しかるべき叱り方

 私の指導上のこだわりは一つ。クラスの中で一番理解がゆっくりな子に合わせて進めること。では先を行く子は何をするのか、その子たちにもしっかりミッションを用意しておくのだ。ある時は「うまくヒントを出してあげて」そしてある時は「後から今まで話した中からクイズ出すよ」。

 例えば、"What's your favorite color?"(何色が好き?)という質問を投げかけた時、サッと分かる子は I like yellow. / I like pink. 答えて終わり。
でも私はその後にWhat color does Tomoya like? など、 一人一人に関するクイズを出す。すると答え終わってもじっくり聞いて記憶する習慣が子どもたちの中に出来る。
 ヒントの出し方も、「上手な出し方があるんだ。なんだと思う?」とあらかじめ問うておけば、答えを全部言ってしまうよりも、最初の音やアルファベットを小さい声で伝える、また簡単な英語に置き換えて伝える、など自分で考えて人を助けることが出来る。

 正に理解度に関係なく、皆が一緒に成長出来る授業スタイルだ。
その中で、もし「うちの子にはもっと先のことを教えて欲しい」や「時間がもったいない」という保護者がおられたら、私は遠慮なく退会を促すと思う。(幸い今のところ未だそんな方はおられないが)
いろいろあるけれど、それが自分で教室を立ち上げた良いことの一つ。私が出せないものはニーズがあっても出せない。そういう力を求めるのであれば、どこか他の場所で満たしていただきたい。

 英語を話すなんて、正直簡単なこと。テストで点をとる方がもっと簡単だけど。私がしていることは、人とのコミュニケーションやリーダーシップ。人と協働していける力。そこに言葉があったらどんなに便利だろう、という発想。だから私の授業でただ一つ許さないことは、人を見下すこと。人への尊敬無しに「英語を習って国際人」なんて言って欲しくない。従って、人をバカにすることに関しては私は叱る。

 どんな叱り方をするか。
おそらく一番怖い叱り方だと思う。
ただ冷静に普段通りのトーンで諭すだけ。
普段の私は冗談も言うし、明るく友達同士の様に一緒に笑っている。その私が冷静にただ伝える言葉はちょっと重いと思う。
だから良いのだ。

 グッと重い言葉が届いた子どもは黙る。涙目になるけれど、私に関わろうと手を伸ばしてくる。今度はその手をグッと握るのだ。
それが私の叱り方。あなたのことが憎いんじゃない。あなたの行動が間違っていると思ったからそう伝えただけ。あなたのことは大好き。いつも通りよ。それを伝えてグッとレッスンに引き戻す。
 
 それが私の叱り方。育て方。
その後はいつもの通り笑って過ごす。
叱ることの目的は、メッセージを伝えること。その子を叩きのめすことじゃない。ハッと気付いた子には手を。気付かなかったら、きっとまた同じチャンスが巡ってくる。時間をかけて。じっくりと関係を作って。
一緒に育っていくのだ。

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なみお
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