理想の椅子を見つけるためのチャートをつくりました。
リモートワークのスタートから一年半。
ダイニングチェアを使って在宅ワークをしていたけれど、腰と太ももが限界に・・・。
理想の椅子を探す旅に出ました。
その経験が、これから椅子選びをする方のお役に立てばと思い、共有します。
巡ったショールーム、お店
まず、とにかく座らなくちゃ分からない、ということで、試座できるお店やショールームを巡りました。
大塚家具の有明ショールーム、新宿ショールーム
予約なしで入れるので、便利。品揃えも豊富です。
WORKAHOLIC
椅子コンシェルジュが素晴らしい。椅子について一から学びました。品揃えも豊富。相談しながら考えたい人向け。
オフィスコムの新宿ショールーム
オフィスコムオリジナルの椅子はコスパが良いのでチェックしてみるなら、ここ。
PLUSのGARAGE ICHIGAYA BASE
ここには、他にはあまり置いていない海外ブランドの椅子があります。
イトーキの京橋ショールーム
バーテブラ03など、イトーキ製品のカラーバリエーションの実物が見られます。
コクヨの品川THE CAMPUS
コクヨ製品について、詳しく教えてくれる椅子コンシェルジュの方がいます。
椅子選びのチャート
多くの椅子に試座する過程で、理想の椅子というものはなくて、選ぶ「軸」がある、ということに気付きました。
僕の場合、
「正しい姿勢をキープする」←→「自由に体を動かせる」の軸
「しっかりとした座り心地」←→「ふわふわとした座り心地」の軸
この2軸のバランスで悩んでいることに途中で気付き、試座した椅子を、チャートにまとめて考えたりしてみました。
(「軸」の考え方やプロットの仕方は他にもあると思いますが、あくまで主観なので、ご容赦ください)
ちなみに、僕は、自分は、右上のゾーンの椅子が欲しいということに途中で気づき、ハーマンミラーのセイルチェアにしました。
アドバイス
リクライニングのチェック方法
リクライニングは、「後ろに傾けてリラックスする」だけでなく「自由に体を動かす」役割もあります。
特に右のゾーンの椅子をチェックするときは、座った状態で伸びをしたりして、自分にとってちょうど良い反発力を感じるか、運動しやすいか、もチェックすると良いと思います。
また、お店だと、ついつい大きくリクライニングして、くつろいで、座り心地を確かめてしまうのですが、働いているときに近いリクライニングの角度で確かめたほうがよいです。
試座は、部屋にいるときの服装で
ジーンズと部屋着では感覚が違うので、部屋着にできるだけ近い格好で試座に行くのがよいと思います。僕は、お店の人の許可を得て、トイレで部屋着に着替えて試座するときもありました。(ここまでやる必要はないかも・・・)
試座は、できるだけ長く
椅子選びで難しいのは、自分のおしりと座面の硬さの相性。一瞬座っただけだと分からないので、僕は、これはいいかも、と思う椅子には、(他にお客さんがいないときは)30分程度座って確かめていました。※他のお客さんやお店の迷惑にならないようにしましょう。
ヘッドレストは必要か
「ドーンとリラックスして仕事をしたい」(左下のゾーン)方は、リクライニングが深めの状態を定位置にすることが多いと思うので、ヘッドレストはあったほうが良い気がします。(リクライニングを深くして首だけを起こすと首が疲れます)
その場合、ヘッドレストに頭を預けたときに、顔が上を向かないで、前を見た状態にできるか、ヘッドレストの角度をチェックしておくと良いと思います。
それ以外の方は、ヘッドレストはなくて良いのですが、椅子でときどき休憩したい人は、ヘッドレストは必要かも。
「体を自由に動かして仕事をしたい」(右のゾーン)方は、ヘッドレストが邪魔にならないかもチェックしておくと良いと思います。
前傾機能は必要か
ずっと前傾で仕事をしたい人、たとえばイラストレーターの方や、漫画家の方には、前傾機能は必要だと思います。
それ以外の方は、前傾機能の有無は、そんなに気にしなくて良い気がしますが、前傾になることが多い人は、左下のゾーンの椅子は向いていない(というか、椅子の良さが生かされない)気がします。
肘置きはできれば自由度の高いものを
肘置きの高さ調節ができないとデスクとぶつかる可能性があるので、高さ調節ができるものを選んだほうが無難です。デスクから離れて読書するときも調節できると便利です。
ランバーサポートは必要か
深く腰掛け、骨盤がちゃんと立って、背骨がS字になるように座れるかが重要。そういう体勢が取れる椅子なら、ランバーサポート(腰のサポート)機能なしでも良い気が、僕はします。(でも、これは、どうなんだろう・・・将来的に体の状態が変わって必要になる、みたいなこともあるんですかね・・・?)
メッシュかクッションか
好みはあると思うのですが、先入観なしで、両方座ってみると良いかも。
太ももの裏が痛い場合、椅子が原因ではないケースも
太ももの裏が痛かったのですが、僕の場合、椅子が高すぎて、足が浮き気味になっていることが原因でした。フットレストを置いたら解消しました。
【豆知識】 椅子の進化の歴史
エルゴノミクスチェア(人間工学に基づく椅子)は、1994年に生まれたアーロンチェアが源流で、正しい姿勢をキープする、という発想。つまり、左上のゾーンからスタートしたんですね。
その後、パソコンに向かって長時間働く人が多くなって、もっと後ろに傾いたリラックスした状態で働きたい、ということで左下のゾーンの椅子が生まれてきました。
その後、「座りつづけるというのは、そもそも体に負担になる行為」ということで、椅子を使わないスタンディングデスクなんかも出てきて、その流れで、「体を動かせる椅子」(右のゾーン)を各社が出してきました。2009年に発売されたWilkhahn ONがその先駆け的な椅子でした。その最新のカタチが、360度座面が動くコクヨのingですね。
でも、左が古くて、右が新しい、というわけではなく、「椅子の選択肢が広がった」ということだと思います。
【考察】 椅子の未来
「正しい姿勢をキープする」←→「自由に体を動かせる」
「しっかりとした座り心地」←→「ふわふわとした座り心地」
は、どちらかを叶えれば、どちらかが犠牲になる、というものだと思うのですが、次の椅子のイノベーションは、この二律背反を乗り越えて、両方を満たす椅子をつくる、ということなんじゃないかなと思います。
実際、ハーマンミラーのエンボディチェアには、その片鱗を感じます。
椅子の未来が楽しみです。いつか自分の理想の椅子づくりに関わりたいなあ。