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エリートたちの犯罪が招く未来

ここ数か月、金銭目的の凶悪犯罪がニュースで頻繁に話題になっている。

経済的に困窮した人々がSNSを通じて集められ、強盗や殺人といった凶悪犯罪に加担している「闇バイト」事件も大きな衝撃を社会に与えているが、それ以上に野村証券や三菱UFJ銀行といった名だたる大企業に勤めるエリートたちの犯罪の衝撃は大きい。平均的な労働者と比べて給与も福利厚生も破格の待遇を受け、ライフステージも順調に歩みを進める「勝者」としてのイメージが強い彼らの中に、客の家に上がり込んで睡眠薬を盛ってから放火したり会社の金庫から金品を盗み出したりといった、信じられないような犯罪に手を染める者が紛れ込んでいることが明らかとなったのだ。

貧困層からエリートまで、日本社会の幅広い階層の人々が犯罪に手を染めている現状は暗澹たる気持ちになるし、「国が経済的に凋落するということはこういうことか」という感想を抱いた人も少なくないだろう。

しかし、低所得層の犯罪はともかく、エリート層まで凶悪犯罪に手を染めるケースが後を絶たない現状は単に日本が直面している経済的衰退を象徴するだけでは済まない。これは新卒採用システムの大きな変革に繋がり得る話であり、さらには社会階層の固定化という問題にも繋がりかねない話でもあるのだ。

これまで日本の就活システムでは、学歴や学力といった定量的な要素を重視して採用が行われてきた。特に、大企業では有名大学出身者を中心に採用し、「高学歴=優秀、信頼できる」とする暗黙の前提があった。

しかし、こうした採用基準に従って選ばれた人材が金銭目的で犯罪を犯している現状は、この前提が成り立たないことを証明している。学力や学歴に基づいた人材評価だけでは、人間の「倫理観」や「精神的安定性」、ひいては「犯罪リスク」を見極めることができないということだ。

この現実を受けて、企業が今後の採用基準を見直す動きに出る可能性は非常に高いだろうし、既に人事部門や経営層の頭の中では最大級の関心事となっていることだろう。彼らは様々な採用基準を検討し、各企業が独自に編み出したメソッドを実践していくことだろう。しかし、どの企業も最終的には同じ結論に辿り着くはずだ。

その”結論”とは、

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