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アクティブ授業の作り方

 私の授業を受けている人たちは薄々感じていると思うけれど、私はすぐに答えを言わない。最近はそんな授業が増えてきているかも知れないが、私が受けてきた授業はそもそも質問自体が飛び出さないし、先生の問いかけも高圧的だったり抽象的だったりすることが多かった気がする。答えるのも怖いような。

 私の授業では、授業をいつでも止めて良いということにしている。ただそう伝えるだけでは、「授業の流れを止めてはいけない雰囲気」に慣れきった子どもたちの習慣を変えることは出来ないから、最初はどんな一言でも必ず拾う。授業に全然関係ない質問でも拾う。時々いわゆる「空気を読まない」子が突拍子も無いことを言い出すことがあるが、それは好機。
満面の笑みで 「いいね〜ありがとう」と返してしっかり簡潔に答える。よく対応していると時間の無駄という教育者がいるが、ものの1分もかからない上に、質問をしても良いという空気を作るのだから、かなり貴重かつ得るものの多い時間だと言える。

 質問が出ない時は、わざと習っていない単語を会話の中に盛り込んだりする。子どもたちが黙り込んでしまったら、「ん?どうした?」と尋ねる。そこで誰かが質問してくれたらシメたもの。みんなも、それおかしいって思わなかった。習ってないもんね。そういう時はね、質問していいんだよ。むしろしなくちゃいけないよ。わかった顔して会話に参加してたら、どこかでおかしなことになる。幸い英語での会話の授業なので、知った顔をしたり知らないのに適当に答えたりしてしまうことで、自分が困ることになった体験談をしてみたり。

「質問するのは、良いことなんだ」

 とにかくその考え方に変えていく。質問して怒る人、バカにする人がいたらどうするかって?そんな友達欲しい?そんな人と友達にならなくてもいいし、会話もしなくていいんじゃないかな。それくらいの気持ちで臨まないと。自分を大切にしないと。わからないことを尋ねるというコミュニケーションを無下にすること自体に問題があるのだ、質問をしたあなたには何の非もない、と伝える。そしてもちろん学習者自身も質問を「時間の無駄」と捉えるかどうか、その価値観を再度見直す良い機会になるだろう。

 そんなこんなで、私の授業は質問が多い。そして驚くべきことはそのほとんど全てが、授業の理解を深めたり記憶に残りやすくしたりする良いスパイスになっていること。質問があってこその授業なのだが、その質問たちをスパイスにするコツが一つある。それは、秘技・質問返し。

 "What is ____? " (単語)って何ですか。
と聞かれたら、こう答える。
"Thank you.  That's a good question.  What do you think?"
(ありがとう。良い質問だね。「みんな」はどう思う?)
ここでのポイントは、一人の質問を全員に返すこと。
そうすると、全員から答えが返ってくる。
" I don't know."(わからない)子もいれば、知っていて教えてくれる子もいる。質問返しは、子どもたちが授業を作っているんだということを子どもたちに感じさせることが出来るテクニック。おまけとして、その質問返しで私はどのくらいの生徒にその言葉が定着しているかを知ることが出来る。

 質問が出たら、大歓迎してクラスに返す。
「みんなはどう思うかな」
この言葉は、人を助けたい、人の質問に答えたい、知りたい、という学習者の本能に訴えかけてそれを満たし、学びの楽しさと気持ち良さを伝えることが出来る魔法のツールなのだ。
 

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なみお
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