私の私による私のための旅(長崎編)③エモさ炸裂 歴史探訪の Day1後半
行ったことがないと言えば、大浦天主堂に行った記憶がない。小学校の修学旅行で行ったかも知れないな。でもいつ行っても大浦天主堂はお隣のグラバー邸に行く途中にある建物、という印象。前で写真だけ撮って通り過ぎていることが多かった気がする。それだけ建物のインパクトがすごい。長崎と言えば、の写真に必ず平和祈念像と一緒に出てきてるから行ってはないけど見慣れてる。見慣れてるから行った気になっていたのかも知れない。
そんなこんなでDay1後半は大浦天主堂からスタート。
不意に心を揺さぶられる
大浦天主堂は中が撮影禁止のため、外観の写真はたくさん見るものの、中はどうなっているのだろうと興味もあった。中に入って最初に思ったのは、「暑い」。他のいろいろな施設や土産物屋はクーラーがガンガンに効いていたので「きっとここもそうだろう」と期待した私が悪い。少し多めの階段を上がって入って来た聖堂内には大きな扇風機が数台回っているだけだった。
でも少し呼吸を整えて見上げたそこには、ステンドグラス。とりわけステンドグラスを通した光が壁に映っている様子には心が動いた。心がふーっとその場に溶け込むような気持ちになり、もう少しここにいたいと思ったので、扇風機の近くの席に座ってステンドグラスやマリア像などを眺めていた。
しばらくぼんやりしていると、何度も同じ内容で繰り返されている女性の声を、耳が勝手に捉えていた。何ターン目かで内容をしっかり聴いてみると、実に味わい深い内容。今までも何度も聞いて来たであろう「信徒発見」そして「日本二十六聖人」という言葉。初めて「もっと知りたい」と思った。その後隣接する展示館で更に「もっと知りたい」が強まった。そこまでして、そうまでして守り抜く信仰心って…遠い昔の人の想いに自分の思いを重ねてみようとするけれど、なかなかうまくいかないな。
しっとりとした気持ちで坂を下る夕方6時前。お土産屋はシャッターを下ろし始め、大浦天主堂の中に入る時には道いっぱいにいた観光客もまばらになっている。スペイン語を話すカップルの後ろを歩いていたら、今まで音楽みたいだった言葉の途中途中を理解できる自分に驚く。言葉って面白い。学んでいると、ただの景色や記号、メロディーだったものから、意味がボワンと浮かび出す。
目の前の港に巨大マンションの様な中国の客船。何階建てだろう。高いところのバルコニーから人が街を見下ろしている。夕暮れの街と、巨大な動くマンション、習いたてのスペイン語に誰かの強い信仰心…私の心はいろいろなもので静かに揺り動かされていた。
一名様でお待ちの…
路面電車に乗るのもなんだかんだで5回目。24時間乗り放題チケットを買って正解。それに乗れば乗る程慣れていく。私もまだまだ伸び代十分、と思えるのが旅の良さ。一つの街を歩いて乗って、少しずつ馴染んでいく心地よさに浸りつつ「長崎新地中華街」到着。
これまたYouTubeで予習済み。私好みのお店を選んでいたので、「会楽園」にまっしぐら。子どもの頃に来た時、中華街って退屈なイメージだったけど、それは「選ぶ」ことがなかったからかも知れないな。同じ様に見える中華料理屋が立ち並ぶ場所で、自分が食べたい物やピンとくる感じに従って「選べる」ことがこういう場所の醍醐味な気がする。だから一軒一軒を通りから覗いてみたり、表に出ているメニューを眺めたりするのだけで楽しい。
何にしても「選ぶ」って素敵。
私は人と一緒に食事をする時に、「選ばない」方の人に徹する。そう決めている。その店にいる間中、その人が美味しいって思ってるかな、このお店で良かったかな、って気になっちゃうから食事を純粋に楽しめない。
でも人が決めてくれたお店に行ったら100%喜ぶ自信はある。だって何も気にしなくていいんだもの。お店を「選ぶ」ってことは、私が一人でいる時だけ楽しめること。だから、レアで特別。
お店は既にいっぱい。待合スペースの椅子は全部埋まっている。でもそういう時も家族と家族の間にちょっとだけある隙間の一席に座れる。これは一人旅で気付いたこと。それに、ウェイティングリストの私の前には十数組の名前が書かれていたにも関わらず、私はすぐに呼ばれた。
「お一人様でお待ちのナミオ様。カウンターのお席へどうぞ。」
席について「ちゃんぽん一つお願いします」と言い終える前に「あ、すみません。やっぱり皿うどん、細麺。」と訂正した。
「長崎と言えばちゃんぽんでしょう?」
と思っちゃうけれど、私は何よりもパリパリの細麺皿うどんが大好き。今日は「せっかくなら」じゃなくて私の好物を最優先。
皿うどんは、大体出来合いの麺に具が乗ってるイメージだけど、この皿うどんはちゃんと麺から揚げてくれてる?そう思う様な新鮮なパリパリ麺に数えきれない程の具が入った餡がかかっている。目視出来る限りでも、玉ねぎ・キャベツ・にんじん・何かの葉物(濃いグリーン)・あさり・えび・イカ・鶏肉・肉団子・豚肉・かまぼこ・きくらげ・うずらの卵…1日分の栄養が詰まった一皿、って感じで大満足。
食べ終わる頃、隣に同じく一人旅風の若い女性が座った。何皿も注文していて、おまけにアルコールと杏仁豆腐も。なんか楽しそう。私も杏仁豆腐は食べたかったけど、これ以上何も入りそうにないな。
夜の出島を堪能
新地中華街の路面電車の駅から徒歩5分程で出島に着く。丁度辺りが暗くなってきた午後6時半頃、本日2度目の出島。もちろん私は商館員証明書(年パス)を見せて軽やかに入場。
少し薄暗くなってくる中で、ぽつりぽつりと灯りが灯る。風は少しあるものの、昼間と変わらず暑い。でも出島にある建物一つ一つが何かの展示室になっていて、それぞれが最高に涼しい。一つ一つ入って涼をとりつつ、当時の人たちの生活に触れる。私は昔の人の生活に想いを馳せるのがとても好き。どんな人たちが、どんな風に、どんなことを考えながらいたんだろう、と想像し出すと止まらない。
今夜は出島の夢が見られるかしら。宿に戻ってシャワーを浴び、自分のベッドのカーテンを閉めたのは午後8時30分。丁度良い時間。のんびり過ごそう。
*ここに上がっているお店等の名前や営業時間等は2024年8月時点の話なので、時間が経って読んでおられる方はご注意ください。