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着物が好きで、着付けの仕事もした話

父親は、呉服屋に勤めていた事があった。

母親は、中学を出て、京都の呉服問屋で、働いていた事があったので、着物、帯の仕立てができた。

そんな両親の影響が大きかった。

大学生の時から、着付け教室に通った。


初めの月謝は安かったが、だんだんと月謝も、
教材も、修了証書のようなものにも、何万円とかかった。
それに、着物も買うようにすすめられた。

なかなか、痛い出費だった。

社会人になって、やめていたが、
結婚して、専業主婦になって、また、通いたくなって、通い始めた。

2年半くらいかかった。

そして、大阪のホテルの結婚式場に、
花嫁の着付け師として、採用が決まった。

花嫁の着付けは、夢だったので、喜んだ矢先、
妊娠がわかった。

迷ったが、出産しても、続けられないから、
1日も行かずに、断った。

その後、流産するのだけれど。

流産して、半年くらい経っただろうか。

夫が「着付けする夢は、どうしたん?」と
聞いてきて、
そうだったと、勇気を出して、

関空にあるホテルに電話してみた。

「着付けの仕事、ありませんか?」って。

今考えても、行動力すごい。

いきなりの電話に、電話口で、店長がどうしようと
戸惑った様子なのがわかった。

後に知ったのだけど、
1ヶ月ほど前に、近くにホテルがオープンし、
何人かがそこで、働くために、やめたため、
人が必要だったらしい。

グッドタイミング。

そこで、1年半くらいは、働いた。
といっても、土日だけのパートだった。

黒留を着せる仕事だ。


花嫁ではないのは、少し残念だったが、
黒留着付け要員は、たくさんいたので、
先輩にいろいろ教えていただいた。

結婚式という、幸せいっぱいの職場だったから、
私も幸せになれた。

ベテランの人の手捌きは、素晴らしい。

腰が曲がった年配の方。
妊娠7ヶ月ですという妊婦さん。
持参された着物より相当太られて、
紐が短い方。

私には、とても、無理だと思う方にも、
「こちらへどうぞ」と、笑顔で、あっという間に、
仕上げてしまう。

特に、着物は、襟元が、命。
結婚式は、一生写真に残るので、
そこは、本当に気をつけた。

楽しい仕事だったが、
夫の転勤で、やめなくてはいけなくなった。


経験もない私を採用していただいて、
本当に感謝している。

店長は、私より2歳上だった。

着付け教室で、2年半習ったことより、
仕事で、数ヶ月、経験した方が、身についた。

お金をもらうとは、こういう事かと思った。

今、結婚式では、着物を着る人が減っているのは、残念だと思う。

この着物は、私の両親が私に買ってくれたものだ。


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