アルゼンチン現地運転免許取得方法(四輪編)
Hola!
先日、現地の運転免許を取得しました。
私の場合、通勤含め、普段の生活や仕事では車を使いません。
しかし
どー---してもパタゴニア&北西部レンタカー旅がしたいのっ!!!
という気持ち (プラス、こっちで免許取ってみるの面白そうという好奇心) があり、独自に免許を取得することにしました。
かくして、情報を集め始めたのですが
会社起用のエージェント経由(仕事で使うため)以外で免許切替した知り合い>>>皆無
インターネット上の情報>>>皆無
だったため、勝手が分からずかなり苦労しました。
すったもんだの挙句免許取得に成功した現在、全日本人で1番アルゼンチン(ブエノスアイレス市)の運転免許事情に詳しい自信があるので、今後私のような方の参考になればと思い、ここにシェアさせて頂きます。(需要あるのか….?)
注:本記事は、2022年現在のブエノスアイレス市 (Ciudad Autonoma de Buenos Aires, CABA) での手続きについて記載しています。ブエノスアイレス市外のブエノスアイレス州 (Provincia Buenos Aires) 含め、他地域では手続き・試験内容等異なりますのでご注意ください。
はじめに
現地免許を取ろうと思い立ったとき、
「日本で免許持ってるし、試験とかなしで簡単に切替できるんちゃうん」
と思っていました。
結論からいうと、日本の免許からの切替は(一般パスポート所持者は)できません。取得までのルートは初めて免許を取るアルゼンチン人と全く同じなので、けっこうめんどくさいです。
正直、市内では車必要ないですし、1度や2度の旅行のために取るのは普通に考えると割に合わないです。友達に運転お願いするか、ハイヤーでも使うかしたほうがいいです。
それでも自分で運転したいんだ!という情熱と免許取る過程も楽しい!という妙な嗜好を持った私のような奇特な人にのみおすすめします。
因みに、日本で取得した国外運転免許証(国際免許)は旅行者の場合アルゼンチンでも有効ですが、DNI(現地身分証)を取得し居住者となると国際免許は一定の猶予期間ののち無効になり、運転するには現地免許を取得しないといけないようです。
国際免許関連については日系企業の人からの情報で、実際のところ現地の人は誰も(市役所や免許センターの人ですら)当該ルールを知らず、レンタカー屋も確認なく国際免許で貸してくれます。ただし、万一事故を起こしたときの保険など面倒なことになりかねないので、私はきちんと現地免許を取得することにしました。
事前準備
大使館での「運転免許内容証明書」取得
アルゼンチンでは初回の運転免許取得から半年間は初心運転者期間として、高速道路(正確には、最低速度が〇〇km以上の道路、とかだったと思いますがすみません忘れました) の運転ができません。
日本で運転免許を持っている場合、その内容を証明するスペイン語の公的書類を日本大使館で発行してもらうことができ、これを持参して手続きすると半年間の初心運転者期間が免除されます。
- 発行手順
1) 日本大使館領事班にメールしアポを取る(コンタクトは以下リンク参照)
https://www.ar.emb-japan.go.jp/itpr_ja/02JP.htm
2) メールでのやりとりに従い、パスポートコピー、免許証コピー等を送付
3) 指定された日付に大使館に赴き、手数料を支払って受取
半年間は高速道路運転しない! という場合にはこのステップは省いてもかまいませんが、簡単かつ安価なので、取得しておくことをおすすめします。DNI取得前でもパスポートで手続きできます。
申込手続き~オンライン講習
ここからの手続きは、DNIが手元に届いてからになります。
①miBA登録
まずはスマホにCABAのシステム、miBAのアプリをダウンロードし、アカウント作成します。
手続き申込をするにはNivel3のセキュリティが必要になるので、DNIスキャンやら画面の前でウインクしたり笑ったりする顔認証やらなんやらをクリアして、認証取得します。因みにわたしはウインクが苦手すぎるからか、20回くらいやり直してやっとできました。
住所等は、DNI記載のものと一致させるようにしましょう。
またここで注意してほしいのが税金ID、CUILの登録。このCUIL番号、DNIカードの裏に記載されているDNI番号プラス数桁のもので、DNI交付前に仮に発行されるCUILナンバーとは別物なのです。私はこれを知らず仮ナンバーをずっと自分のCUILと思い込んでおり入力が間違っていたために後の手続き(ステップ➁-2)が進まず困り果て、市役所に4回も相談に行ってやっと原因発見に至りました。
➁Webサイトからの申し込み
日本で免許を所持している場合の手続きは、'Otrogamiento de Licencia de Conducir'になります。下記リンク先の説明に従って、申込進めていきます。
- 手順概要
1) CENAT(Certificado Nacional de Antecedentes de Tránsito)を支払う
CENAT支払いの際に、手続きを開始する機関を選択する必要があります。基本的に家から近いところで良いと思いますが、ここで選ぶ場所によって後の役所手続き・理論試験・実技試験を行う場所が変わってきます。(リンク先下部のExamen Prácticoの記載参照。Cede Rocaは同日に筆記試験・実技試験行えるので便利ですが、予約が争奪戦な感じでした)
私はCede Comuna 13で手続きしたので、以下はそれに沿った内容になっています。
2) 手続きの予約を取り費用を支払う
CENATを支払うと、数時間~1日後くらいに手続き開始が受け付けられた旨のメールが届きます。メール内のリンクから役所手続きの予約を取り手続き費用の支払いを行います。(CENATとは別)
③オンライン講習受講
➁-➁のメールにあるリンクから、自分の取ろうとしている免許のカテゴリー(普通自動車の場合は B)に合った講習の予約を取ります。受講は、市役所の手続きの日以前に完了しておく必要があります。
講習前日になると接続先リンクが記載されたメールが届くので、当日PC or スマホから受講します。
講師によるリアルタイム講習ですが、当てられたりするようなことはないので、スペイン語があまり分からなくても大丈夫です。笑
講習の最後のほうで、講師が受講完了報告に必要なコードをチャットに流すので、その番号とその他個人情報を別途メールで届くGoogleフォームに入力すれば受講完了扱いになります。
各種検査・理論試験@市役所
①手続き・検査
前ステップで予約した日時になったら、いざ、市役所(または免許センター)に出向きます。名前が呼ばれるごとにカウンターや小部屋に移動し、各種手続き・検査を順番にクリアしていきます。
1) 書類確認
始めに、カウンターで書類・DNIの確認と取得希望免許の確認が行われます。
2) 心理検査?
検査官と軽くお喋りしながら、シートにプリントされた図形を紙に鉛筆で書き写すような作業をさせられます。
3) 聴力検査・視力検査
普通の聴力検査・視力検査です。
4) 問診
既往歴等を聞かれます。
5) 宣誓
最後に、申告したことが真であることを宣誓します。
➁理論試験
さて、上記手続きを終えると続いていよいよ理論試験です。
市役所備え付けのコンピューターで受験します。3択の選択式問題40問で、7割で合格だったと思います。回答時間は十分あるので焦らなくて大丈夫です。
- 対策
問題の内容が公開されているので、気合で覚えれば100%合格できます。
筆者は学生時代に培った一夜漬け能力をフル稼働させて4、5時間かけて詰め込み、見事95%の正答率で合格しました。(ドヤ
※以前はCABA公式のページから出題可能性のある問題が100%網羅されたマニュアルがダウンロードできたのですが、2022年9月現在、なぜか閲覧できなくなっています。(一時的なエラーかも?)
下記のドライビングスクールのページから問題ダウンロードできるようですが、内容の同一性・網羅性については筆者未確認です。
- 裏技
気合で暗記とか言いましたが、問題自体は大半が簡単なものの、スペイン語なのでこれがなかなか厄介….。路肩とか追越し車線とか対面通行道路とか落石注意とか普通に単語分からないし、自転車専用通行帯にbicisendaとciclovíaと2種類あるなんて、そんなん知らんがな….って感じです。(ちなみにどっちがどっちだったかもう忘れました)
そこで、正答率上げるためのちょっとした裏技も紹介しておきます。筆者も知り合いから伝授してもらったものですが役に立ちました。
•Unicamenteとある選択肢は100%間違い
•正しいものを選ぶ問題では、8割方、最も長い文章の選択肢が正解
→覚える際に、最長の選択肢以外が正答の問題を特にピックアップして覚えました。そうすれば、残りの問題は内容に自信なくとも自動的に長い選択肢にチェックでokなので、労力削減に。
実技試験
晴れて理論試験に合格すると、その場で実技試験の予約が取れます。Sede Comuna 13 で手続きした場合基本的に、Aeroparque (Jorge Newbery空港)の近くにあるParque Extremoという試験場で後日実技試験を行います。
車は自分で用意しなくてはなりません。オートマ車に慣れている人はオートマを予めレンタカーで手配しておくか友人に借りる手はずを整えておくのがおすすめですが (ただし当日は自分以外の運転者同行の必要あり)、マニュアル車(ボロボロ)でも問題ないという方は、当日試験場前でレンタル業者さんに借りることもできます。
- 注意点
友人などに借りて車を手配する場合に気を付けておきたいのが、VTV (Verificación Técnica Vehicular、日本でいう車検みたいなもの) が切れていないか。これが切れていると会場に入れてもらえません。
日本で車検が切れた車を走らせていたら大問題ですがこちらでは普通に受けていない車が大量にある上、
ナンバープレートの数字によって受ける月が決まっていて切れた上で自分の受験月が回ってきたら受けるようなシステムになっているっぽく、きちんと管理してある(はずの)車でも切れている場合があります。
後述しますがわたしはこれで車1回、バイク1回、計2回も門前払いを喰らいました。
- 試験内容
試験官は同乗ではなく、それぞれのポイントで外に立って見ています。基本緩くて安全確認とかエンストとか指示器出してないとかそのあたりは何も指摘されませんが、コーン接触や脱輪は一発アウトになります。(たまに、見てない時もあります)
不合格になっても+2回までは後日再受験できるので、気楽にやりましょう。3回不合格になると、ステップ1(申込)からやり直しです。
1)坂道発進
オートマなら超余裕です。マニュアルでもサイドブレーキ使えばまあ間違いなくいけるでしょう。
2)ジグザグ
直線上に並んだコーンの間を縫って50mくらい進みます。普通に車運転できる人ならたぶんいけます。
3)バック運転
バックで小さなロータリーを1周します。内側のブロックにも外側のコーンにも車体やタイヤが接触してはいけません。日本の試験には無い内容なのでちょっと戸惑いますが、意外と幅広いし遅くてもいいので、ミラー見ながら注意深くやれば大丈夫です。
4)縦列駐車
鬼門ですが日本の試験場より縦幅広いし、タイヤを合わせるべきラインも引いてあるので落ち着いてやれば大丈夫です。私は盛大にミスって一度落ちましたが。笑
因みに日本ではまず出番がない縦列駐車ですが、CABAで運転するなら必須のスキルなので、ポール何本目が見えたらハンドル切って….とかじゃなく実際使えるように習得しといたほうが良いです。
コース参考動画
上記の内容を一通りクリアすれば、その場で10分ほどで免許証発行してもらえ、晴れて免許ゲット!です☆
‐ 体験談
実は私、何を隠そう、運転がド下手です。大好きなのに、ド下手です。
というか、空間把握能力が皆無なのです…..。(悲しい)
日本では自分の車所持して年間1万キロくらい運転していたので、慣れもあって普通の道を運転時に問題が露見することはまずないのですが (むしろ安定感あると言われる)、狭い場所での操作が求められる場内試験は超苦手分野…..。
直接目視できないところで車体と障害物がどれくらい離れているかとかタイヤから道路の端までの距離がどれくらいとか本当に分からず 、駐車・発進・狭路走行時にこれまでの人生で10回は擦ったりぶつけたりしてます。昔ですが実家の車の横腹に1メートルの傷つけたことも、レンタカーの後方ライト粉砕したこともあります。
1年ほど前に日本でオートマ限定解除試験受けたときは、S字で脱輪し戻ってまた脱輪しを3回繰り返し、最後のクランク出口もちょっと路肩踏んだ気がして落ちたと思いましたが、
「クラッチの使い方は上手いのでオートマで運転練習してください」
と言われ受かりました。
…..とそんな感じなので、めちゃくちゃ不安でした。
現地免許持ってる友人には、「免許持ってないそんじょそこらのアルゼンチン人が受かってるんだから日本で試験受かってて普段運転してた人が受からないわけない!」と言われてましたが….。
初回
レンタカー屋でオートマ車がくそ高かったので、ケチってマニュアル車を借りました。アルゼンチンでは、最近オートマも徐々に増えてきてはいるもののやはり大半がマニュアルです。
因みに限定解除でマニュアル免許取ってるので人生でコース内公道含めマニュアル車は4日しか運転したことがありませんが、マニュアルのバイクに乗ることもありクラッチ操作にはあまり抵抗がないです。それよりもそれ以外のとこが不安。
自信がないことに対して異常に緊張するタイプの私は、開始前から心臓バクバクでした。
坂道発進は余裕をもってクリアしたものの、次のジグザグからコーンに当たらないかヒヤヒヤ、ミラー&窓から顔出していちいち確認しながら超低速でクリア。
次のバック走行も、窓から顔を出して、極低速で動かしながら内側のブロックとタイヤの距離が一定になるようにハンドル調整して切り抜け、なんとかクリア。
最後の縦列駐車は本当に自信がなかったので、前日に車(マニュアル車)を持っている友人に教えてもらって路上で特訓していました。
最後のほうにはそれなりにできるようになっていたので、いけるか…!と思っていたのですが….
いざ本番、前後・右が車と路肩じゃなくポールのようなものと線で囲われた空間なのでどこを見たらいいのか分からなくなり、
右後輪が路肩に見立てた線を盛大に踏み越えて見事アウトでした。
ちーん。
2回目
今度こそ受かりたいので、バックビューモニター付きのオートマ車を持ってる友人にお願いして、貸してもらうことにしました。
そう、受験する車は自分で持ち込みで特に機能に制限ないので、こんなチート技が使えてしまいます。モニターあったらさすがに縦列駐車も余裕だろうと思いつつ当日、試験場前で友人と落ち合いました。
念のため道の端で数回練習させてもらったところ完璧!
そしていざ助手席に乗ってゲートに向かうと…..
スタッフのおっちゃん : 「VTV先月で切れてるからダメだわ….ルール上入れられない」
……………は ??????
実はこれの前に一度、バイクで同じ理由で門前払い受けてたので注意しないといけないのは知ってたんですが、この友人の車は現地の会社貸与(私的利用も可)のもの。
そのへんの管理は会社でやってるのでまさか切れてるなんてことないだろうと思い、管理担当者にも連絡をとってもらってさんざん確認しましたが、
結局、「次この車が検査受ける順番は11月(4カ月先)なので、それまでの数か月間は厳密にいうと切れてる、けどちゃんと次で受ける手配してるので運用上問題はない」ということでどうしようもありませんでした。
因みに、VTV切れてる問題でその場で帰らされているアルゼンチン人、他にも5組くらいいました。
しゃあないので帰ろうと思ったのですが、その場にいた試験用車レンタル業者さんがマニュアルで良ければ貸せる車あるよ!と声をかけてくれます。
スタッフに確認するとすでに当日になってるのでキャンセル延期はできず、試験落ちた扱いになるということ。
ならどんな車でも一回受けたほうが得よな!!!ということで (せっかく半休も取ってることだし….)、数千ペソ払ってミラー割れてるくたびれたVWを借りました。
結果的に、受かったら儲けもんくらいの気楽さが逆に良かったのかもしれません。
坂道~バック走行までは前回どおり、あるいは前回よりスムーズにクリアし(1回エンストしましたが)、鬼門の縦列駐車に突入。
助手席側ミラーを思いっきり下に向けてタイヤの接地面が映るようにし、前日にYoutubeで見た目視確認ポイントを思い出しながら慎重に操作……
ちゃんと線踏まずに枠内に収まったかどうかよくわからなかったのですが….
窓の外の試験官の「OK合格やで~あっちに車停めて免許証発行してもらって!(意訳)」の声が聞こえた時はめっちゃほっとしました。
あーめでたしめでたし。
長くなりましたが、以上がアルゼンチン現地免許取得までの道程です。
因みに取得後まだ一度も公道運転してませんが、1月にアルゼンチン北西部 San Juan~ Salta あたりで念願のレンタカー旅する予定です!!
この記事がいつか悩めるアルゼンチン在住日本人のお役に立ったら嬉しい限りです。
それではみなさんごきげんよう、Chao!