漕ぐのをやめたら堕ちる
『3月のライオン』より島田八段の言葉。
高校生のとき、ものすごく勉強ができる友達がいた。
塾が一緒で、帰る方角も一緒だった。
小中高と、いわゆる「勉強」というものに私も頑張ってきたけれど、その子は、手が届かないほど遠くにいて、それなのに努力をし続ける真面目な人だったから、縮まるはずがない差に気づいて呆然とした。
島田八段の言葉は、このときの絶望を思い出させる。
国数英理社の5教科で測られて。
それ以外に認められる道がないと思って。
その道を一生懸命歩いて。
でもどんなに頑張っても前を行く人に追いつけなくて。
本当に苦しかった…。
だから、社会に出てからは、自由になったと感じた。
問題も自分で設定していい。
解決の方法も色々あって自分で選べる。
定量的に評価されることもあるけれど、
定性的な評価も多くて曖昧。
サラリーマンだからか、そこまで"評価"に対する危機感もない。
いつのまにか、ゆるゆる生きるようになって
"ものすごい頑張る"ということはなくなった。
「漕ぐのをやめたら堕ちる」
そんな島田八段の言葉は、
"お前は最近たるんでないか?苦しいほど何かに頑張るってことをしてるかい?"
と問いかけてくるようで、ちょっと背筋がのびる。