人生がいつ終わるかわからないことはわかっている。
いつもは、だいたい日曜の午前中に温泉に行く。
そうすると、だいたい空いている。
でも開店と同時に行くと、ちょっと混んでいる。
一番風呂をめがけて高齢者の人が結構並んでいる。
僕ぐらいの年齢層の客はあまりいない。
もっとも僕ぐらいの年齢はぱっとみで何歳かわからない。
昨日は、珍しく20時に温泉に行った。
そうすると家族連れだらけで、とても賑わっていた。
賑わっていたという表現は好意的すぎるかもしれない。
温泉やサウナなど利用するスペースがとても限られていて、リラックスしに温泉に来ているはずが、ある種の緊張感に包まれていた。
寝転びながら温泉に入れる場所が空いていたのでそこから入った。
その瞬間、子供がダッシュしてきて(危ない)空いていない!と叫びダッシュで親の元に戻っていった。
食うか食われるかだな、と思った。
サウナはもう、おじさんだらけだった。
僕もおじさんなのだけれど、入るスペースがなかった。
熱さを我慢しているのか、人口密度の高さを我慢しているのか、謎だった。
そうこうしているうちに、マット入れ替えのスタッフがやってきた。
マット入れ替え用のカートを引いているが、通路すらも人でごった返しているので通るのに時間がかかっていた。
むしろ、利用者はサウナマットを交換させないようにするために結託しているような雰囲気すら感じられた。
マット交換は半分ずつ行われる。
僕もサウナに入りたかった。
でも今いくと、なんだかマット交換を目がけてやってきたハイエナみたいに思われやしないか、と考え直し、空いていた電気風呂のコーナーに行った。
電気風呂は一人用しかないものの、人気が無かった。
おそらく電気がでるからだろう。
いっそ、混んでる時間は電気風呂も電気をやめてみてもいいのではないか、と思うぐらいガラガラだった。
僕は電気風呂の横のスペースでしばらく温泉に浸かった。
申し訳なさそうにおじいさんが僕の横を通って電気風呂に入った。
僕も申し訳なさそうな顔をしておいた。
なんだか、とても気分がよかった。
いつもよりも混んでいるし、何を叫んでいるかわからない声が良く聞こえる。サウナには結局入ることができなかった。
でも、悪い気はしなかった。
温泉でぼーっとしていると、ここまでどうやって来たのだろうと思った。もちろん僕が自分の車で運転してきた。
だけれど、運転してきたという実感がなかった。
事故らなくてよかった。と思いつつ、今何かの拍子に僕の人生の幕が下りても、それはそれで後悔はないな、と思った。強がりでもなんでもなくて、ネガティブなそれでもなくて。