小さな建築設計事務所で働くということは?
先日、建築士であるHappaさんが、組織設計事務所で働くメリット、デメリットを書いており、とても参考になりました。
それで今度は、私が経験した、小さな設計事務所で働くメリット、デメリットを書いてみようと思います。
私がいた設計事務所とは
私が以前勤務していた設計事務所は、地方の小さな設計事務所です。アトリエ事務所というような、デザインや作品性を重視するような事務所でもなく、各地方にある一般的な建築設計事務所だと思います。
従業員数:10人程度
設計建物:
A. 公共物件 学校、保育園、事務所などの新築、または改修工事 (市、県、国の入札により仕事を獲得)
B. 民間物件 地元企業の事務所、工場、店舗、個人住宅
設計期間:平均して、設計期間半年、工事期間半年、くらいの物件が多いです。民間物件であれば、設計も工事監理も同じ人が担当します。
そこでは、意匠設計、構造設計は社内でこなし、設備設計は外注していました。
メリット
1つの建物について、ひととおりの経験ができる
小さい設計事務所ではそれほど分業されていないので、入札、営業から、設計、積算、工事監理まですべて経験することになります。私は結果的に構造設計専門になりましたが、初めは住宅の意匠設計や申請、公共物件の積算までいろいろやりました。積算では、コンクリートの体積や鉄骨のトン数まで拾ったり、それぞれの単価を調べたりする仕事もあります。なかなか大組織の建築士では、そこまでの仕事をする設計者は少ないのではないかと思っています。
小さい組織なので、働き方に融通がきく
組織が小さいので、就業規則など、いろいろな決まりに縛られることなく、ひとりひとりの事情に合わせた働き方ができます。
私は3回産休、育休をとり、時短勤務で働いていました。
それまでは、会社で産休をとった事例がなかったので、自分でハローワークや社会保険事務所へ行ったりして制度を調べて、産休取れるように社長と交渉する必要はありましたが。なので、本来は会社や事務員がするべきである手続きをすべて自分でしました。(その後、後輩たちが産休とるときは会社が手続きするようになりました。)そのおかげで、自分の希望どおりに産休育休、時短勤務ができたと思います。
ほかにも、家庭の事情によって、出勤、退社時間もばらばらだったり、週3回勤務だったり、それぞれが、社長との話し合いによって、いろいろな働き方をしています。
組織が小さいからこそ、臨機応変にできることなのかと思います。
やりたい仕事を主体的にできる
ある程度の実力と、社長からの信頼を得ることができれば、やりたい仕事を主体的にできると思います。(これは大組織でも同じかもしれません。)
従業員が少ないので、何年か働けば、自分の上にいるのは数名の上司と社長だけです。その人たちを説得できれば、けっこう自分のやりたい仕事をできるような気がします。
例えば、自分がどうしてもやりたいコンペの仕事があれば、「社長、これ参加しましょうよ!」と言って情報や協力業者を集めて、挑戦することができます。
会社的に、強化していきたい分野があれば、みんなで勉強会を開いたり、講習会への参加を提案することもできます。
時には、経営に口出ししたりとか・・・。
社長との信頼関係、力関係にもよりますが、大組織よりは、自分のやりたいことを自由にできる気がします。
デメリット
社内の技術や情報が少ない
社内での技術や情報が少ないので、積極的に、社外の勉強会へいったり、人脈を作ったりして、教えてくれる人と知り合いになる必要があります。
若い時は人脈を作るのは難しいかもしれませんが、工事現場や打ち合わせなどで、素直にわからないことを聞いたり、頼ったりすると、いろいろと勉強ができたりします。
今はSNSなどで人脈を広げることも多いかと思います。
社長が個性的な人が多い
設計事務所の所長は、やはり個性的な人が多いです。所長との相性が、その事務所で長く働けるかどうかの分かれ目になってくるような気がします。
そして、もう一つ、小さな設計事務所には、大きな声で言えないデメリットがあります。それは、「給料が少ない」です。これは致命的・・・
男女平等と言われていますが、やはり女性はさらに給料が少ないことが多いのが現実です。
これは今後、変えていかなくてはいけないことの一つですね。
参考になったでしょうか?
ご意見や感想を頂けると幸いです。