清々しい休日の地獄朝ルーティン
朝、妻を起こさぬようベッドから這い出て、神棚に「金持ちになれますように」と祈り、温い水をゴクゴク飲む。一息付いて気がつく
「ああ、今日も生きていかねばならぬのか……」と。
陰鬱としたままランニングウェアに着替え、マンションを出て走り出す。ランニングの最初の1キロは地獄の苦しみだ。何度やっても苦しい。骨伝導で強制的に鼓膜を震わせてくるオーディオブックも遠く聞こえる。
土手に出る頃、ようやく朝井リョウの小説が意識できるようになる
”大学祭の実行委員は、色事から遠い……”
ハァ?と。
ふざけてんのか?と。
これだから高学歴作家は困る!と。
大学祭実行委員はドロドロしてんぞ!オレが経験者だからな!大学はな、サークルだろうが実行委員会だろうが、ドロっとしてるもんなんだよ!
と思いながらもなんだかんだと面白い小説だな。才能が妬ましい!ああ、妬ましい……
「おはよーございます!」
ああ、いつもの人だ。休日走ると登場する同い年くらいのオジサンだ。
「うえっす」
妬ましさにボーッとしてたから、変な挨拶になる。既にウェアはビチョビチョで、あと6キロも走らないといけないのに、気持ちが悪すぎる。と思っていたところに「グワッ」の声。
「カモチュワン!」
腹のフリップベルトからスマホを取り出し、カルガモをパシャパシャ撮る。カルガモを見て、次第に気分が良くなってくる。家に帰ってくる頃には、鬱が汗になって出て行ったかのようにスッキリである。
大体こうして休日が始まる。実は平日も同じである。
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