子どもがホルトオーラム症候群(内反手・心室中隔欠損等、心臓と手の先天性疾患)だと診断されたら。知っておくこととやること
私の娘はホルトオーラム症候群です。
ホルトオーラム症候群とは、手と心臓に何らかの先天性疾患をもって生まれた時の診断名の1つです。
ホルトオーラム症候群は、10万人に1人程度の出現率なので、検索してもなかなか情報が出てきません。娘の症状を検索していた私もそうでした。
なので、ここに私が得た知識を書いておきます。
ホルトオーラム症候群の子どもを授かった人のお役にたてますように。
ホルトオーラム症候群は手と心臓の疾患のみ
心臓になんらかの疾患(心室中隔欠損・心房中隔欠損・肺高血圧等)と、手腕の低形成(骨がない・手が内側に曲がっている内反手・指がない・指が曲がらない等)が先天性疾患として、同時にあらわれる場合に臨床診断(おそらくその可能性が高いと総合的に診断)されます。
心臓と手だけならホルトオーラム症候群、他に脊椎や肛門などにも症状がある場合はファータ症候群……といったように、症状が増えると診断名は変わっていきます。あくまで、ホルトオーラム症候群は、手と心臓だけの症状です。
娘の場合は、心臓の治療を受けている際に、気管軟化症・気管の分岐異常・気管狭窄も見つかりましたが、ホルトオーラム症候群とはまた別の先天性疾患ということで、ホルトオーラム症候群の診断に変わりはありませんでした。
ホルトオーラム症候群と、気管の症状には因果関係はないということですね。
ちなみに、娘の気管に関しては小児慢性特定疾病の対象になるほど重い症状ではないので、定期的な呼吸器科の定期外来にとどまっています。
ホルトオーラム症候群かどうかは遺伝子検査でしか確定診断できない
ホルトオーラム症候群の確定診断は、遺伝子検査が必要になります。決め打ちで特定の染色体を検査して、ホルトオーラム症候群特有の変異が認められれば確定となります。
ただ、遺伝子検査は100%の確率で変異が見つかるわけではありません。
海外の論文には、臨床診断でホルトオーラム症候群と診断された患者を対象に遺伝子検査したところ、50%の確率でしか確定診断にいたらなかったと発表されています。
ただ、もし遺伝子検査で確定診断がでなくても、「ホルトオーラム症候群ではありません」との逆の確定診断とはなりません。「違うかもしれない。でも、症状からするとホルトオーラム症候群に当てはまるから、このまま成長を見守っていきましょう」というグレーな結果になります。
親心としては、子どもがホルトオーラム症候群と確定診断されれば、手と心臓以外には先天性の疾患はないのだから、他の臓器の心配をひとまず心配しなくていいと安心できるというメリットがあります。
そして、子どもが親になるときに、50%の確率で病気が受け継がれることを教えることができます。
親がホルトオーラム症候群なら、50%の確率で子どももホルトオーラム症候群になる
遺伝学の話ですが、子どもは両親の遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。いわゆる、親がホルトオーラム症候群なら、子どもは50%の確率で同じ症状になるということです。
じゃあ、子どもがホルトオーラム症候群なんだから、両親のどちらかがホルトオーラム症候群なの?というと、そうではありません。
少なくとも、私たち親には手にも心臓にも疾患がありません。遺伝子検査はしていませんが、おそらくホルトオーラム症候群ではありません。
遺伝科の先生いわく、子どもの遺伝子が形成されるどこかの段階で、突然変異が起こることがあるそうです。言い切れるわけではありませんが、おそらく娘のケースは突然変異だと思われます。
ホルトオーラム症候群に短命などの症状はない
遺伝子がからむ病気だと、子どもが短命なのではいかと心配になります。私はそうでした。
安心してください。ホルトオーラム症候群だけなら、本当に手と心臓の疾患だけです。
仮に、心室中隔欠損症と、手が内側に曲がっている内反手の症状なら、危険性はゼロではありませんが、どちらも手術で治療できます。心室中隔欠損症は穴をふさぐ手術。内反手は、整形外科で手のひらを腕の骨に乗っけて固定する手術です。
どちらも、体が大きくならないとできない手術です。ちなみに、うちの娘の場合は心臓は1歳半で、内反手は2歳で手術しました。
今は3歳ですが、元気いっぱい遊んでいます。内反を手術した右手は、前腕の橈骨がないのと・親指がないので多少不自由ではありますが、スプーンをもってご飯を自分で食べたりはできます。
手が曲がっている(内反)のは、腕の骨が曲がっている・短い・欠損しているから
生まれてすぐに、手が曲がっているのには気がつくと思います。ただ、腕の短さや骨がないことは気が付きにくいものです。
低体重でNICUに運ばれたりすると、まずは命を救うことが優先になるので、手のことは詳しく教えてくれなかったりします。うちはそうでした。
できれば、手腕のレントゲンを見せてもらいましょう。手が曲がっている状態でNICUにはいったなら、確実に手のレントゲンを撮ります。
レントゲンを見れば、どこの骨がないのか・短いのかは一目瞭然です。
内反しているということは、腕の骨に手のひらの骨がのっかっていないということなので、おそらく腕の骨になんらかの疾患が疑われます。
整形外科に通っていると、足が内反している「内反足(ないはんそく)」という症状はよく耳にしますが、「内反手(ないはんて)」の症状を持つ子は少ないようです。足の先天性疾患の出現する確率より、手に出る確率が低いようです。
内反手にはすぐに装具をしたほうがいいのか
ホルトオーラム症候群という病名で調べると、関西の病院の情報がでてきます。そこでは、治療のひとつとして「生後すぐに内反の手に装具をする」と記載があります。
たしかに、内反に関して生後すぐからスプリング式の装具をして、手術なしで内反を治療するという論文もあるので、生後すぐに装具をする治療法もあるのでしょう。
ただ、それはおそらく生後に入院などがまったく必要なく、すぐに手の治療に専念できる場合の話です。
入院が必要だと、点滴のルートを確保するために手の血管をつかう必要があります。装具はしたくてもできない状態になってしまいます。
もし、手の治療に専念できるのなら手外科の専門医がいる小児の整形外科に行って相談してみることをおすすめします。
ちなみに、手術が必要なら、できる病院はかなり限られています。関東なら、「国立成育医療研究センター」が小児の手の手術件数が多い病院です。近くの整形外科か、生まれた病院で紹介状を書いてもらって予約をとります。
予約をとれても、何ヶ月も先の予約になる可能性があります。早めに行動したほうがいいかもしれません。
ホルトオーラム症候群で医療費の助成・手帳など申請ができるものについて
症状について理解したあとに、必要になってくるのが申請関係です。
ホルトオーラム症候群は心臓に疾患があるので、入院する際に申請できるものがあります。
・低体重で生まれたなら、未熟児養育医療の申請
・心室中隔欠損などの心臓の疾患なら、小児慢性特定疾病の申請
・遺伝子の病気でも、小児慢性特定疾病が対象かも?
それぞれ持っている症状によって、申請できる対象は変わってきます。
小児慢性はもっていると、入院時の駐車場・食事代にたいして助成がでます。
障害者手帳に関しては、手の症状によって対象になるかと思います。
娘に関しても、等級の一番低い障害者手帳が対象になりますが、まだ申請はしていません。
というのも、自分の意志でなにかをつかんだりといった検査をおこなって、等級の対象になるかのチェックをされないと診断がつかないからで、まだ今後どこまで使えるようになるのかもわからないからです。
最近も手の手術をして、現在も使えるようにリハビリをしている最中です。
リハビリ(作業療法)は、近隣の療育センターで受けています。作業療法を受けることによって、できることがどんどん増えるので、近隣で受けられるところを紹介してもらうのはおすすめです。
気付いたことがあれば追記していきます
同じ症状の子どもを授かった親として、なにかお役にたてればと書きました。
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