黒歴史を解放すること。
僕は何を隠そう、赤ちゃんのとき、とてもかわいかった。
当時の写真を見ると、自分でもそう思う。
おむつのCMに出てくる赤ちゃんを想像してほしい、あんな感じである。小学生の時は、ピアノを習っていて、おぼこい感じだった。
給食を一気に食べることと、歌を歌うことが好きだった。
よく喧嘩をした。
中学生ではバスケットボール部に入って、なんやかんやで好きな人と中学卒業の瞬間に付き合うことができた。
別々の高校に入ってしまうとかなんとかそういう理由が僕の小さな背中を押してくれた。
まぁここまでは良かった。
そして暗黒の高校生の時代に突入する。
暗黒すぎて、正直記憶があまりない。
部活は中途半端にやめて彼女ともうまくいかず、勉強はろくすっぽ取り組まないで、オンラインゲームを転々としている。もちろんそこで何かしらの居場所みたいなものを作ることもできず、ボーカルがいないバンドを組んで誰に見てもらうわけでも無く練習だけをしている振りをしていた。つまり暗黒時代である。
仲が良かった友達の名前すら、ぱっとでてこない。
小中の方が濃厚に付き合っていた、というとそれまでなのだけれど、顔は思い出せるが名字がでてこない、または、その逆である。
しかし、そのとき覚えていることとしては、理系のクラスに進んで、ほぼほぼ男子しかいなかった。
そこにとっても勉強ができるTさんという女子がいたこと。
その人はなんというか、派手ではなかった。
有り体にいって地味だった。悪い意味じゃ無くてね。
ガツガツしている感じではなくて、自然体な感じだった。
ただ、信じられないぐらい勉強ができた。
模試の順位に乗るような感じだった。
どうやって勉強をしているのか、ということを聞いたことがあった。
Tさんは事もなげに、「隙間時間を使ってるぐらいかな」と涼しい顔をしていった。僕は嘘をついていると思った。
何か勉強というのは特別な才能、またはメソッドがあって、それを知っているのだろう。
そして僕には残念ながら才能はないので勉強しても無駄だし、工夫しても意味がないのだ、と開き直っていた。
高校の時の担任の先生は英語の先生で、聞いたことがある。
単語が覚えられません。
覚えても忘れてしまいます。
そしたら先生は笑った。
そのときはなんだかバカにされたような気がして、相談して損したと思った。
ただ、今思うと、おそらくその笑った理由は先生も同じだったからじゃないかな、と思う。
「俺だって単語忘れてしまうよ、だから勉強しているんだよ」と言いたかったのかもしれない。言ってくれよ。
まぁ、そういうのってそのまま伝えられるよりも、自分で発見した方がいいのかもしれない、ということを思い込むことにしよう。
単語を覚えるにしても、勉強するにしても、そんな大げさなことが必要なのではなく、隙間時間こつこつすることが大事なのだ、とわかっていたけれど、本当にそれが出来るようになってきた。
ブラック企業に務めながらこつこつ文章を書いているからね。