雨の日
『今日は私よ!私にして!』
『何言ってるんだ!あいつは面倒くさがりだから、今日も俺を選ぶぜっ!』
『だめ!あなたを選んだら、ご主人様が濡れてしまうわ!何とかして阻止しなきゃ!』
「なんだよー、また雨かぁ。午後からどしゃ降りとか勘弁してよ。靴もどれにするか。困ったもんだ。」
「あ~、でももういいやいつもの靴で!これ履いてこ。ぬれたら置き靴に履き替えよう。」
『あ~、ダメ~!ご主人様ー。こっちを見て〜』
必死で何とかご主人様に近づこうとすると、ご主人様がバランスを崩し、下駄箱を揺らした。
『カタン!』『痛っ!』
「びっくりした〜。何が落ちたかと思ったら。」
「あ~今日ね〜。どうするかな。
そんなに降るのかな。」
「もう面倒くさい!このまま出てきたこの傘でいいや!」
『やったぁー、ご主人様、お供します!
ちょっと痛かったけど、良かった〜!』
体を張って、何とかご主人様とお出かけの座を、折り畳み傘から守った長傘だった。
なりきりシリーズ