まさかボロブドゥール 1
高校の世界史の授業では、図説の写真ばかり見ていた。アンコールワット、マチュピチュ、ロゼッタストーン、万里の長城、そしてボロブドゥール。
大学3年生の時、ゼミの先生がカンボジアで研究をしていたので、アンコールワットに連れて行ってもらった。アンコール遺跡群はアンコールワットだけではなくて恐ろしくたくさんの遺跡があった。そして恐ろしく暑かった。アンコールワットのレリーフは想像していた何倍も美しかった。遺跡からの夕日も美しかった。美しい景色が大きすぎて一度に目に入りきらなくて、それが悔しかったのを覚えている。
カンボジアで見たのは美しい景色だけではなかった。内戦による虐殺の跡、地雷によって手足を失った人々、路上で物乞いをする人、親の代わりに働く子どもたち。遺跡は多くが壊されたり崩れたりしていて、外国の研究者たちが修復を行っていた。日本からもいくつかの大学がチームを組んで発掘や修復を行っていた。その時ちょうど、たくさんの仏像が遺跡内の穴に捨てられていたのが見つかって、掘り出す作業をしているところを見せてもらった。
記憶の中のアンコールワットは素晴らしいものだったのに、日記を読み返すと1日目のページに「もう帰りたい」と書いてあった。いろんなことが受け止めきれなかったんだと思う。
それらのことはずっと忘れて生きていたのに、今年の春ふと「ボロブドゥール」という文字が目に入った。その時、あ、行ける、と思った。
友達の冬ちゃんに「ボロブドゥールを見に行きたい」と言ったら「そうなんだ。私は台湾に行きたい」と言われた。
それから、冬ちゃんのいとこがインドネシアに転勤になった。
冬ちゃんのいとこに聞いてみたら、インドネシア旅行のベストシーズンは8月〜9月だということがわかった。
冬ちゃんのいとこはいつでも遊びにおいで、美味しいインドネシア料理をご馳走してあげる、と言ってくれた。
冬ちゃんの好きな食器を売っている店がインドネシアにあることがわかった。
冬ちゃんがインドネシア行きの安い航空券を見つけた。
というわけで、インドネシアに行ってきた。
ちなみに冬ちゃんが航空券とホテルを予約して、旅行のスケジュールを立てている間、私はマリッジブルーならぬトリップブルーになって、他の友達に励ましてもらう始末だった。
ボロブドゥールはインドネシアにあるのだ。ボロブドゥールを見に行きたいとは言ったけれど、インドネシアに行くなんて全く心の準備ができていなかった。
そんな私に冬ちゃんが探してくれた素敵なサイトがこちら。今回はこちらのツアーを利用しなかったけど、もう1回行くことができたらこの会社のツアーに参加してみたいな。
つづく。