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夫の実家で同居した話⑤おばあちゃん

夫の実家で同居する前、夫の実家には、舅、姑、舅の母が住んでいました。
私は、舅の母、夫の祖母が大好きでした。5人の子どもを産み、綺麗好きでした。畑で野菜を作るのも好きで、手帳に植えた日を控えており、去年は今頃植えたから今年ももう植えないといけないと常に気にしていました。俳句を作ったり、教養もありました。おばあちゃんの作った黒豆煮は、今まで食べたことのないような味で、醤油が利いたものでした。

おばあちゃんも私の事を好きだったと感じます。お姑さんが買い物に出かけていない時、私たちはリビングでお茶していろいろ話しました。中学校を卒業してから、グンゼの工場で働いていた話。実家まで歩いて丸一日かかって里帰りした話。昔話をたくさん聞きました。

私が別居する時、家を出る時、「夫婦仲良くするのが一番だから」と言ってくれました。別居してからも、お姑さんが出かけている時を見計らって、電話をかけてきてくれて、「なみささん、元気か?みんな元気にしてるか?今お母さん買い物に出かけてるから電話した」近況を話しました。

おばあちゃんは、昔はお母さんを泣かすくらい厳しかったらしいですが、今は、権力はお母さんに握られているようで、なんとなく可哀そうに感じました。別居する事が決まった時、私はおばあちゃんに「一緒に出よう」と提案しました。おばあちゃんはもちろんノーと言いました。ここには友達もおるから。

おばあちゃんが亡くなったのは、私たち夫婦はまだ別居はしていなくて、家庭内別居の最中でした。98歳でした。おばあちゃんのお葬式には、まだ誰も私たちの仲が悪くなっている事を知らずにおれました。お葬式の間、私たち夫婦の仲が悪い事を知ったら、おばあちゃんは悲しむだろう、ごめんなさいと思っていました。知らないでいてくれて、ほっとした自分もいました。

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