ランダム半裸マン

きゃー！！出たぁー！！！
今日はどっちなの！？

どっちがいいんだいお嬢ちゃん？

えー、そりゃ上の方がいいに決まってんじゃん！

お嬢ちゃん。
人生って言うのはねそう上手くは
いかないものなんだよ。

え、と言うことはまさか…

彼はいかにもなトレンチコートを翻し
両の乳首を露わにした。

上でしたー！！　

良かったぁ。
今日こそは下半身だと思ったから
事前に110押して
後は発信するだけの状態にしてたよ

残念だったね。
まだまだおじさんは捕まらないよ。

ねえねえ、おじさんは捕まりたくないから
いつも上半身を露わにしてくるの？
それだったらなんかがっかりだな。
露出狂としてダサくない？

お嬢ちゃんそれは違うよ
僕が上下の半身のどちらを露出するかは
完全にランダムなんだ。
たまたま上半身露出が1週間続いただけだよ。

えーほんとかな？

本当さ、完全にランダムなのさ。
たまたま上半身が続いただけ
これはすごく珍しいことだよ。
まぁ「たまたま」も「チン」も
出てないんだけどね！！
じゃあまた明日！！

そう言い残し、露出狂のおじさんは去っていく

私がランダム半裸マンと会ったのは1週間前。
部活を終え高校から帰宅途中の午後8時頃。
自宅の最寄り駅から普段は気味が悪くて通らない近道を使った時のことだった。

今思えばあんな街灯もなく、人通りも少ない
路地裏に露出狂がいない訳がなかった。
むしろ露出狂と出会わない方が
珍しいぐらいの道だ。
石を投げれば露出狂に当たるだろうし、
露出狂に当たって軌道が変わったその石は
別の露出狂に当たるだろう。
私がもし先人だったらその光景を見て
一石ニ露出狂という六字熟語を生み出していたことだろう。

そんな露出狂のホットコーナーに迷い込んだ
私の前に、露出をしていない状態の露出狂、
つまり「狂」が現れた。

大きなトレンチコートで全身を覆う姿を見て、
それが露出狂だと気づくのにそう時間はかからなかった。

上か、下か？どーちだ！！


ドラムロールが鳴り始める


うえか？した？
どういうこと？

お嬢ちゃん察し悪いね。
上半身か下半身どっちを露出していると思う？


徐々スピードを失うドラムロールの音

ドラムロール終わっちゃうよ
ほら早く早く答えて！

え、じゃあ！！下！！

ダダンッ！！

マントを翻したおじさんは
２つの桃色乳首をあらわにした。

残念上でした。

社会に出ると下だと思ってタメ口使っていたら
上だったなんてことはザラにあるからね。
お嬢ちゃんこれをわいせつ行為と捉えるんではなく、社会勉強として昇華するんだ。
君のためにも、僕のためにもね！！！
じゃあまた明日！

そう言っておじさんは去っていった。

これが1週間前の出来事。
ここからは今週のランダム半裸マンの
ハイライトを振り返りましょう。

〜火曜日〜

ダダンッ！！

上でした！
残念だったねお嬢ちゃん。
昨日が上だったから今日が下？
そんな単純な話じゃないんだよこのゲームは。　
これだから最近の若い奴は！！
おっとこれじゃパワハラになっちゃうね。
いやいやその前に普通にセクハラか！！笑
じゃあまた明日！！

〜水曜日〜

ダダンッ！！

上でぇーす！！
今日は乳首の調子が良くないから下が良かったんだけど、こればっかりは僕が決められることじゃないからね。
このチク色の悪い乳首を見て分かるだろ？
完全にランダムなんだ。
ちなみに僕は毎日下半身を露出したいと思っているよ。
じゃあまた明日！！

〜木曜日〜

ダダンッ！！

上だよ。
今日こそは下だと思ったから股間から脛の辺りにかけてファイアートルネードのギミックを搭載したのに残念だよ。
じゃあまた明日。

〜金曜日〜

ダダンッ！！

あぁ、今日も上か。
なんでこんなにも上しか出ないのか
僕は昨日の夜考えたんだ。
そして１つの真理にたどり着いた
君の覚悟が足りないからだ。
僕はいつでも下を出す覚悟はあるのに
あとは君の覚悟次第だ。
明日のこの時間までまだまだ時間はある。
今日は家に帰って
一晩ゆっくり考えてごらんなさい。
はい、じゃあまた明日。

〜土曜日〜

ダダンッ！！

ここまで下半身が出ないのは初めてだよ
確率にすると2の5乗だから32分の１
それにその数を僕が今日までにお嬢ちゃんに
見せた乳首の数で割ると32÷10＝3.2
3.2という謎の係数が出たよ。
なんだろうね？この係数は？
じゃあまた明日！！

露出狂に遭遇するなんて凄く不幸だけど、
意外にも私にとってこの1週間は刺激的で
一生忘れないものになった。
つまらない日常を変えてくれた
ランダム半裸マンに感謝を伝えたいぐらいだ。

あれ、何これ？

紙切れが落ちている
ランダム半裸マンが去り際に何かを落としていったようだ

確定上裸マン…？

私がランダム半裸マンだと思っていた
露出狂のおじさんは確定上裸マンだった。