本を出したら風友がいなくなった話

初めて藤井風を知ったのはLINE MUSICの広告だったと思う。

珍しい名前だなと思ってYouTubeをのぞきに行って「何なんw」を聴いてじわじわ好きになった。
デビューアルバム「HELP EVER HURT NEVER」の限定版を買えたからそのあたりにはドハマりしていたのだろう。

そう、藤井風つながりで出来た友達のことをこの界隈では「風友」というのだ。
誰が言いだしたんだか。


その女性、仮にMさんとしよう。

Mさんと初めて出会ったのは2022年「まつり」のMVが公開される当日だった。
近所のセリアで風グッズのロンTを身につけている後ろ姿を発見して、私が声をかけたのだ。変な度胸はあるのよね。好きな音楽は共通言語となる。すぐに意気投合した私たちは連絡先を交換して、今夜のMV公開を楽しみに別れを告げたのだった。
それからは適度な距離を保ちつつ、連絡を取っていた。ホールツアーはお互いにチケットが取れずに慰め合ったりして。

2ndアルバムリリース記念のライブ「LOVE ALL SERVE ALL STADIUM LIVE」の二日目、10月16日に姉と遠征した私。
直前に見切れ席が当たったMさんと大阪で二度目の邂逅を果たす。割と近所に住んでるのにこんなに遠い場所で出会えたっていうのに妙に感動したものだ。
暑かったけど良いライブだったんだよ……。


その後、地元でもドライブに連れてってもらったりして。波瀾万丈な人生を送っているのに明るくてパワフルで喋りが面白い年上のMさんに、私は憧れていた。

だけれど私は人の話を聞き取るのがうまくない。
気質も陰だ。Mさんは完璧な陽。
元々合わない二人だったのかも知れない。


今年の3月4日、私は本を出した。
引きこもり無職の悲しい半生を書き綴ったものだ。

発売日当日、販売元である古書みつけでお店番をしていた。そこに体調が万全ではないMさんも駆けつけてお祝いをしてくれたのだ。拙著を購入して頂き「読み終わったら感想を送るね」と。

それから「途中まで読んだよ」とLINEが来てそれっきり、Mさんから連絡が来ることは無かった。


……それだけじゃ嫌われたかどうかわからないじゃないかって?
LINEは既読無視。インスタは鍵アカだったMさんからフォローを外されてたんだぜ?
きっとそれまで私に感じてた違和感とか失礼さとかが本を読んでいよいよ嫌になったに違いない。
人の感情は動かせないので嫌われても仕方が無い。
けど、やっぱり悲しいね。

あー、まじで何なんだ。
笑えない。


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