なみある?塩田気象予報士の波や天気のお話。【波の周期(波長)】

年末年始は大寒気が居座り冬型の気圧配置が続くことも度々ありましたが、1月中旬ぐらいからは低気圧と高気圧が交互にやってきて、このところの天気図を見ても落ち着きなく変化しています。
私が住む千葉では、年明けはなんとなく波がくすぶっているような日が続いていましたが、先週末は低気圧や前線が南の海上を東進して、大きな変化がありました。

この週の波のことも含め、今回は【波の周期(波長)】のお話をしようと思います。

20210124マルキ note

先週末、23日(土)は低気圧の北側に東西に停滞前線がかかり、沿岸では北東~東風がかなり強まりました。

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まず(土)(日)は、風波とともに東ベースのウネリが強まり、東向きのポイントを中心にサイズアップ。千葉以北ではジャンク&ハードでクローズアウトのポイントが目立ちました。
しかし、風を軽減、またはかわせて、ウネリを拾える南~南東向きのポイントなどでは、マズマズ出来ていたポイントも所々に見られました。
ただ、沿岸で強めに吹いていた北寄りの風が煩わしく感じた方も多かったようです。
「この風何とかなんないの。(止めて!)」と、何人かの方に言われたんですが、波や風の予想は出来ても、風を止める魔法のような能力は持ち合わせておらず。。。

25日(月)には低気圧は発達しながら東海上に離れ、東ウネリが波長を伸ばしながら、26日(火)にかけてもしっかりと続き、東向きのポイントはハードコンディションが続きました。
前の週の時点では、(火)には東向きのポイントでもコンディションが回復するかなあと期待していたのですが、オフショアが吹かずに風が止んでいったことで、この日も波がまとまりきらずに終了しました。
(土)(日)は付近の海上で強く吹く東風により生まれる東ウネリで波長は短く、週明けは日本付近の風が徐々に弱まりつつ、発達しながら東海上へ離れていく低気圧の周辺から伝播してくる(波の周期が長くなった)ウネリがメインとなっていきました。
Lolaの波高データは(火)にかけて徐々に下がっていたものの、同じ東ウネリでも波の周期 (波長)が伸びていったことで、サイズを下げずにしっかりと波が続きました。

ここで、波の素について振り返ります。
波が生まれる要因は風です。
① 海上で吹く風が強い。
② 海上で吹き続く距離が長い。
③ 海上で吹き続く時間が長い。
この3つの条件がそろうほど、力を持った波が岸にたどり着きます。

海上に波がある時、一つの波の山と谷との高さの差を「波高」といいます。
そして、波の山のてっぺんから次の波の山のてっぺんまでの距離を「波長」といい、その間の時間を「周期」といいます。

波高 波長


波をざっくりわけると「風浪」「ウネリ」の2つからなっています。

「風浪(ふうろう)」とは、
海上で吹いている風によって生じる波のこと。海上で風が吹くと、海面には波が立ち、その波は風の吹く方向に進んでいきます。波が進む速さ(波速)より風速が大きければ、波は風に押されて発達していきます。
風浪は波が発達する過程に見られ、各々の波の形は不規則で尖っています。発達した波ほど波高が上がり、周期と波長も長くなり、波速も大きくなります。

次に「ウネリ」とは、
風浪が風の吹かない領域まで進む、海上の風が弱まる、風向きが急に変化する、など、風による発達がなくなった後に残される波のこと。
波の形は規則的で尖っておらず、横から見るとゆるやかな山型になっています。しかし、風浪よりも波長や周期が長いために沿岸に届くウネリは、海底の影響を受けて急激にサイズが上がることが多々あります。

風浪とうねり

海上で風が吹いて生まれた波は、例えばロープの一端を思いっきり上下に振るとロープの波が先に伝わっていくのと同じように伝播していきます。

波の周期(波長)が長い波は、遥か遠い海上の台風や発達した低気圧の周辺で生まれる強烈な風浪が長い距離を吹走することで、沿岸に到達する頃にはしっかりとセットにまとまって届きます。
その波の周期は高い数値に跳ね上がります。

波高グラフ

波周期

予想データの「波高」が低くても「波の周期」が長い時には、セット間隔が明確にあり、思ったよりサイズもパワーもある、ということをぜひ覚えておいてくださいませ。

気象予報士
塩田久実