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片道40分のママチャリと京都

朝パン屋さんからする焼きたての匂いは無条件にしあわせな気持ちになる
夜中、お菓子屋さんからする仕込みのいい香りに「わたしもがんばろう」とあと少し自転車を走らせる

出町ふたばの行列を見て、「今日は土曜日か、」と思い出す先輩の言葉を朝、出町ふたばのまえを通ると思い出した。

closedの隙間にみえる
温かい灯りとカウンターに座るお店の人

いつでも明るいコインランドリーは
気のせいか、冬の方が温かい匂いがする

赤 青 黄 に赤丸50の光が照らす並木道

あのバス停まで歩こうと決めても
快く通り過ぎることがほとんど

明日の朝ごはんを買おうと思っているのに
スーパーのない住宅街を道に選び
結局、近くの100円ローソンとフレスコに頼っていた

その日教えてもらった曲を聴いて帰り
1年間で好きな曲がすごく増えた

勇敢に自転車マークの上を通る日も右耳のイヤフォンは外せない

夕方5時に家路に着く日は、少しの寂しさを残しつつもきれいな空に嬉しくなって寄り道が止まらない

出町柳を過ぎた時にマフィンを食べるか否かの葛藤

明日は燃えるゴミの日か。待ちきれないゴミ袋をみて確認する

ぷかぷか浮かぶ考えをまだ浮かばせていたい時は自転車を置いて宝ヶ池公園を散歩する

帰り道ネコにあったらとりあえず一旦停止
会えるかな?と期待しながら通る道も見つけた

住宅街の隙間から探す星

信号が変わった瞬間「よ〜いどん」のチャリ通ロード

片道40分の自転車をさいごまで
「遠いけど、この時間が好きです。」
と、言えたのは京都だったからかもしれない。
毎日何通りもある道から好きな道を選べた。

帰り道、好きな本屋さんや映画館、カフェがあってよかった。"明日"をいきる力をもらった。

行きも帰りも、ほとんど目につく場所は一緒。
ここの灯りが好き、このお店の外観可愛い、ここは年中クリスマス、土日のデルタはあったかい、
あの建築事務所のお花はいつも凛と淋しげ
きょうは、あのお店の人が元気だ。

田舎の道とは異なる忙しい道に心が折れそうになったことはもちろんあったけど、
雨の日にしか見えない景色、
人が多い土日も、朝の静まった商店街も。
映画のワンシーンみたいなきらきらが散らばった京都の道はおもしろくて、愛おしい。

一年間ママチャリで通り過ぎた日常の京都がすごく好きだった。
そして、懐かしく愛おしい道が増えた今も
京都はわたしの特別な場所だ。

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