助産の大学院の種類と専門職大学院とは?
助産の大学院にも種類がいろいろあります。私は、大学院は研究に重きを置いている場所であると思っていました。しかし、助産の大学院は他の分野の大学院と異なり、研究に重きを置くのか、実習に重きを置くのか大学院によって比重が異なります。
自分が大学院生活で研究、実習どちらを重視していきたいか志望大学院を決める段階で考え、自分に合った大学院を選んでいただけると嬉しいです。そのため今回は助産の大学院を大まかに分類してみようと思います。
①研究に重きを置いている大学院
研究に重きを置いている大学院は、1年目で一気に実習を行い、2年目は研究に専念できるようなカリキュラムをしていることが多いです。旧帝大は国を代表する研究機関ですので、確実に研究に重きを置いている考えてよいでしょう。実習よりも研究に対しての指導が手厚く、厳しいと考えます。
研究について深く学びたい方はぜひこちらの大学院を選びましょう。大学院卒業後取得できる学位は修士(看護学)となります。
②実践に重きを置いている大学院
実践に重きを置いている大学院は、大学院の2年間でまんべんなく実習に行けるようにカリキュラムを設定していることが多いです。研究よりも実習のほうが厳しいです。実践者としての力をつけていきたい方はこちらの大学院を選ぶと良いでしょう。大学院卒業後取得できる学位は修士(看護学)となります。
~①と②の大学院の見分け方~
では実際にどういう視点で①②の大学院を見分けたらよいのか下記にまとめました。
・カリキュラムの流れ(実習は1年間だけか、2年間にわたって実習がある
か)
・大学院入試の提出書類である研究計画書への指摘が厳しい、かなり細かい
ところまで記載すること(分析方法など)を求められる
・修了生の研究テーマ・内容を確認する(文献検討だけで許されるところも
あるらしいです。)
・入学後、研究テーマを一から自分で考えなければならないか、それとも大
学教員が考えてくれたテーマで研究を始めることができるのか
・研究の進捗報告をする会が頻繁に開催されているかどうか
・修論発表など他分野の看護教員も参加する発表会で留年する可能性がある
かどうか(修論発表などでうまく答えられず留年させるところもあるらし
い)
・倫理審査の基準が厳しく、提出させてもらうのが難しいかどうか。提出で
きないことにより留年する可能性があるかどうか
・留年はどのような理由で留年することが多いのか(研究が原因で留年なの
か、実習が原因で留年なのか)
③専門職大学院とは?
専門職大学院は実践をかなり重視している大学院です。天使大学助産研究科は日本で唯一の助産の専門職大学院です。①②の一般的な大学院とは少し専門職大学院は異なります。
~一般的な大学院との違い~
★設置の目的
学校教育法に大学院と専門職大学院について定められています。一般的な大学院は研究・実践どちらかに重きを置いていても、文化の発展を目指して研究活動を行う「研究者」の養成機関です。一方専門職大学院は高度で専門的な職業能力を持つ「職業人」の養成機関です。
★教員
一般的な助産の大学院は研究・実習どちらに重きを置いていても教員は必ず博士を取得した研究者教員です。しかし、専門職大学院は研究者教員だけでなく助産の実践に精通した実務家教員もいます。なので理論と実務を架橋した教育が可能であるといわれています。
★取得できる学士
こちらの大学院で取得できる学位は修士(看護学)ではなく、助産学修士(専門職)となります。
★論文について
専門職大学院は高度で専門的な職業能力を持つ「職業人」の養成機関です。なので専門職大学院では修士論文が必須ではありません。
天使大学助産研究科では特別統合研究科目という研究に関する科目が用意されているそうです。しかし、この科目は「講義や実習の中で学んだケアのエビデンスを事前に探求し、2年次の助産実習の中で知識と技術を統合する」と記載があり、大学院修了の認定の条件に「特別統合研究科目のレポート審査に合格すること」という一文が加えられていました。つまり、一般の大学院で提出する論文のようなものではなくレポートのようなものを提出しているのではないかと私は考えています。
(もし天使大学助産の専門職大学院の研究に関して何かご存じの方がいれば教えてください)
もしあなたが「研究者になりたい」「学術論文を書きたい、学術発表をしたい」などアカデミックに携わって生きていくことを少しでも考えている場合は一般的な大学院に入学したほうが良いと考えます。
もしあなたが大学院に行きたくて、かつ大学院に求めるものが研究ではなく「助産の実践者としての能力開発」を希望する場合は専門職大学院を選択してもいいかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?助産の大学院といっても大学院によって様々です。あなたが考える将来の助産師像や好み、得意なこと、苦手なことなど色んなことを踏まえて自分に合った大学院を選択してみてくださいね。