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【冷夏の可能性は!?】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。

立春を迎え暦の上では「春」となりましたが、この連休前には関東の平地でもまた雪が。

連休明けや来週末も再び太平洋側でも雪となる可能性もあり、まだまだ寒い日が続きます。
でも、2月も中旬に差し掛かり、冬型の気圧配置が続きづらくなり、寒い日と暖かい日が交互にやってきて、日もだんだん長くなり、少しずつ春が近づいてきますねー。

先日は寒さも吹っ飛ぶケリー様の快挙が♪
50歳の誕生日を目前に、息子ほど年が離れた選手たちを倒し、5年半振りのCT優勝は素晴らしすぎました!

さて先日、「トンガの噴火で今年は冷夏になるの?」と聞かれました。
サーファーにとって、夏が少々寒かろうが波があれば問題はありませんけれども、夏はスクールを受ける方も多くなる季節です。これからサーフィンを始めたいと思っている方々は、夏になるほど多くなるのではないでしょうか。
せっかく四季がある日本ですから、やっぱり夏は夏らしく暑いっていうのがいいですよねえ。

ということで今回は、火山噴火がもたらす異常気象について少しお話ししたいと思います。
気象庁の定義によると、「異常気象」は「1か月の平均気温や降水量が、過去30年間、あるいは、それ以上の期間、観測されなかったほど、平年値と差がある場合」となっています。
要するに、いつもの年と大きく異なる天候ということですね。
異常気象には様々な要因がありますが、火山噴火がもたらすこともあります。

火山噴火により大量の亜硫酸ガス(二酸化硫黄)と水蒸気が上空に吹き上げられ、高度10~15km以上の成層圏まで達すると、硫酸塩の微粒子が数年にわたり滞留します。これにより日射が遮られ、地上の気温が低下します。
これを「日傘効果」と呼びます。

1982年3月と4月にはメキシコのエルチチョン火山が大噴火し、日本でも地面に直接達する日射量が、平年に比べ約20パーセント減りました。
また、1991年はフィリピン・ルソン島のピナツボ火山が20世紀最大の大噴火を起こし、翌年1992年の世界の年平均地上気温が0.5℃近く低下しました。このように、火山噴火により数年ではありますが一時的に気候変動をもたらすことがあるのです。

1月15日には、南太平洋の海底火山であるフンガトンガ・フンガハアパイ火山が大噴火しました。
ピナツボ火山噴火が発生した1991年頃に比べると、これまでに宇宙からの大気に関する観測網がかなり進歩し、今では複数の衛星が地球規模で二酸化硫黄の観測しています。
今回のフンガトンガ・フンガハアパイ火山の大噴火による二酸化硫黄放出量は約40万トンと推定されました。
この放出量はピナツボ火山噴火による二酸化硫黄放出量(約1700万トン)の42~3分の1と、他の中規模火山噴火と同程度に留まっています。

フンガトンガ・フンガハアパイ火山噴火は、規模は大きかったものの顕著な気候変動をもたらす可能性は低く、冷夏へ繋がる心配はあまりなさそうです。(よかった!)

ちなみに、今月の気象庁の「エルニーニョ監視速報」では、「春の間にラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性が高い(70%)」と発表されましたので、今のところ猛暑となる可能性も低めのようです。

以前も少しお話ししましたが、日本は国土面積が地球上の陸地の約1/400ほどという大きさに対し、日本列島とその周辺で起こる地震や火山噴火によるエネルギーは、地球全体の約1/10に達していると言われています。
地球の表面は10数枚のプレートと呼ばれる岩盤に覆われていて、日本列島は4枚のプレートがひしめき合っているところにあります。
これらのプレートの境界付近で火山活動や地震活動が活発となるため、日本は地球上でも火山噴火や地震が多く発生する国であることは間違いありません。

いつどこで何が起こっても、備えあれば憂いなし。
日頃からぜひ備えを。

気象予報士 防災士
塩田久実