【秋の空】なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。
気が付けば秋の土用も後半に入り、暦の上での秋も残り少ない日々となってきました。
秋晴れの日など、朝は放射冷却で冷え込み、日差しが届く日中は気温が上がり、1日の中でも寒暖差が大きな日が目立つ10月も終盤の今日この頃。
低気圧や台風が日本付近や南~東海上を通りながら寒気を引き込み、少しずつ、いや結構急速に季節が進んでいくのが感じられます。
長い夏が終わり少し経っただけのような気もしますが、秋をほぼすっ飛ばしてもう冬の足音が聞こえてくるような!?
気圧配置も冬型の日がぼちぼち現れるようになっており、日本海側もなみある日が増えてき、いよいよシーズンが始まりますね!
先日久々に湘南へ行った際、久々に富士山を拝みましたが、その数日前の、上空に寒気が入り地上気温もぐっと下がった日に一気に雪をかぶったとのこと。
9月10月は高気圧が北へ偏ることが多く、南海上には台風がいたり、東~南東海上に前線が停滞するなど、西~東日本では、よくもまあここまで吹き続くな!ってぐらいの北東~東風で、わたくしが居住する千葉の東向きのエリアなど、毎日波はあっても荒れ模様の海ばかり。。。
しかし、東京湾を挟んで隣の湘南は穏やかーーな海が広がっており、まるで別世界でした。
そして、今月のエルニーニョ監視速報では、またまたラニーニャ現象が続くとの発表でした。冬にかけては90%、冬の終わりまでは60%の確率で!ということは、今年もまた寒い冬になりそうですね~。
2021年の夏に一時的に途切れたラニーニャですが、2020年の夏から2年以上経ち、今後も続くとなるとかなり長いですね本当に。。
またもや夏と冬の差がーーー極端というシーズンとなりそうです。
ということで、この冬も冬将軍がドーンと居座ることが予想されます。
波のパターンはこんな感じでしょう。
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【2021~2022冬季、ラニーニャ再び】
さて、今回は波ではなく、秋から初冬の『雲』のお話を少し。
雲は空気が水蒸気を含みきれなくなり、水滴や氷晶の“雲粒”となり、それが集まったものです。
「水蒸気が続々と発生」したり、「空気が冷やされるとき」に水滴や氷晶からなる雲粒ができるのですが、どんな場合にそれが起こるでしょうか?
それは「空気の上昇」です。
寒冷前線や温暖前線付近で暖かい空気(軽い)が冷たい空気(重い)がぶつかり、暖かい空気が持ち上げられるときや、日射によって暖まって軽くなった空気が上昇するのですが、上昇した空気が気圧の低下とともに膨らみます。膨らむためにエネルギーを使うことで温度が下がり、雲が出来ていくんですね。
「秋の空は高い」と感じるようになりますが、これは「空の透明度」夏とは変わってくるからです。
夏は太平洋に中心を持つ水蒸気たっぷりの高気圧に覆われますが、秋になると水蒸気量が少ない大陸から移動してくる高気圧が通過していきます。
この「空気の出身地」によって水蒸気量が異なり、秋の空は水蒸気の量が少ないため、空の青さが濃く、空が澄んで見えるようになります。
春も大陸から移動性高気圧がやってきますが、冬の間の雪や氷が融けたばかりで、土や砂が舞い上がりやすく、春の使者とも呼ばれる「黄砂」も偏西風に乗って飛んでくるため、空気は霞んでしまいます。「春霞」ですね。
一方、陽射しが弱まって気温が低くなる秋は、水蒸気量が少なく上昇気流が弱くなるため、春や夏よりも秋は澄んだ空色になり「秋の空は高く」なるのです。
水蒸気量が減って上昇気流が弱くなり、入道雲のような大きな厚い雲は見かけなくなりますが、それでも秋には様々な雲が現れます。
上空5~13km付近、空の最も高いところによく見られるのが「巻雲(けんうん)」です。羽毛状、かぎ状で絹のようにもなる薄い雲で、一般的には「すじ雲」とも呼ばれます。
それから同じ高いところに現れるのが「巻積雲(けんせきうん)」です。雲が小さな塊状になって群れを成し、うろこ状、さざ波状で、「うろこ雲」や「いわし雲」とも呼ばれます。氷の粒で出来ています。
そして、上空2~7km付近の中層には「高積雲」もよく見られます。巻積雲と似ていますが、雲の塊がやや大きめで、「ひつじ雲」や「まだら雲などとも呼ばれます。少し高度が低くなるので、氷の粒だけでなく、水粒も含まれています。
秋の代表的な雲をご紹介しましたが、他にも色々現れますので、波が穏やかな日の波待ち中や海上がりに空を見上げて雲を眺めてみてはいかかでしょうか。
ただし、わたくしは見上げすぎて波が来たのに気づかずでんぐり返しをしたこともありますので、見上げ過ぎにはご注意ください。
気象予報士
塩田久実