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【日本語教員試験】第1回試験をふり返ってみる
このnoteを見てくださって、ありがとうございます。
なみのゆうきです。日本国内の専門学校で、外国人留学生に授業をしています。
2月5日に、令和7年度の日本語教員試験の概要が発表されましたね。今年2025年は、11月2日が試験日だそうです。
私は、昨年11月に実施された第1回日本語教員試験を受験して合格しました。
記録として、そのときのことや、受けてみて思ったことをふり返ってみます。
ここに記したことは、受験した一個人の感想ではありますが、
日本語教員試験に興味がある方にとって、どんな試験だったのか知る参考になればうれしいです。
なお、自分の試験勉強法については、来週投稿する予定です。どんな勉強をしたのか知りたい方はもう少しお待ちください。
日本語教員試験とは
2024年から始まった、日本語教育についての国家試験。
登録日本語教員(いわゆる日本語学校の先生)になるには、この試験の合格が必須です。
基礎試験と応用試験(①聴解、②読解の2科目)があり、養成機関で勉強した人は基礎試験が免除されます。また、現在日本語教師として働いている人には、全科目試験免除などの経過措置もあります。
詳細は、以下の文科省HPをご確認ください。
自分の受験内容と会場
・基礎試験と応用試験の両方(経過措置Fルート)
・試験会場:中部
試験会場
・9時から開場と受験票には書いてありましたが、その30分前に着いた時でもすぐ入場できました。
試験会場は大学の大講義室で、一教室に約150人が定員。8:30時点では、4分の1ぐらいの人がすでに座っていました。説明開始時間まで自席で勉強できました。
・長机の両端に一人ずつ着席。椅子が木製で硬かったので、お尻と腰が痛くなりました…。座布団を持って行けばよかったと強く後悔しました。
・試験中に使用してもよかったもの
鉛筆、シャープペンシル、消しゴム(カバーは外す)、アナログ腕時計、
無地のハンカチ、中身だけのティッシュ
座布団、ひざかけ ※試験官のチェックが必要
ペットボトル ※ラベルをはがして足元に置き、試験官に声をかければ試験中に飲むことが可能
・試験中の注意事項
スマホは身につけているだけで、失格になります(ポケットNG)。
カバンや上着等の荷物は例外なく、椅子の下、足元に置かなければなりません。
基礎試験
・問題1は、「【 】と異なるものを選べ」という、日本語教育能力検定試験(以後、「検定」と表記します)の試験Ⅰの問題1に近い形式のものが数十問ありました。
・問題2は、一部分が空欄になっている2~3行の文を読んで、当てはまる語を選ぶ問題でした。
・問題1と2は、検定対策のテキストには必ず載っているような語が多く出ていて、基本的な用語を問う問題だと感じました。関連する用語を整理して理解できていれば答えられると思います。
・問題3以降は、検定の問題3~と同じで、一見開きが1つの問題で、左側の文章を読んで4~5問に答えるという形式でした。その大問が10以上はあったと思います。
・文章の内容はさまざまで、日本語に関する知識はもちろん、テストや評価に関する内容、海外のJLPTについてのデータや、日本語史からはなぜかキリシタン版について出題されました。
昨今は多文化共生が話題になっていると思うのですが、国内の在留外国人についての突っ込んだ質問や、日本語指導が必要な児童生徒についての問題はなく、少し拍子抜けしました。
・日本語に関する知識については、初めて聞く用語が文章の中に出てきましたが、落ち着いて前後の文を読んだり、実例を挙げて考えたりして、何とか答えらしいものを選びました。
応用試験1:聴解
・音声のスピードが思ったよりも速かったです。さらに、聞けるのはどの問題も1回のみ。各問題の中で、休憩という名の無音の時間がありましたが、あまり余裕はなくサクサク進んでいきました。
・試験会場が大学の講義室だったので、スピーカーで音声が流れました。私自身はそこまで聞き取りにくいとは思いませんでしたが、リスニング試験の音声としてよくはなかったと思います。
・問題1は、検定の試験Ⅱの問題1・2・3・6をまとめたものでした。すべて4択問題で、「~の誤り」を選ぶ問題が20問。そのうち、口腔断面図を選ぶ問題が2~3問、アクセントの問題が2~3問でした。
・問題2は、検定試験Ⅱの問題4のように、日本語学習者との会話を聞いて答える問題でした。1つの会話につき2つ質問があり、2問×10会話=20問。学習者の誤用を選択するだけでなく、「どのように指導したらよいか」など教授法に関連する質問が多かったように感じます。また、授業での教材の扱い方に関して、著作権絡みの問題が出ました。
・問題3は、日本語教材を聞いてその教材に関して答える問題で、検定試験Ⅱの問題5と同じ形式でした。1つの教材について2つ質問で、2問×5教材=10問。
応用試験2:読解
・検定の試験Ⅲと同じく、文章を読んでそれに答える問題でした。ただ、検定のときよりも教授法についての問題が増えたという印象を受けました。学習者の誤用について「どんな誤用なのか」を問うだけでなく「どのように指導するか」を尋ねる問題になっていました。明らかに機械翻訳を使って書かれている文章を提出した学生に対してどのようなアドバイスをするかという問題もあり、今どきだなあと妙に感心しました。
・評価法や教師のビリーフ、そしてここでも著作権についての問題が出ました。「日本語教育の参照枠」については、本文がそのまま提示され、その内容について答える問題がありました。
・一方で、日本語・日本語教育の歴史や、海外での日本語教育、在留外国人に関するデータは、ほぼ出題されませんでした。また、教授法の問題も、ほとんどが一斉授業、いわゆる日本語学校での授業が前提のお話でした(たしか1問ぐらいは、地域のボランティア教室での日本語教育の話題がありましたが)。
試験を受けてみて思ったこと
基礎試験
基礎試験が8割得点で合格というのは、かなりハードルが高いと感じました。
正直なことを言いますと、第1回目だし、「基礎」試験だからそんなに難しい問題は出ないだろう、という淡い期待を持っていました。
しかし、実際に出てきた問題は「基礎」というほどは易しくはなく、用語を丸暗記してさえいれば解けるという単純なものではない問題が多かった印象を受けました。
用語を知っていて、その知識を使って自分で考えることができれば、答えられる問題だったと思います。(その意味では、知識とその活用力を問う「基礎」試験なのかもしれません。)
応用試験(聴解・読解)
逆に、応用試験は、聴解と読解を合わせて6割で合格というのは、ボーダーラインとしては易しいです。聴解で50点、読解で60点が満点ですから、たとえ聴解が苦手でも読解でカバーができます。
ただ、知識を知ってさえいれば正解できるというよりは、実際に教える現場を知らないと答えにくい問題があったことが気になりました。
先述した、機械翻訳の作文を持ってきた学生についての問題は、実際に教えている私にとっては、すぐイメージできるものでしたし、どう指導するのがよいとされているのかも分かりました。
けれども、養成講座で学んでいる・学んだばかりの人にとっては、そもそも学生がGoogle翻訳で作文を書いてくるだなんて思いもしないでしょうし、そのときどうしたらよいのかも想像できないのではないでしょうか。
おそらく、今後の登録日本語教員養成機関では、実際の日本語教育の現場について教えていくのだとは思いますが、まだこれから日本語を教えようとしている人たちに対して、この応用試験の合格を必須にするということに、なんだかもやもやした気持ちになりました。
ただ、応用試験は6割が合格ラインですので、満点を目指す必要はありません。
日本語や教授法などの知識をしっかり覚えて、検定試験や教員試験の予想問題を何度も解けば合格できます。
知識を持っていることは前提で、その知識を日本語教育の現場でどのように「応用」していくのか、考えさせるための試験だと思いました。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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