこともあったけれど、それから数年経って、ああ私もそっちに進んでおけばよかったかも、なんて思ったりもして。でも、たとえ就活で苦戦しようとも、やっぱりこの学部を選んでよかった、だって好きだもん、と思ったりもして。そんな、ぐらぐらであっちへ行ったり、こっちへ行ったりな考えを形にしたのがこの作品です。


ここまで書きましたが、なんだか上手くまとめれてない気がします。本の裏話って難しいですね。そして、話を締めるのはもっと難しい。今打ちながら、どうやって終わらそうかと悩んでいます。

本の装丁は、今回も白基調のデザインで、キラキラな特殊紙を表紙に使いました。本を積み重ねた時の背表紙の感じが個人的に特にお気に入りで、キラキラしてきれいなので、ブースに来てくださった時にはぜひ横からちらっと覗いてみてもらえたらな、なんて思っています。

上手くまとめきれませんが、今回はここまでで。次回は同じく新刊の「キスか呪いか」について書きたいと思います。よければ、また覗いてみてください。