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体性感覚を覚醒させる一点

ボディコントロール力は、「体性感覚×バランス力×イメージ力」で決まります。
今回は、この3つの中で最も重要な体性感覚を鋭くする方法についてのお話。

体性感覚が一番重要な理由は、この感覚が鋭くないと適切に筋肉や関節を動かすことができないのと、バランスが崩れたとしてもそれを感知することができないからです。


体性感覚とは

体性感覚には、体中にある受容器によって感知される感覚。
皮膚や粘膜の受容器によって感知される「表在感覚」と、関節や筋肉などの身体内部にある受容器によって感知される「深部感覚」があります。

ボディコントロール力で重要な働きをするのは「深部感覚」。
深部感覚は関節の位置や筋肉の伸張具合など、身体内部の状態を感知する感覚です。
トップアスリートの中にはこの感知能力が高く、運動時に背骨や肩甲骨、股関節などの位置や、それらを動かす筋肉の動きを明確に感じ取ることができる人が多いのです。

トップアスリートは鋭い体性感覚を持っている

まずは、カラダを整える

体性感覚を向上させるためには、まずは、筋肉の硬直を取り、動かしやすいカラダに整えるところから取り掛かります。
何故なら、硬直した筋肉の神経は正常に働いていないからです。

本来であれば、筋肉が硬直していると違和感や痛みを感じるものですが、ほとんどの人は、そういったものを感じていません。

不快感や痛みが続くと、脳はそれを感じないように鈍感になっていく性質を持っています。
時間をかけて筋肉が徐々に硬直していく過程で、それを感じなくなってしまっている。

当然のことですが、深部感覚は神経によって感知される感覚ですから、神経が正常に働いていない状態では、深部感覚を磨くことは難しい。だから硬直を取るとる取り組みをするべきなのです。
筋肉の硬直を取る方法については、こちらの記事をご覧ください。

関節の位置をマッピングする

深部感覚を磨くには、関節の正しい位置を脳に認識させること。
「関節の位置なんて理解できているよ」という声が聞こえてきそうですが、正しく把握している人は意外と少数派。
例えば、股関節の位置は?と聞かれて答えられない人は多いですし、腕の付け根を肩だと思っている人もいます。

正しい関節の位置を脳が認識すると動きが変わります。

例えば、野球のピッチングでも、ゴルフのスイングでも、ボクシングのパンチでも、何でもいいので腕の動きをしてみてください。
次に、誰かに肩甲骨の横を軽く上下に何度かさすってもらい、同じ動きをしてみます。

肩甲骨の背骨側のラインを触る

すると肩甲骨の横をさすった後の方が、動かしやすくなるはずです。
これは、触れられることで脳が肩甲骨の位置を認識し、そこから腕を動かしたから。

関節の正しい位置を脳に認識させることをボディマッピングといいます。
運動で重要な働きをする、肩甲胸郭関節、背骨、仙腸関節、股関節の4つの位置をマッピングしていきましょう。
方法は簡単で、基本は関節を触ることで脳に関節の場所を認識させたうえで、その関節を動かしていくこと。
1-2週間も行えば、古いカラダの地図から正しい地図に書き換えることができます。

■一点を意識する
腕は肩甲胸郭関節から、脚は股関節から動いていますが、これらは体幹にあるので、関節を意識して動かすのは簡単ではありません。
でも、「ここを意識して動かせば、肩甲胸郭関節と股関節からの動きができる」という点があります。

それが、ヒジの内側と、ヒザの内側の一点。

ヒジの内側の一点
膝の内側の一点

例えば、腕を回す時、腕自体を大きく回そうと意識しながら動かしたのと、肘の内側の一点を大きく回そうと意識して動かしたのでは、後者の方がより肩甲骨が動いているのが分かると思います。

一点を意識すると肩甲胸郭関節からの動きができる

脚を動かす時も同じで、足先を意識して脚を振り上げるのと、膝の内側の一点を意識して脚を振り上げるのでは、後者の方が股関節からスムースに動くことができるのを感じることができます。

一点を意識すると股関節からの動きができる

鍛えているのは神経

肩甲胸郭関節や股関節、仙腸関節を触るのは、皮膚の表在感覚を刺激することで脳にその関節の位置を認識させるため。
その上で、ヒジの内側とヒザの内側の一点を意識して動くと、肩甲胸郭関節や股関節を動かしている筋肉が動くようになり、深部感覚が磨かれていきます。

一般のスポーツパーソンで、筋肉や関節が動きやすくなるマッサージや神経伝達を良くするメソッドを行って、周りから見ると明らかに動きが変わっているのに、本人は自分のカラダの変化に気づかない(自覚できない)という体性感覚の鈍い人が時々います。

トップアスリートを見ていて驚くのは、例外なく体性感覚が鋭いということ。
だからこそボディーコントロール能力が優れていて、高いパフォーマンスを発揮できているのです。

体性感覚を鋭くするために、体性感覚を磨くことを意識して練習することが大切なのです。

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