零式を始めて「左取り抜け」が他人事じゃなくなったので書く話
まず結論を述べる
「左取り抜け」には不公平がある。だからできれば廃れて欲しい。
しかし一方で「一人一個まで」というルールでPT募集したいなら、「左取り抜け」でやるのが簡便だ。
従って、もし今後ロットのシステムにアップデートが入るのであれば、「左取り抜け」をそのまま組み込むのではなく、ちゃんと公平に分配できるシステムにして欲しい。
ここからは、以下の項目について書いていく。良かったら読んでみて参考にして貰えれば幸い。
「左取り抜け」ルールの解説
「左取り抜け」の確率について
「左取り抜け」の不公平とは何か
「左取り抜け」に代わるロットシステムの案
「左取り抜け」ルールの解説
FF14のプレイヤー向けに書いているので説明不要な部分もあるかと思うが、これから零式に挑戦しようという人のためにも丁寧に解説していきたい。
ノーマル難易度のロットシステム
ノーマル難易度のレイドで「左取り抜け」をやろうという人はいないと思うが、零式との違いを示すために簡単におさらいしよう。
最新のノーマルレイド、2022年2月現在では「万魔殿パンデモニウム:辺獄編」で得られる報酬は防具交換用の朽ちた装備各種と”朽ちた剣【辺獄】”、そしてオマケのミニオンだ。”朽ちた剣【辺獄】”は4層クリアで必ず週1個貰える。ミニオンはロットに勝てば貰える。防具用の朽ちた装備各種には週制限があって、各層で取得できるのは1個までだ。頭腕足装備なら2個、胴脚装備なら4個、アクセサリーなら1個でIL580のリンボ装備と交換できる。交換場所はラザハンのヨールさんだ。アポリア本部でもいいがラザハンの方が便利だろう。
各層8個の朽ちた装備がドロップするので、全部にNEEDかGREEDすれば必ず何か一つはゲットできる。欲しいアイテムだけNEEDして他はPASSすれば、取れるまで周回して狙い打ちすることも可能だ。
4層で貰える”朽ちた剣【辺獄】”は7個集めることでIL590の武器との交換に必要となる極小型トームストーンと交換できる。ちょうど今週2月1日からの週(ヒカセンの1週間は火曜日から始まる)で7個集まるので、零式未攻略でも武器を強化できるチャンスだ。(私も交換したぞ!)
零式のロットシステム
「万魔殿パンデモニウム零式:辺獄編」をクリアすると週に1個”断章”と呼ばれるアイテムが確定で貰える。これは朽ちた装備と同様に複数個集めることでNPCから装備などと交換できる。宝箱からはIL600装備が入っているアスフォデロース・〇〇チェスト手に入る。攻略後に出現する宝箱の数はPTに今週(火~月)クリア済の人が1~4人いると1個減り、5人以上クリア済なら2個減って0になる。断章しか手に入らないことになるが、人が集まらなければそれもやむなしだ。そしてこのチェストは人数分無いのだ。これがノーマルとの違い一つ目。更に、チェストが貰えても貰えなくてもその週はもうロットできない。ノーマルの様にもう一回やり直すことはできないのだ。
左取り抜けとは何か
やり方から説明すると、以下の様になる
全員が報酬欄の一番左側にあるアイテムだけにロットする
そのアイテムを取得した人はコンテンツから退出する
(2個目以降にはロットできない)残りの人で次のアイテムにロットする
このロット→手に入れた人が退出をアイテムが無くなるまで繰り返す。
こうすることで、一人でも多くの人が報酬をゲットできるようにしようとユーザー側が考えたやり方が「左取り抜け」と呼ばれるものである。
運よく2個貰うとか、報酬全取りするチャンスを捨ててまで一人一個に自主的に制限しようという発想がなんとも日本人らしい。全取りなんて滅多に起こらないんだから、その人の豪運を妬むよりも称えれば良いものを……。
ちなみに左取り抜けが一般的だか、ロットする順番を別途決めるやり方もあるらしい。
「左取り抜け」の確率について
先日、「確率計算ができるやつは取り抜けに入る…」とか何とかいう某掲示板?の話が某まとめサイトに上がっていたのを見ただろうか。あるいは某攻略ブログで実際に確率計算をしているのを見ただろうか。改めて計算すると次の通りになる。
この例では3個の報酬を8人で分け合う想定で計算を行った。3個を8人で分ければ3/8=0.375になるという単純な話を、アホみたいに回りくどい計算過程で考えるとこういう表になる。取り抜けなら競争相手が減っていくので、勝率が上がる!と直感的には思うだろうが、実際には図の通り4.5%の違いでしかない。ファイアーエムブレムだったら4.5%の違いは無視できないかもしれないが、この場合はそこまで重視するような差だろうか?今週0個でも来週2個取れるかもという方が希望が持てる気はしないか。結局、最終的には運次第なのだが。
確率的にはフリーロットでも取り抜けでも同じだということは、抑えておいてもらいたい。だから本人が納得しているならどちらのやり方でも良いと言えば良い。しかし「左取り抜け」には確率では語れない類の問題点が存在する。次項ではそのことについて述べよう。
「左取り抜け」の不公平とは何か
それは左から取っていくからということに他ならない。報酬アイテムがどういう順番で並んでいるかと、各プレイヤーにとってどのアイテムの優先順位が高いかということが関係してくる。
例として報酬が①②③の順番で並んでいて、プレイヤーAは①が最も欲しい(かつ②③もできれば欲しい)とする。またプレイヤーBは③が最も欲しい(かつ①②もできれば欲しい)とする。Aにとっては①にロットして、負けても②③とロットできるのだから特に不都合はない。しかしBにとっては①か②を取得してしまったら最も欲しい③のロット権を失うことになる。③を手に入れるために①と②をパスするという選択肢もあるが、そうしても③が手に入るとは限らない。①と②が本当に要らない場合はパスしても良いが、そうでなければパスするのは確率的には悪手である。悪手ではあるが戦略的にパスするという判断もありえる。
この性質を利用すれば2つの宝箱のどちらを先に開けるかで、自分に有利な並び順に誘導することが可能になる。欲しいものが左に来るように開けることもできるし、逆に欲しいものを右にすることで、ライバルを減らすこともできる。運悪く③番目のアイテムが欲しい人ばかりが集まった場合、①や②を全員パスしてしまう可能性すらある。このように駆け引き的に欲しいアイテムを偽ったり、損な選択をしてしまうようなやり方をマッチング理論では耐戦略性が無いと言う。簡単に言いなおすと単純な運勝負ではなくなってしまうのだ。
もう一つの問題
「左取り抜け」には耐戦略性の無さとは別にもう一つ問題がある。マッチング理論でブロッキングペアと呼ばれる問題だ。ブロッキングペアとはAさんはBさんの報酬が欲しい、BさんはAさんの報酬が欲しいという組み合わせのことだ。要するに報酬をお互いに交換した方が嬉しい状況のことである。
箱取っておいて贅沢言うなと思うかもしれないが、こういうことが起こらない方が全体の幸福度は高いのである。そしてそういうマッチングは実現可能だ。
「左取り抜け」に代わるロットシステムの案
以上の理由から私は「左取り抜け」を推奨しない。禁止しろとまでは思っていないが、損をする可能性があることは知っておいて欲しい。しかし一方で一人で全取りするのもされるのも避けたいという、慎ましやかな日本人的願望までをも否定するつもりはない。残念ながら現行のFF14のロットシステムにはその願望を叶える仕組みはない。GREED限定にしても問題は解消しない。マスタールートは信頼関係のある固定パーティならともかく、一時的な固定や野良パーティでは採用しにくいだろう。
そこでこんなロットシステムはどうだろう?(開発が見に来るとは思えないから完全に一人相撲だが……)
これはアイテムごとにロット値で争うのではなく、1回のロット値で全てを決める仕組みだ。手順は次のようになる。
自分が欲しいと思う順番にアイテムを並べ替える。
「このアイテムは他人に譲っても良い」という奇特な方はPASSの位置にアイテムを置くこともできる。
並べ終わったらSubmit(申請)ボタンを押す。
その人のロット値がダイスされ、全員がロットすると順位が決まる。
最も高い値を出した人が、その人が一番欲しいアイテム一つを入手する。
2番目に高い値を出した人が残りのアイテムの中から、最も欲しいアイテムを一つ入手する。
全てのアイテムの行先が決まるまで、3番目以降も同様に決める。
このようにすれば全員がロットを終えた時点で初めて順位が確定し、最も良い数字を出した人がアイテムを入手することになる。完全に運勝負で公平な分配になる。駆け引きは無用になり、自分の希望をそのまま正直に申告すればよい。それに先述のブロッキングペアは発生しない。念のためExcelで再現して1000回くらいテストしても大丈夫だった。素人の片手間仕事としては上出来だろう。
余談だが最初はいわゆる受け入れ保留方式というやつを試そうとしたのだけど、零式の報酬条件だとうまくいかなかったりした。結果的に「ロット値がいくつもあるのが悪い!」と仕組みを単純化した次第。何回もロットにチャレンジできた方がゲーム的には面白いと思うんですけどね。
最後に
フリロでいいじゃん。
読んでいただきありがとうございました。