修真門派について
今回は門派について少し詳しく説明いたします。
前回の話もそうですが、設定や呼称などは作品によってだいぶ違いますので、私の説明で大体のイメージをお持ちいただければよいかと思います。
まず修真門派というのは、修真者を育てるための門派です。大枠は武侠作品などに出てくる、少林寺や武当派といったいわゆる武林門派とだいたい同じです。例えが分かりにくいかもしれませんが、後で詳しく説明しますので、ここは読み流してください。武侠も美味しいものです。
なにか凄いことを成し遂げたすごい人というのは、だいたい自分の伝承を残したくなるものです。高階の修真者は寿命が長く、ほとんどの時間を修行(数時間から数十年もの間、ひたすら座って霊気を循環させたりします)に費やしたりしますので、家族との縁が薄いものが多いです。
また、家族などといった俗世との繋がりを絶ったほうが、修行に専念できるので、家族が健在な修真者でも、門派に入ったあとはめったに家に帰ったりしません。凡人とは時間感覚も違いますので、修行に没頭していたら、いつの間にか家族が亡くなっていたといったケースも多いでしょう。主人公の場合は設定次第ですけど、そういう間抜けなケースはあまり見かけませんが。
とまあとにかく、高階の修真者は家族との縁が薄いので、弟子を取ることで自らの伝承を残す場合が多いです。話が逸れますが、死ぬか飛昇するまでに満足の行く弟子が取れなかった場合、伝承をどこかに隠したり、試練を設けたりして、自分と縁のあるものが現れるのを待つケースもあります。だいたい奪い合いになって偶然主人公の手に落ちるか、主人公が遭難して偶然見つけるかで、主人公専用のチートアイテムになる場合が多いです。
さて、弟子を取って伝承を残す場合の話ですが、修真者というのは基本死亡率の高いジョブです。寿命が尽きるまでに境界を上げられずに死ねるならまだラッキーで、冒険中に魔物の類や魔修に殺されたり、レアアイテムの奪い合いで同業者に殺されたり、冒険中に罠に掛かって死んだりと、中世風ファンタジーの冒険者並みに死亡率が高いです。なので弟子を取るにしても複数人を取るのが基本です。主人公は弟子か師匠と恋人同士になる場合があるので、弟子が一人だけというケースもありますけど、基本レアケースです。弟子がいっぱいいると資質にばらつきが出てきますので、修行してどこまでも強くなる弟子と、ある程度まで行くと、もう境界を上げることができなくて、俗事などのサポートに回る弟子が出てきます。そういう弟子がまた弟子を取って育てたり、勢力を広げたりすると門派が徐々に出来たりします。
これは低階修真者の場合も同じで、修真者の子が修真者になる資質を持ってる確率が高いので、低階修真者は俗世の中で財をなしたりして、子孫繁栄させ、その中に生まれた資質のある子を門派に送ります。その子が成長できれば、低階修真者ではなかなか手に入らないアイテムなどを融通したり、門派とのコネになったりと、家族に利益をもたらすことができます。家族との縁が薄いとは言ってもこのくらいのことはするものです。
そして弱小門派も似たような理屈で、大規模な門派の勢力下に入ったり、優秀な弟子を送り込んだりすることがあります。作品によってはまっさらな子供しか取らない門派や、一度入ったら移籍できない門派などもあります。
要するに優秀な子供は修真家族から小規模な門派へ集められ、大規模門派は更にその上澄みを汲み取る仕組みになっています。主人公はだいたい天才か天才並みの活躍を期待されてますから、こうやってどんどん強くなって、広い世界へ飛び出していく感じになります。こういったシステムは超長編作品によく見られるスタイルです。
前置きが長くなりましたが、これから門派そのものについて説明します。
門派には様々な種類があります、大学を想像していただければイメージしやすいかと思います。修真者がある程度まで強くなる(教養課程修了後)と、剣、術、煉丹(丹薬作り)、煉器(法器作り)、符道(お札作り)、陣道(陣法研究)などの専門課程を選ぶことができます。どれも生き残るために役に立つものなので、人によっては全部出来たりします。ただ一種類に専念したほうが断然上達しやすいので、個人の取捨選択次第です。これらの専門課程を全て網羅した門派もあれば、一種類だけに絞ってる門派もあります。そこも大学と同じです。
大学とは違うのは、門派のなかでの教育の機会が均等ではないところです。門派はある意味階級社会のようなもので、一番ランクの低い弟子は、僅かな配給しかもらえず、修行に必要な霊石(霊気を含んだ石、修真界における主流通貨)や丹薬を稼ぐため、雑用をいっぱい請け負う必要があったりして、逆に修行の時間が取れなくなる場合がほとんどです。このような弟子はだいたい外門弟子と呼ばれます。
繰り返しになりますが、修真者は死亡リスクの高いジョブです。生き残って強くなれるのは、一握りの運と才能に恵まれた人間だけです。こういったシステムは、その運と才能を試すためという側面もあります。すぐ寿命がきたり、冒険で死んでしまうようなその他多数に、くれてやる資源はないということです。
この不利な状況に置かれてもなお成長できるような人は、進級して強くなったり、もしくは門派が課した試練を乗り越えることで、ランクを上げて内門弟子になることができます。内門弟子になることは一つの到達点と言えます。もらえる配給も増えますし、雑用をする必要もなく、修行に専念することができるようになります。さらに上のランクがある場合もありますが、だいたい同じようなものなので、割愛させていただきます。
それとは別に、親伝弟子というのがあります。門派の長老などの偉い人が個人でとった弟子のことです。強い人が直々に教えてくれるだけでなく、資源も湯水のように使えたりします。弟子の待遇は師匠の地位次第ですが、この辺りがヒエラルキーの頂點になります。
親伝弟子は門派の中から取る場合もありますが、冒険の途中に資質の良さそうな子に出会って、拾ってくる場合もあります。占いで自分と師弟の縁があるものがどこそこに現れると知って、迎えに行くというようなケースもあります。
続いてよくある門派の施設について説明します。
新入りの弟子がチュートリアルを受ける順番で説明します。
まずは山門、門派の入り口です。中国旅行などで観光スポットになってる山を登ったことのある人なら、イメージしやすいかと思います。だいたいそんな感じです。修真門派は基本山の中にある場合が多いです。なぜなら修行には霊気が必要です。そして俗世から遠く離れた場所のほうが霊気が濃い場合が多いです。
またもっとすごい門派の場合、異空間を切り拓いて、そこに門派を作る場合もあります。特殊な方法でしか入れなかったりしますので、防犯もバッチリです。
山門にはだいたい見張りの弟子が立ってたりしますが、彼らの役割は防犯ではなく、どちらかというと伝令である場合が多いです。修真門派を守るのは護山大陣と呼ばれる、大規模結界と、門内の強い修真者たちです。
山門に入ると、だいたい階段を登ることになります。修真者は飛べる人も多いですけど、門派のなかでは防犯などのため、誰も飛べないように陣法を敷かれてる場合もあります。また長い階段を登ることが入門のための試練となっているケースもあります。
次はだいたい宿舎に連れて行かれますが、相部屋になったり、一人部屋になったり、抽選で決めたりと色々あります。部屋選びで一番大事なのは霊気の濃さです。霊気の濃さは修行の効率に関わりますので、部屋がボロくても霊気の濃い場所を選んだほうがいいです。修行中は無防備になるので、基本自分の部屋にこもってやります。防御陣法(結界のようなもの)が手に入れば、それを設置しておくと安心です。
次は配給をもらう場所です。門派に入った弟子は、月単位か年単位で修行に必要な資源の配給を貰えるようになっています。量はランクによって違いますけど、皆もらえるものです。また、配給の中には制服や霊米などが含まれている場合もあります。入門直後に、最も基礎的な功法書(修行方法が書かれた本)がもらえる場合が多いです。ただ功法にも良し悪しはありますので、それだけで修行を続けるわけには行きません。
低階の弟子の場合、配給の量はとても少ないので、雑用などの任務を受けて自力で稼ぐ必要があります。そこで必要になるのは任務堂などと呼ばれる場所です。この辺りはちょっとゲームっぽいシステムになってまして、冒険者でいうところのギルドのようなものです。任務の種類は様々で、定番の魔獣駆除や採取の任務もあれば、霊田の管理や、霊獣の世話、蔵書閣の整理などの雑用もあります。任務を行うと貢献点というポイントがもらえたり、アイテムがもらえたりします。貢献点でしか交換できないアイテムもあったりしますので、霊石をいっぱい持っていても、任務をこなす必要が全く無いということにはなりません。
高階の修真者は食事を摂る必要がなくなる場合がありますが、摂ることも可能です。ただし普通の食べ物を食べたら、体内に汚れがたまるので、これを排出するという手間が掛かります(霊気を巡らせて毛穴から出したり、濁気として吐き出す感じです)。でも霊気で育てた植物や動物だけで作った霊食なら、食べても汚れがたまることもありませんし、逆に霊気を取り込む事もできますので、高階修真者が食べても大丈夫ですし、普通に食事を取る必要のある低階修真者にも需要があります。そのための霊田、霊獣です。薬草とか、戦闘用の霊獣もありますので、全て食用というわけではありませんが。
次は蔵書閣、まあスキルブックを収めるための図書館ですね。ただ、このなかの蔵書を閲覧するには色々と条件があったりします。門内でのランクなり、貢献点なりを要求される場合が多いです。
他にも煉丹や、煉器などのための場所があったり、練武場があったりと、いろいろな施設がありますが、きりがないので、これで大まかなイメージを掴んでいただければよいかと思います。
チュートリアルは以上です。お付き合いいただき、ありがとうございました。何かわからないところがありましたら、いつでもお尋ねください。適当にお答えいたします。
それでは、引き続き楽しい仙侠BLライフをお楽しみください。
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