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旅に出たい - 「均一周遊券」のこと

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かつての国鉄時代に販売されていた「均一周遊券」といえば,懐かしい思い出ばかりが蘇る.

ちなみに「均一周遊券」はあらかじめ周遊する範囲と有効期限が決められているもので,対する「一般周遊券」というオーダーメイドの周遊券も存在していた.

さてこの「均一周遊券」であるが,学生時代の長期の休みにはこれを使い,北海道,東北,信州,山陰と,旅や鉄道の写真を撮りに出かけていた記憶がある.

たとえば大阪発の「北海道均一周遊券」は有効期限が20日.北海道内は特急以外乗り放題.道内ばかりでなく,北海道までの往復の急行列車自由席にも急行券不要でそのままで乗車できた.

当時は急行列車が多く走っていて,それも長距離のものや夜行列車もあったので,まさに周遊券とはベストマッチングだったのである.

また北海道などでは,行きは周遊券を使って期限を残して飛行機で帰る人から周遊券を譲り受ける旅人も大勢いた.そういうふうにして旅ができるリミットをどんどん延長していくわけである.ちなみに当時は北海道旅行に飛行機を使うなどブルジョワと言われる時代だった.

そんな周遊券がいつの間にか消え失せた.

あんな便利なものがと思うが,原因は旅の形態がガラッと変わってしまったことにある.

JRになって国鉄が分社してしまったこと.それにともなって長距離の普通列車がなくなり,急行や夜行列車もほぼ全滅.ローカル線の廃止が続き,列車の本数も減少.

また若者には高嶺の花だった飛行機も,LCCが現れて身近に利用できるようになった.現地での移動にもマイカーやレンタカーがよく使われるようになったこと.ひいてはユースホステルを渡り歩くような旅のスタイルそのものが変化し,旅人が小綺麗になってしまったことなど.

たしかに列車に乗って移動したくても,過疎の路線で一日に3便とかでは話にならない.それよりはレンタカーを使うほうが現実的だ.だったら現地までの往復はLCCでという話になってしまうだろう.

そもそも日本は鉄道というものを粗末にしすぎているのではないか.不採算路線を廃止しバスに転換という,アホの一つ覚えみたいなことを繰り返してきた.あるいは新幹線を作るから,それに並行している在来線は第3セクターに移管とか.基礎体力がなくなってきたような感じがする.

話を戻すが,現在の鉄道情勢では仮に均一周遊券があったとしても,非常に利用しにくいだろう.周遊券に変わるチケットも発売されているようだが,それよりも自分としては長距離列車,それも急行や普通列車を復活させてほしい.そういったカタチでの旅がしたい人は,決して少なくないと思うからである.

それと新幹線だが,あれが開通することで在来線が粗末に扱われるのは耐え難い.細かな駅が存在してこその鉄道.まさに旅のベースはそこにあると思うのだから.

  「周遊券」の旅、現代の割引切符で再現できるか|東洋経済

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