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そこらへんの猫、でもみんなの猫(マレーシア、トルコ、モロッコ)

あなたは犬派ですか、猫派ですか。

旅を始める前は100:0で犬派だったが、今はどちらも同じぐらい好きだ。

実家にはミライという柴犬(やや凶暴)がおり、彼と離れて2ヶ月ほど。

実家の犬、ミライ(やや凶暴)


モフモフを恋しく思う気持ちがピークに達していたタイミングでトルコとモロッコに2週間ずつ滞在したのが運の尽きであった。

ところどころで一緒に旅をしたモロッコ人のベンさんとは、旅の序盤、9月にマレーシアで一緒になったが、とにかく彼はそこらへんの野良猫や野良犬と触れ合うのだ。野良犬は時と場合によるが、野良猫には100%行く。
「病気持ってるかもしれないし、触らないほうがいいんじゃない」というと、「僕の国ではそういうこと全然気にしないからねえ…。まあでも、見た目明らかにやばいやつとか凶暴そうなやつは避けるわ」とのことだった。

野良猫に対する警戒心が強かったころ(マレーシア)


マレーシアの地元民しか来ないような食堂で食事をしていると、それを待ち構えていたご近所猫たちが寄ってきた。
「スパイスたくさん入ってるからごめんね」「さすがに甲殻類はあかんやろうしなあ…」と、猫ちゃんにごめんなさいしながらふと横を見ると、ベンさんが自分の食事を猫にあげまくっていた。
「日本では違うかもしれないけど、今僕たちの周りの人だって同じようにあげてるし、このコミュニティではそうなんだから別にいいじゃない」
とはいえ、一応ベンさんも猫に食べ物をあげる、あげないの基準を持っているようだった。
しかしよく観察すると、「君は僕がよそ見してる間にテーブルの上に乗ってきて行儀が悪いからダメ」「君は行儀よく待ってるからOK」と、食べ物が猫ちゃんの体にいいか悪いかはまったく関係ない様子だった。

郷に入っては郷に従え。
日本では絶対にやらないことでも、とりあえず地元民のふるまいを観察し、それと同じように動物たちと触れ合うことにした。


特に興味深かったのはトルコの人々と猫たちのつながりだ。
誇張抜きに、町中を歩いていると視界のどこかしらに必ず猫がいる。

どこにでも猫がいる(トルコ)


そこらへんで立ち止まって休憩していると、どこからともなく猫が現れてすり寄ってくる。
その様子を見た人が、家からキャットフードの大袋を持ってきて、ザーッと道端に撒き、また帰っていく。

食事中の猫ちゃんたち(トルコ)


猫ちゃんは人々に愛されている。

トルコでは、レストランでなにか頼むともれなくパンが「「「大量」」」についてくる。どれくらい大量かというと、何も考えてないヤツしか盛らんやろ、みたいな量だ。
そして周りで目を光らせている猫ちゃんたちは、コイツ(私)が1人でこんな量のパンを食べきれないということを知っている。
トルコでたくさんついてくるパンは、相席してきた猫ちゃんのためのものである、ということを理解した。

相席猫ちゃん(トルコ)


私は猫ちゃんの喜ばせ方が下手で、これまで猫ちゃんにあまり相手にされてこなかったのだが、トルコの猫ちゃんたちと触れ合っていると、自分は猫とすぐ仲良くなれる人間なのではないかという気さえしてきた。

かわるがわる相席(トルコ)


トルコに入ってから、猫ちゃんのイラストをたくさん描くようになった。

イスタンブールの猫ちゃん(トルコ)
パムッカレの猫ちゃん(トルコ)



モロッコにもたくさん猫ちゃんがいた。
羊やロバなど猫以外の動物もたくさんいたが、モロッコの人々の生活への猫ちゃんたちの溶け込み具合は、ものすごかった。
特に観光地の猫ちゃんは、人間との距離の図り方をわかっているようだった。

自分が写真スポットであることを理解している猫ちゃん(モロッコ)

レストランで食事をしていると、屋内だろうが屋外だろうが足元に猫ちゃんが近寄ってくる。
もはやこの頃になると、パンが多かろうが少なかろうが、とりあえず猫ちゃんにはパンをたくさんあげるというマインドになっていた。
パンをちぎって猫ちゃんの口元に差し出すが、食べない。しかしその猫ちゃんは、立ち去るでもなく、パンを見つめながらその場にとどまっている。
一緒にいたベンさんが、肉料理の汁をパンにつけて差し出すと、美味しそうに食べ始めた。無味のパンは受け付けないということらしい。

グルメな猫ちゃん(モロッコ)

きわめつけで、宿の中に普通に猫が入ってきて、ベッドの上でくつろいでいくという経験もした。他の客も、ホテルの人も、誰一人としてそのことを気にしていないのがゆるくて良いなあと思った。もともと、人間でなく猫の住処だった可能性すらある。

宿の部屋に入り込んできて、ベッドでくつろぐ野良猫(モロッコ)


観光地の猫ちゃんは、人間との距離の図り方をわかっている。
たくましく生きている。
ときどき自分であたたかいベッドを見つける。
そして舌が肥えている。

そこらへんの猫、でもみんなの猫。という感じがして、素敵だなあと思った。




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