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【温帯低気圧が発達するときの進路】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。

梅雨前線が南の海上に停滞する日が続いています。
梅雨入りしているのは今のところ沖縄、奄美地方のみで、今週は晴れの日も多く、真夏日となったところもありました♪
今後はじわじわと前線が北上し、そろそろ九州南部などから梅雨入りしていくでしょう。
 
ときおり前線上に低気圧が発生していますが、前回お話ししたように、梅雨(停滞)前線は北側の寒気と南側の暖気の気温差が小さめで、風も比較的弱いため、あまり発達しないことが多く、前日の予想天気図には存在していた低気圧がなくなっていたり、もっと発達する予想図だったのに小さな弱い低気圧になっていたり、また、その位置が大きく変わっていたり、と、しっかりと存在感のある低気圧とはちょっとイメージが違うのも梅雨の特徴です。
 
では、今の時期に限らず、温帯低気圧が発達する際の進路についてのお話をしたいと思います。
 
温帯低気圧は基本的には西から東へ進むのですが、常に真東というわけではなく、北寄りだったり、時には南へ下りながらなど様々です。

低気圧は進むどの方向に進むかによって発達するかしないのか変わってきます。
低気圧は、低気圧や前線の南側の暖気が上昇して上空へ、北側の寒気は下降して下層へ広がり、中心付近の気圧が下がることで発達し、雨風が強まります。
発達する低気圧は、温暖前線が北上する速度に比べ、寒冷前線の移動が速いため、暖域と呼ばれる温暖前線と寒冷前線に挟まれた南側の領域が次第に狭まりながら北東(時にはもっと北寄り)へ進みます。
 
大陸や東シナ海に発生したのち南岸を進み三陸沖(東北地方の東海上)や、対馬海峡を通り日本海からオホーツク海へ進むコースなどは、典型的な発達するパターンです。
 

梅雨前線上の低気圧は東寄りへ進むことが多く、一部温暖前線や寒冷前線に変わってもその距離は短く、風が大きく強まるほど発達することは少ないのです。
時には北東寄りに進んで少しは発達し、海上で風が強まるとサイズアップすることもありますので、テレビやインターネットなどで予想天気図を見るときには、その進路もよくご覧くださいね。
 
今回は、
低気圧は北寄りに進むとは発達する。
東や南へ下る時にはあまり発達しない。
(しかし、熱帯低気圧や台風はこれに当てはまらない。)
というお話でした。
 
気象予報士
塩田久実