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【晩秋から初冬へ】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。

立冬を過ぎて暦の上では冬に入りました。昼間の太陽の位置も低くなってきて、日が出ている時間もだいぶ短くなってきた今日この頃。
水温も少しずつ下がり、台風が発生しても発達したまま日本へ近づくことはなくなり、ウエットスーツも厚みを増し、装備も徐々に増えていきますねえ。
さて、台風シーズンも終わりを迎え、移動性高気圧と交互に日本付近を通過する低気圧が発達する時期です。
 
地球の中緯度(北緯30~60度付近)上空には、北極を中心に地球をぐるっと一周している偏西風が吹いていますが、偏西風の中でも特に強く吹いているところをジェット気流と呼んでいます。
ジェット気流には、南側の亜熱帯ジェット気流と北側の寒帯前線ジェット気流の2つがあり、夏にかけて北上して弱まり真夏はほぼ消滅、冬は南下して強まるのが特徴です。
 
寒帯前線ジェット気流の北側には冬の主役となる寒気があり、北極の寒気が強まると偏西風はその寒気に押され南下してきます。


秋が深まり冬が近づくこの時期の11月は、日本付近に寒気が下りてくるようになります。


10日の9000m前後付近の予想図。赤丸内が日本列島です。寒帯前線ジェット気流が蛇行しながら北海道の北端辺りを通って吹いています。
 
移動性高気圧や低気圧は寒帯前線ジェット気流と関係が深く、寒気が南下して風速が強まってくると日本の南に残る暖気に対し寒気の押しが強くなり、低気圧が発達しやすくなります。
 
この時期は、低気圧が朝鮮半島の北側を通り、次の日には中心気圧をかなり下げながら北海道付近を通過していくのが良くあるパターン。低気圧が大陸にある時にはまださほど発達していませんが、日本海を通過しながら発達していきます。
今週末やってくる低気圧がちょうどそれ!
12日(土)9時に朝鮮半島の北を1014hPaで進む低気圧は、翌13日(日)の9時には996hPaに気圧を下げながら北海道付近を通り、14日(月)には990hPaを切って千島列島付近を通過する予想となっています。

気象庁HPより

爆弾低気圧にはならないまでも、気圧が下がる→風が強まる!ということですから、海は荒れますが通過後の波に期待ができます。
 
低気圧や前線が近づくと南~南西風が強まって、太平洋側は南向きのポイントは風波でサイズアップ。この時点では南向きのポイントはコンディションが良くなくジャンクとなるところが多く、東寄りに向いたポイントへ向かうのが無難です。ただし、低気圧の発達具合によっては突風レベルのオフショアやサイドオフで、川のように流れがあったり、、、そんな時は風をかわせるところをうまく選ぶことも大事です。
そして、前線が通過して風が北寄りの変わったら南向きのポイントへ。
また、日本海側は、南西のち北西~北の風と波が強まり広い範囲でなみある!状態となります。
 
11月上旬は穏やかな天気が続き、日中は暖かい日が多かったものの、低気圧や前線の通過後には冬型の気圧配置となり、大陸が吹き出すひんやりとした空気が入り込んできます。この北寄りの風が風速8m以上になると「木枯らし」です。
まだ晩秋、初冬のこの時期は冬型が居座ることなく次の高気圧がやってきて穏やかな天気となりますが、サイズダウンも早いので、タイミングを逃さぬようご注意を。
 
低気圧が寒気を引っ張ることで最高&最低気温も少しずつ下がって、確実に季節は進んでいきます。
低気圧が定期的に通過するこの季節、タイミングよく楽しんでくださいませ。
 
気象予報士
塩田久実