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笑顏の番人⑬〜日々コツコツ小説Ⅱ
しおんは
異種な空気を漂わしているその人に
何故か近づいていった。
しおんはニコッと微笑むと、
「帽子落ちてますよ、違いますか?」
と芝生の上に落ちている帽子を拾いあげた。
その人は無表情のまま帽子を見ると
「アッ」とだけ声を発し手を伸ばした。
その時突然帽子からかえるが飛び跳ねた。
「うわぁ~!!」としおんが大きな声をあげると
「カエル」
とその子も小さく声を発した。
「えっ、えーーーっ!ワー!」
しばらく飛び跳ねるかえるをよけて
必死に逃げ惑うしおん。
その姿は普段しないようなしぐさや声だった。
「はぁ~、疲れた。まさかかえるが出てくるなんて」
しおんが言うと、その子の表情が突然変わり
にっこりとまるで光を放ったかのような
満面の笑顏になった。
しおんもはっとして驚く位に素敵な笑顔に。
そしてその笑顔のまま帽子をかぶると
その子は手を振り去って行った。
「フフフフ、オモシロイ。
オカシナヒト
デモ
アリガトウ
ヤット エガオヲ トリモドセタ
ミンナエガオニナレルト イイネ」
どこからともなく
しおんには、そんな声が聞こえた気がした。