あの日に戻りたいなもし。 狭い部屋にひとりこもって原稿の誤りを探していると、ふいにそんな気持ちに襲われることがある。まあ生きていれば誰でも、生後120か月頃までに一度や二度、思うことだろう(DA.YO.NE?)。特に襲われるのは、ニュースでスタジアムの大歓声に包まれる大谷翔平の姿を見たときだ。理由は、一芸に秀でることができなかった自分に一度だけ訪れた〈小歓声に包まれた瞬間〉を思い出すからだ。 あれは確か小5のときの学級会のこと。班ごとの清掃場所をジャンケンで決めるこ
何か隠し事をしているような、率直でない物言いを聞いたときに、よく「奥歯に物が挟まったような言い方」などと言ったりするが、先日ふいに、世間に広まりそうもない、この慣用句の新しい類語がひらめいてしまったので、今回はその〈しょーもない類語〉をここに披露することで成仏してもらおうと書き進める次第である。南~無~。 その類語は「奥歯に物が・・・」同様、問いかけに対して相手から歯切れよく答えてもらえなかったときに使うのだが、「奥歯に物が・・・」を使うときとは、相手の様子が「何だか気
小学二年のかけ算の文章題がSNSで話題らしい。答えが正しいのに「〈かける数〉と〈かけられる数〉の順序が逆で不正解になった」と、子どもに知らされた保護者が「いかがで SHOW?」と疑問を投げかけたのだ。 その文章題はこんな感じのものである。 「6人にゴディバのチョコレートを3箱ずつ配るとき、全部で何箱あればよいですか」 正解は18箱だが、計算式を次の(ア)のように書くと、採点する先生によっては正答にしないことがあるという。 (ア)6×3=18(誤) (イ)3
本心を打ち明けることを表す慣用句「胸襟《きょうきん》を開く」を入力している途中、「きょうきんを」のところで変換キーを押したら、〈胸襟〉ではなく〈胸筋〉が出てきた。けれども、1回で〈胸襟〉が出ると思い込んでいた流れで確定してしまったため、あ~あ、また入力する羽目になってしまった。 ちなみに、「きょうきんをひらく」と入力して変換すれば1回で「胸襟を開く」になるので、それを知らなかったオイラがアンポンタン。 その後も〈胸襟〉と入力する場面で、なんでだろう、同じ失敗をくり返し、
とある購買心理学の応用法を考えた話。 買おうとしている服の色で迷ったとき、同じ形の違う色のものと見くらべることがあるが、販売する側は客のそういう行動を踏まえ、売りたいほうの色がより良く見えるような、あまり客に好まれない色を始めから並べるのだという。そういう色を〈捨て色〉と言い、実際に色を比較対照した客の多くは店側が売りたい色を購入していくのだという(そうなんだ~)。 たしかに、定番色のニットの隣りに「これ売れるのかなぁ」と思うような色のニットがたくさん置いてあったりす
空耳がもとで時間をムダにすることがある。 先日も、テレビの出演者が「ミサンガ」と言ったのを「ニサンガ」と聞き間違えてしまい、そこから「ニサンガ6」「ニサンガシックス」へと脳内トランスフォームして、ついには、すべての九九をこの形にして言い換えるところまで行ってしまった。 すべての九九を「ニサンガシックス」形式にしてつぶやくところまでは、誰もがやってしまうことだと思うのだが(やらない?)、オイラの場合、その段階からさらに奥(先?)へと進んで、その中で最も言いやすいものはどれ
「美○」の状況が心配だ。 女性向け美容記事の見出しを見ていると、「美肌」や「美脚」といった「美○」をよく見かける。中には、昔はこんなの無かったよなぁというものもあって軽く驚く。たとえば「美デコルテ」。初めて見たとき「デコルテって何ですか?」としばらく考えこんだ。「美腰《びこし》」のときは、こんなことをつぶやいた。「神輿《みこし》」とおんなじじゃないかー、イントネーションが! こういう「美○」の中でちょっと要領が良すぎるなぁと思うのは、「美腰」と「美ウエスト」のよう
何かを好む気持ちには意外な理由があったりする。 オイラは、ひっつめ髪にしている女の人を見ると、頭に目が行ってしまう。流行の髪型にはそれほど興味はないが、ひっつめ髪にはなぜか視線が引っ張られてしまう。昔から気になる髪型ではあったが、ここ数年でさらに印象がよくなった気がする(おいちゃんの好みなんて興味ないだろうけど、菅田将暉が話してると思って聞いて)。中でもとりわけ、フラメンコダンサーの女性などに多く見られる、前髪を下ろさずオールバックにして低い位置でまとめるスタイルは、スッ
生きていると、毎日毎日、苦々しいことや憎々しいことばかりでウンザリンコだよね。 オイラは一日の終わりにその日の気持ちを、手帳に「苦」とか「痛」と漢字1文字で書くんだけど、このまえ昔の手帳を見返していて何となくその漢字をつなげてみたら「痛悲叩蹴撃撃消」となって、それが「痛い悲しい叩くぞ蹴ったくるぞ撃つぞホントに撃つぞ、そして消すだがね」と読めて、ちょっと自分の中にある闇を感じた。 上司からの無理難題。お客様からの無理難題。双方からのプ列車(プレッシャー?)で人と接するの
肩書が心を駆り立てるってのはホントだった。 昨年末から制作に取り組んできた zine がようやく完成した。ついでに今まで使ってきた「ポンコツ雑文家」の肩書も新しいものに変えた。なんだか自虐にも飽きてきたからだ。 ナミオ・コトリ[Namio Kotori]にぴったりの肩書は何だろうかと思案し、4ヵ月以上のグダグダを経て「ザツブニスト」に決めた(わ~い、でけたぁ!)。ローマ字表記は「zatubunist」。一聴一見しただけでは何者かが不明なのに、何かの専門家かな?と思わせる
オイラは tendon を応援したい。 tendon とは筋肉と骨をつなぐ「腱《けん》」のことである。フライドチキンを食べたときに骨の端っこに残るスジ、あれが腱、すなわち tendon だ。 読み方は「テンドン」。ただし「天丼」のアクセントではない。「マンション」のアクセントと同じで、前半が上がって後半で下がるのだ。 オイラは日頃から、この「tendon」が「マッスル[muscle:筋肉]」ほど広く世間に浸透していないことを不憫《ふびん》に思っている。筋肉と一体の存
仕事部屋の窓の向こうに数本の電線が見える。仕事の合間にふと目をやると、そこにハトがとまっていることがある。細い電線の上にチョコンと立ってじっとしたまま、ときどき小さな頭をクルクルさせている。しばらくその様子をじーっと眺めていると、何だか不思議な感覚に襲われる。まるで自分がハトになったように感じるのだ。 今日はどこまで飛んで行こう? ・・・向うに見える静かな街まで。 パタパタパタ~、バッサ~、バッサ~。 今日は何を食べよう? ・・・道路に落ちている、お菓子や
(前編より) さて、ここからは方法1よりも少しだけ自由にトランスフォーム(変形)した「どん底」たちを紹介していこう。 1.ノン底 底にいることを強く否定したい場合に用いる。 2.ドンゾ湖 底にいることを知らばっくれたい場合に用いる。 3.ON 底 今まさに「底にいるのだ」と、冷静に受け止めたい場合に用いる。 4.どう? 底 底にいる気分を確かめたい場合に用いる。 5.どんぞ子 「我こそがどん底の申し子である」と、開き直りたい場合に用いる。 6.
生きていると、毎日毎日、苦々しいことや憎々しいことばかりで、ウンザリンコだよね。 オイラは一日の終わりにその日の気持ちを、手帳の備忘欄に「悲」とか「痛」と漢字1文字で書くんだけど、この前、昔の手帳を見返していて何となく月曜から日曜までの漢字をつなげてみたら「痛悲叩蹴撃撃消」となったので、それが「痛い悲しい叩くぞ蹴ったくるぞ撃つぞホントに撃つぞ、そして消すだがね」と読めて、ちょっと自分の中にある闇を感じた。 上司からの無理難題。お客様からの無理難題。双方からのプ列車(プ
天気予報を見ていたら、「今日は小雪がチラつく1日となるでしょう」と、気象予報士の人が言った。 「そうかぁ、小雪がチラつくのかぁ」と思った瞬間、オイラの前頭葉に無数の「女優・小雪」が舞い落ちてくる様子が浮かんできた。真ん中で分けた長いストレートヘアが特徴的な女優・小雪が、何人も何人も、ふわふわふわふわ前頭葉の空を舞っている。 もちろん、天気予報は水が凍ってできた雪のことを言っているのだが、思考がトロいオイラゆえ、間髪を入れずこゆっきを脳内で舞い踊らせてしまった。ふわわわ
ネット上の投稿記事を読んでいると、ときどき、文章の最後に「スキ&フォローしてくれたら嬉しいです」と書いてあるのを見かける。 あの言葉は、「コール・トゥ・アクション《Call To Action[CTA]:行動喚起》」と呼ばれる、Web マーケティングの手法のひとつだそうで、投稿者が読者に期待している行動を具体的な言葉にして呼びかけることで、読者がその通りに行動することを促しているのだそうだ。 上の例で言えば、投稿者が読者に期待しているのは、スキボタンをクリックしてもら