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地下鉄で思わず出た一言が、中年男性を動かした話

先生あのね。
今日は、地下鉄での小さな出来事について。

雨の日、私は地下鉄で銀座に向かっていた。
車内はほんのり混んでいて、私も「立ち組」として吊り革につかまっていた。

途中の渋谷駅からは、モワッとした熱気とともに、ドッと人が乗り込んでくる。その中には、長傘を杖代わりにして、足を引きずるおじいさんも。

おじいさんは、私の横で棒に捕まって立ったけれど、座る席はなく。

私たちの前の座席には、20〜50代ぐらいの男女がズラッと並んで座っているけれど、みんなiPhoneを見ているか、うつむいているか、目をつむっているか。おじいさんに気づく様子もない。

私だって、電車に座ったら、まずiPhoneか本を開く癖があるので、そんなもんだと思う。

なのに、自分が立っている立場で、この状況に気づいてしまうと、「誰か、おじいさんに気づいてよ!」と、イラッとしてしまう。

ドアが閉まって、地下鉄が走り出した瞬間、おじいさんがよろけて、私の方へグーっと乗り出してきた。

私は思わず、おじいさんの腕を支えながら、「大丈夫ですか?座りたいですよね!?」と。

すると、目の前に座っていた、くしゃくしゃのワイシャツを着たおじさまが、「あ、座ります?」と席を立ってくれた。私と同年代ぐらい。

「ありがとうございます‼︎」と、歓喜の声をあげる私。

本当は、最初から「誰か席を譲ってあげて」と声をかけても良かったんだと思う。
だけど、そうはできない私の「念」が通じたのか、咄嗟に出た一言が、間接的に良い仕事をしてくれた。

私はお陰で、他人に対する苛立ちはもちろん、自分に対する苛立ちも解消することができた。

まさに、言葉の力😊

言葉のプロデューサーなまず美紀でした。

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なまず美紀/インタビュア&ライター
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