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海と私は違う 〜海のようになりたいけれど〜

島に住むからといって、24時間毎分毎秒、海が目に入るわけではない。
外に出て、歩くと見える。歩いていると、見えたり隠れたりする。
見えた時、嬉しくて海の方へと足が行く。
視界が開け、海が大きく広がった時
心が 同時に ふわぁ〜っ と広がる。凪ぐ。

あぁ…こうなりたいな…
私も、人が私と話したとき、その人の心が凪いで広がる… そんな存在になりたいな。

そう思った。

私も、海のようになりたい。

母なる大地、父なる空は
あまりにも、在って当たり前。
どこに居ようとも、それは必ずあり、無意識に目に入っている。

でも海は、海のある所へ行かないと見られない。だから、目にした時に感動し、存在感が大きい。

海に会うと、勝手に心が広がる。
それは、自分と海との対話かもしれない。

私も、誰かにとって …ものすごい欲を言えば、全ての人にとって… 海のようになりたい。

と思ったけど、無理だ。

私は 海じゃない。

海は、無条件に全てを受け止めてくれるのかもしれない。だから、心が凪ぐのかもしれない。
海は、何も聴いてくれないけど、全てを聴いてくれる。

でも海は、海自身が、相づちを打てない。
海自身が、言葉や表情を造って返してくれはしない。
海との対話はできるけれど、それはきっと、海を通しての自分との対話だ。海がくれる反応は、自分の中に在る。

そこが、海と私との違いだ。

私は海のようにはなれないけれど、
私自身が私の反応で相づちを打てる。
私自身の言葉や表情を相手に返すことができる。

この反応が欲しい時も、人にはあるはずだ。

私は、安心してそこに自分の身を置いておこう。

私は、人の話を聴くことを仕事にしたいと思っている。
人の話を聴く時、私も海のようになりたいと思ったけど、そして一瞬悲観的に無理だと思ったけど、自分には海には無いものがあると気付き、

そう思った。

・・・

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