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【2023年度】まとめ記事|北欧デンマーク流の探究学習を学び・実践する「なめりかわ未来学校(サマースクール)

対話×体験で探究力を育むデンマーク流の学習を、異年齢で実践するサマースクール「なめりかわ未来学校」。未来の滑川市を担う子どもたちの探究力を育み、滑川市を面白くする提案を募るものです。

初年度である2023年8月25日~28日の4日間にわたって富山県滑川市で行われたサマースクールのプログラムの様子を、全7回の記事でお届けしました。
今回は、2023年度の様子をまとめて振り返ります。

<公開中の2023年記事>
【1】共同記者会見の様子
【2】オリエンテーションの様子
【3】サマースクールDay1の様子(前半)
【4】サマースクールDay1の様子(後半)
【5】サマースクールDay2の様子
【6】サマースクールDay3の様子
【7】サマースクールDay4の様子
【8】2023年度まとめ記事


【1】共同記者会見の様子

「なめりかわ未来学校」は、未来の滑川市を担う子どもたちの探究力を育み、滑川市を面白くする提案を募ろうと、「なめりかわ未来学校協議会」が実施主体となって創設したサマースクールです。

協議会を構成するのは、滑川市と滑川市教育委員会、株式会社レア、株式会社プロジェクトデザイン、富山県、国立研究開発法人産業技術総合研究所、滑川ライオンズクラブ、SOMPOリスクマネジメント株式会社、損保ジャパン株式会社などの9団体。

これまでのサマースクールとは異なる、「なめりかわ未来学校」の特徴は2つあります。

1つ目は、ミックスエイジ(異年齢)。小学生と中学生が、幅広い年齢の人たち(高校生や大学生、大人まで)と関わりながら互いに学び合います。バックグラウンドや経験が異なる人々と交流することで、子どもたちの新しい発想を生み出す狙いがあります。

2つ目は、北欧デンマーク教育の導入。デンマーク教育の良いところ(対話と体験を通した探究力の育成)を取り入れています。対話を通して「自分はどのような問いにおいて社会に貢献していくのか」を考え、自分の心と向き合ってやりたいことを突き詰めていく中で「自分の志」を磨いていくこと。それが、デンマーク流の探究学習だと言えます。

「なめりかわ未来学校」のプログラムは、2023年8月25日(金)~28日(月)の4日間。これに先立ち、8月3日(木)に「なめりかわ未来学校協議会」による共同記者会見が行われました。

【2】オリエンテーションの様子

「なめりかわ未来学校」のオリエンテーションは、参加者が事前に顔を合わせて交流することで仲良くなり、サマースクール本番に向けて安心して学ぶための関係性の土台をつくり、ワクワク感を高めようと設けられました。

オリエンテーションの主な内容は、「なめりかわ未来学校」について知ることと、アイスブレイクを中心とした楽しいワーク。参加することで、初めての場や初対面の人に対して緊張しやすい子も、周囲とコミュニケーションが取りやすくなります。宿題(事前課題)を周知し、サマースクールのプログラムへの導入をスムーズにする効果もあります。

参加したのは、滑川市に住む小学5・6年生7人と中学生5人、県内在住の高校生・大学生・大学院生6人、計18人です。

まず、「なめりかわ未来学校」が生まれた経緯について、株式会社レアの大本さんが4コマ漫画を使って説明。実はこの4コマ漫画、「なめりかわ未来学校」のプログラムの中で子どもたちにもチームで作成に取り組んでもらい、考えたアイデアを最終的にアウトプットするツールにもなるのです。果たして、子どもたちはどんな4コマ漫画を作るのでしょうか?

その後、参加者や関係者が交流し、仲良くなるためのプレワークとしてアイスブレイクが行われました。「バースデーライン」と「似顔絵ワーク」です。

他にも、「なめりかわ未来学校」で毎回行う「チェックイン」「チェックアウト」の実践がありました。チェックインとは、ワークショップの場に入る際に行い、1人ずつ自分の名前や今の気持ちなどを話すものです(「なめりかわ未来学校」では、話した後に必ず「チェックイン!」と言うのがルール)。チェックアウトは、チェックインと同じく、話した後に「チェックアウト!」と言うのがルールです。こうすることで、「場に入る・場から出る」という意識を明確にします。

まだ本プログラムが始まっていない、0日目に当たるオリエンテーションでこんなに充実した内容なのですから、否応にもサマースクールへの期待が高まります。

【3】サマースクールDay1の様子(前半)

「なめりかわ未来学校」Day1(午前)のプログラムは以下の通り。「滑川をもっと良く知ろう」をテーマに、滑川市内の企業見学を行います。

  • デザイン思考をベースとしたインプット

  • 産業機械メーカー・スギノマシンの見学

  • 私の「こころざし」グループ内での発表

まずは、「デザイン思考をベースとしたインプット」です。

これからなめりかわ未来学校のプログラムを体験するにあたり、観察のポイントを説明しました。普段何気なく見ている滑川を、いつもと違った視点で見ることで、新たな発見・洞察が生まれ、未来に向けた新しい「おもしろい」の種を生み出す起点をつくっていきます。

続いて一行はバスに乗って移動し、富山県滑川市栗山にある株式会社スギノマシン本社を訪問。スギノマシンの代表取締役副社長 杉野岳さんからものづくりの技術などについて説明を受けた後、敷地内にある展示室や工場を見学し、最先端の技術に触れました。

子どもたちは、ウォータージェットカッターで段ボールを切断する体験で断面が濡れていないことや切る材料を自在に動かせることに感動し、金属の切断実演では細かな技術を間近で見て興味津々の様子。世界で闘う技術をもつ企業が身近にあることを知り、驚いていました。

また、オリエンテーションの際に宿題として出されていた「私のこころざし」の発表も行いました。グループに分かれ、「わたしは、滑川を○○なまちにしたいです。なぜなら、~~だからです」の形で、自分の想いを話します。「こころざし」を今回初めて考えた子どもたちも、自分が興味のあることや好きなこと、気になっていたことと「まち(滑川市)」を結びつけ、自分の想いを話すことができていました。

【4】サマースクールDay1の様子(後半)

「なめりかわ未来学校」Day1(午後)のプログラムは以下の通り。自然を学ぶフィールドワークを行います。

  • 早月川河口で川遊び

  • 早月川上流のみのわ温泉村で川の見学

  • 東福寺野自然公園での交流

昼食の後、滑川市と魚津市の間を流れる早月川の河口へバスで移動しました。実はこの時、連日の猛暑とかんかん照りで、早月川はすっかり干上がった状態。しかし、川の端にわずかに水が残っている場所があったため、そこで川遊びをすることに。

川遊びを楽しむ中で、1つ疑問が生まれます。早月川河口にこれだけ水が無いということは、上流はどうなっているのでしょうか? この答えを探すため、バスで早月川の上流にある「みのわ温泉村」へ移動しました。

子どもたちは、早月川河口で自分が立てた予想(仮説)を上流で検証でき、納得した様子でした。こうして、自分の考えや疑問に思うこと、その理由などを、実体験を通して学ぶことができるのが「なめりかわ未来学校」の良いところです。子どもたちは、社会科や理科などの教科に留まらないことを幅広く学んでいました。

自然を学ぶフィールドワークの後は、東福寺野自然公園に移動して思いっきり遊びます。子どもたちは今日のプログラムの中で最もはしゃぎ、ふわふわドームで飛び跳ねたり、配布されたアフリカ発の楽器「カズー」を鳴らしたりしていました。

【5】サマースクールDay2の様子

Day2は、8月26日(土)に中滑川複合施設メリカ3階ホールに集合しました。

この日のテーマは、“「まち」に出て、改めて滑川と出会おう! 「私のつくりたい滑川」を起点に、アイディアを深めよう” 。実社会との触れ合いを通したアイディアを得ることを目的に、チームごとに滑川市内で自分たちが興味のある場所を巡ります。

参加者はDay1で発表した「私のこころざし」を忘れないようにしながら、子どもたちが主体となって、小学生から大学生まで異年齢のメンバーが入った4つのチームに分かれ、コースを選びました。

チーム名とコース、インタビュー相手(その人の魅力)は次の通りです。

  • チームモンキー
    訪問先:移動時間最短! じっくりインタビューコース

  • チームからす
    訪問先:新たなまちづくりの秘密にせまる まちなか てくてくコース

    • 中滑川複合施設メリカ:メリカ管理人 樋口さん

    • 朱雀堂:店主 柿澤さん(空き家を活用してお店をオープン! 瀬羽町を楽しいまちなみにしたい!)

  • チームマンゴー
    訪問先:2つの博物館に行ってみよう ミュージアムコース

  • チームにぎわい
    訪問先:駅周辺を楽しく にぎわいづくりコース

これまでのオリエンテーションとDay1は、一緒に申し込んだ仲の良い友達と行動することが多かった子ども達。Day2は初めて話す相手とチームを組むことになり、初めは緊張した面持ちでした。

しかし、2か所のスポットを訪問した後、中滑川複合施設メリカに戻ってきた頃にはそれぞれチームメンバーとすっかり打ち解け、仲良くなっていました。一緒に移動し、同じものを見て学ぶかけがえのない体験を共有することで、心の距離がグッと縮まります。

休憩後はチームごとに「訪問先で学んだこと・面白かったこと」と「もっと面白くできると思ったこと」をまとめ、全体に向けて発表しました。

【6】サマースクールDay3の様子

Day3は、8月27日(月)の午後に中滑川複合施設メリカ1階フリースペースに集合しました。

この日のテーマは、“あなたのワクワクするなめりかわの未来を考えてみよう!” 。前日に滑川市内を巡ってそこに住む人々との触れ合いを通して感じたことを元に、「わたしのこころざし」を「わたしたちのこころざし」として考えを広げるグループワークを行います。

まず、今日の流れの説明やチェックインの後に、アイスブレイクとして「ビジュアル言語」で絵を描く練習をしました。ビジュアル言語とは、文字情報と図やイラストなどのグラフィック情報を組み合わせて思考や情報を伝達するもののことです。

また、グループで話し合う前に「違いを活かすための3ステップ」を学び、「違いを活かし合うスイッチ」を体験しました。

休憩(おやつタイム)の後、「わたしたちのこころざし」としてチームで考えるワークを行います。「わたしたちのこころざし」を考えるには、10年後の滑川市を思い描く際に、主語を「わたし」から「わたしたち」にします。

「2033年、わたしたちは滑川を(  )なまちにしたいです。そのために、(場所)で、(誰の)ために、(何)をしたいです」という文章に当てはめて考えます。

チームごとに未来の滑川市について考え、付箋でそれぞれの想いを書き出し、グループ分けしながらまとめていきました。これを4コマ漫画の形にし、それぞれ発表しました。

【7】サマースクールDay4の様子

Day4(最終日)は、8月27日(月)の午前に中滑川複合施設メリカ3階ホールに集合しました。

この日のテーマは、“滑川の「おもしろい未来」を共有してみよう!” 。ここまでサマースクールで学んできたことの集大成として、チームごとに「わたしたちのこころざし」を発表します。

まずは、前日のDay3に作った4コマ漫画のブラッシュアップ版づくりです。

  • 4コマ漫画の中身

  • タイトル

  • 8カウントの言葉で表現できる言葉(ナレーション)

  • 登場人物のセリフ

  • ト書き(登場人物の動作や行動)

などをチームで話し合って作ります。

4コマ漫画が完成したら、発表の練習に入ります。準備時間は約1時間。発表方法は自由で、全員が参加できる形にします。

子どもたちは、Day1に習った「モヒカン(モノ・ヒト・環境)」の視点で発表する、寸劇・音楽や楽器(カズー)を使うなど、チームのオリジナリティあふれる形でのプレゼンテーションを行いました。

次に、修了式です。4日間のサマースクールを通して、一人ひとりが改めて自分の中にどのような想いがあるか、どんな変化があったか、それぞれが今抱いている「こころざし」を発表します。子どもたちは4日間で見て、聞いて、思ったこと・考えたことを理由も含めて話しました。

発表後には水野市長から修了証の授与がありました。

子どもたちが緊張していた発表も終わり、ランチで打ち上げ。好きな席でオードブルを食べながら交流しました。

参加者の発表や感想は、動画でお伝えしています。ぜひ、ご覧ください。

ご案内

2023年度の記事はこれでおしまいです。

2024年度の記事はこちら。2024年度は本プログラムとオリエンテーションの前にプレ企画を実施し、より多くの子どもたちが参加しました。

【2024年度】サマースクールのプレ企画-1「ビジネス体験ゲーム”The 商社”」の様子をお届けします|なめりかわ未来学校(サマースクール)

この他の記事も、順次公開予定です。どうぞお楽しみに!

<公開中の2023年記事>
【1】共同記者会見の様子
【2】オリエンテーションの様子
【3】サマースクールDay1の様子(前半)
【4】サマースクールDay1の様子(後半)
【5】サマースクールDay2の様子
【6】サマースクールDay3の様子
【7】サマースクールDay4の様子
【8】2023年度まとめ記事

テキスト・写真:なめりかわ未来学校協議会/
        株式会社プロジェクトデザイン 古野知晴


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