丸付けボランティアが結構重労働だった件
我が子の中学校で夏期講習をすると言う。先生が足りないから地域で英語教室をしている私に声がかかった。「丸付けだけのボランティア」だと言うので、軽い気持ちで受けることにした。
クラスに入ってみると、プリント学習をしている中学1年生から3年生。私は3年生のクラスで見ていた。ある子は粒の様な細かい字の問題集をしている。「これ、塾の宿題です」と。なぜそれを学校の夏期講習でしているかわからないけれど、そういう子たちはただ涼しい自習室代わりに来ているので放置で良かった。目に留まったのは、学校が準備した宿題プリントで頭を抱える子たち。どんなところがわからないのか、とプリントを覗いてみたらorangeという単語が読めなくて苦戦していた。格差を目の当たりに。
私は基本的に丸付けが仕事だと言われていたので、説明したかったけどグッと我慢。そうこうしている間に中学の先生が来て生徒のプリントを見ながら説明し始めた。
「だーかーらー、何度言ったらわかるとや。三単現!さ・ん・た・ん・げ・ん!やろうが!」(博多弁:喧嘩っぽく見えるけど、結構マイルドトーン)
説明された子はポカーン。
側から見ながら、この子は「三単現」以前から理解していないと察した。先生が去ってからその子のところに行き、「三単現」という言葉を使わずに中1レベルくらいから説明した。「あぁ〜なるほど〜」とその子の顔が明るくなった。同じ様な問題を解かせてみたら、理解していた。
ちゃんと理解出来ていないのにルールの名前ばかり連呼されても、きっとわからない。「当たり前だろう」という言われ方は、自分が周りに取り残された様な気持ちになる。文法用語は理解後に頭の中で整理したり相互で簡単に伝え合うには役立つかも知れないが、理解さえしていない子にとっては難しさが倍増するワードでもある。私も高校の物理で全くわからないのに先生に鼻で笑われて「何がわからんのか、わからん」と言われた時、物理に絶望した。
その中学校の先生も間違ってはないし、自分が教えてたのに聞いてなかったんかい、という気持ちにもなったのかも知れないけど。文法用語を使わずに英語を教えることが必要な層は一定数いるんだろうな、と感じた。
そういう生徒は塾に行っても多分同じ様にポカンとしているのだろうし、そのワード自体がわからない自分が嫌になるだろう。学校や塾の授業はもちろん文法用語で行うのが主流なんだろうけど。こういう特別な機会には、少し気をつけてみると良いと思った。
とても充実した体験だったけど、さすがに丸付けだけではなかったし、普段自分がしっかりお金をいただいて指導している以上の労力だったので、次に声がかかった時は、丁重にお断りした。人手が必要な時は、国や県、市がしっかりお金を払って教育を支えてほしい。その流れを期待しつつ。