左利きです
左利きだからといって物凄く困ったことはない。
幼い頃に右利きの人と比べて戸惑ったくらいだろうか。困りはしないが不便だなと思ってきたことならけっこうあるが。
硬筆で字を書くのと箸を持つのと自動改札を通る時は左で、ハサミやカッターなどは右利き用しか家にはないので右手で使っている。習字をしていた時も当たり前のように右で毛筆を持っていた。
意外と器用なほうなのだろうか。それとも器用にならざるを得なかったのだろうか。
親しい人で左利きの人が居ないため、そういう左利きあるあるを話し合ったことがないのでよくわからない。
ただ「左利きの人って字がうまいよね」とかいうような偏見に基づいた意見は何度か言われたことがある。
あと「天才肌」とか。
プレッシャーにしかならないのでなるべく言わないでほしい。
学生時代に不便だったのはよくある事で、横書きの時に手が鉛筆で汚れやすかったこと。
縦書きの時は非常に快適にノートがとれたので国語系は好きだった思い出がある。
ボールペンは基本的に右利き用に作られているので左利きが使うとインクが詰まりやすい。
左利きが一を書くときは左から右に押して書くのだが、その最初が引っ掛かりやすい。右利きだと左から右に引いて書くからサラサラ書けるらしい。
万年筆なんかは完璧に右利きの筆記物なので、左利き用じゃないと書けない。
そういえば包丁で切る時も左だ。ただし皮を剥く時は右になる。刃の向きのせいだろうか。
フレンチを食べる時(滅多にないが)のナイフはどちらの手でも持てる。
どうしてだろう。
イタリアンでは絶対に左でフォークを持つのにな。
自分でも何がどうなっているのかわからなくなってきた。
何気ない所でもこの世は右利き優位に作られている事にお気づきだろうか。
例えばシャワーヘッドは当たり前に右側についているし、古いドアの鍵穴なんかは大体、右で開けやすい位置になっているし、瓶などの蓋は右利きが力を入れやすいように出来ている。
そんなちょっと残念に思われる左利きが優位になるのは、野球や柔道などのスポーツと言われている。が、私はスポーツを全くしないので関係ない。
こう書いていると残念なのは私自身なのかな、と少し悲しくなってくる。
しかも空間認識能力に優れているとされる左利きなのに、方向音痴だし。数学苦手だし……。
利き手が左で良かったことといえばたまに「かっこいい」と言われることくらい。
一番の左利きあるあるは、街中などでも左利き同士はめざとく見付け、密かな連帯感を勝手に得ている、ということではないだろうか。
道具や設備が多少使いづらくとも、そんなに不満をもらさずに生きている左利きの私たちは、なかなかに偉い。
右利きのあなたの近くにも居るであろう左利きさんに、これからはちょっと優しい目線を向けてあげてほしい。