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高気圧がもたらす波

先週はこの時期においては強い寒気が上空に流れ込み、北日本では季節外れの雪が降りましたねぇ。
西~東日本の太平洋側では東ウネリが続いていますが、この週末は関東でも気温が下がり、波待ち中などにほっぺにあたる風がとんがり気味でした。
沿岸でも東風が吹いてしまい、波があるところには風が入りやすい、というパターンの日が目立ちましたが、入り組んだ地形のエリアでは風を軽減するポイントを中心に、毎日出来ているようです。
わたくしもこの週末は北東~東風をかわせるところへ行きましたが、そんな時に普段行くいくつかのところではない、20年ぶりくらいのポイントへ行ってまいりました。
昔を思い出し懐かしく、風は多少うっとうしくともふんわり楽しい週末だなと感じた次第です。

さて、前回は【高気圧の色々】についてお話ししましたが、今回は「高気圧がもたらす波」についてのお話です。
日頃波情報の予想・概況文などで「高気圧の吹き出し」という言葉を目にすることがあると思います。
前回のお話ししたように、高気圧からは風が吹き出しているわけですが、この風によってもウネリが生まれます。
4月に入って太平洋側では主に高気圧の吹き出しによる東ウネリが続いています。
↓は、今朝の天気図とWindyからお借りした同じ時刻の風の様子です。

2021041209 気象庁天気図

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本州の南~東海上では移動性高気圧の南側のフチに沿って、北緯30度前後辺りを東西に4000km弱の距離にわたり東寄りの風が吹いています。

波が生まれる要因は風。
海上で、「強い風」が「長い距離」を「長い時間」吹き続くほど、力を持った波が岸にたどり着きます。

合間に低気圧や前線が通過しながらも、比較的大きく東西に距離がある高気圧がゆっくりと移動することで、「高気圧の吹き出しによる東ウネリ」が、多少の強弱がありながらも入りやすい日が続いています。

このように、春や秋の高気圧により生まれる波は、移動性高気圧からとなります。日本海側でも、高気圧の西~北側のフチで吹く、南西~西風による波で遊べる日もあるでしょう。

季節が進み、梅雨時期になると、オホーツク海高気圧から梅雨前線に向かって吹く北東~東風によって風波やウネリが強まることがあります。
また、梅雨前線の南側では南の海上に張り出してくる太平洋高気圧の西側のフチを回る南~南西風によるウネリも期待ができます。

夏になると、太平洋高気圧が日本付近を覆うわけですが、その中心が北寄りに偏る夏になった場合には、↑の図よりもさらに長い距離を、日本の東の太平洋上で東寄りの風が吹き続くことになり、東ウネリが強まることがあります。
2018年の夏は太平洋高気圧が比較的北へ偏り、千葉などでは高気圧の吹き出しによる東ウネリでムネ~カタ、時にはアタマサイズも入る日が一週間ほど続いたことがありました。
オリンピック会場は東ウネリがメインとなり、夏の間は台風からのウネリの期待は薄いため、こうした東ウネリがうまく反応するタイミングになることを願います。

そして冬は「寒気の吹き出し」です。
西高東低の冬型の気圧配置が強まると、大陸のシベリア高気圧から日本海へ北西~北風が吹き出す風によって生まれる波で、日本海側はシーズンイン。
また、この風は、中部山岳地帯の西側から東海エリアに吹き抜ける西風となり、東海や湘南、千葉南部などに西ウネリをもたらします。

ウネリをもたらす素となるのは温帯低気圧や台風というイメージがありがちですが、高気圧も充分その素となり、日頃私たちは恩恵を受けています。

海上で強まる風でウネリが生まれ、沿岸では風が弱い!というのが理想的なパターンかもしれませんが、自然とともに生きる私たちが、その自然に合わせて楽しめたら良いなと思います。

また、ここ数日トカラ列島近海で群発地震が発生しています。連動してどこかで大きな地震や噴火が起きなければいいなあと願っています。
ここのところ繰り返し言っていますが、海へ向かいポイントへ到着したら、サーフィン中に大地震や大津波が発生した場合の避難経路や避難場所を確認した上で、海へ入るよう習慣づけておくことが大切です。


気象予報士
塩田久実