【後編】【文字起こし】成長率だけを追いかけ過ぎると罠にハマる。SaaS経営者が考えるべき戦略とは。~ Fond 福山太郎
本記事について
2020年8月19日に前田ヒロさんのブログでFondの福山太郎さんへのインタビュー記事が投稿されました。Podcastでしたが情報量が多いので、文字起こしだけでもいろんな方にとって有用そうだなあと思ったのと、個人的にGoogle Speech-to-Text API を使ってみたかったということで、文字起こししてnoteに公開することにしました。公開許可いただいた前田ヒロさん、ありがとうございました!
前編はこちらです。
今回は後編で20分08秒から最後までを文字起こししています。
それではどうぞ。
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ー(前田ヒロさん)なるほどね。最後プロダクトなんですね
(福山太郎さん)プロダクトはですね、一つにちゃんと全部理解できる人って最初から入るファウンダーだったりするんで、そこはまず一つ大きいです。もう一つがプロダクトのリクエストって社外からも社内からもいろんなリクエストが来るんですよね。例えばエンジニアの負債を解決して欲しいっていうエンジニアの依頼が来たりだとか、営業から見てこういう機能やって欲しいだとか、既存の顧客からこういう意見があったときに、例えば新しく入ったプロダクトマネージャーがいて既存のVPofsalesにこれ絶対作ってと言われるとNoって言いにくいんですよね。そうなると社内で声が大きい順に決まっちゃうと危険なズレが出てくると。そうなった時にファウンダーないしは社長って本当の優先順位を決めやすいし、社内の誰に対してもいっぱい誰よりもNoって言いやすい部分なので、そう言った意味では向かう方向性と目の前のロードマップの差異を一番無くせるのはトップだなって思うので、プロダクトは最後までもち続けた方がいいんじゃないかって。
ーなるほどね。過去に権限委譲した時これ失敗したなとか振り返ってみてやっぱりこう進め方変えれば良かったなと思った時あります?
ありすぎて話しきれない。例えばさっきのoptimizationか変化かって時に、VPofsalesを雇ったときにそもそも単価が低かったので単価をあげようっていう方向性を決めたんですけどあんまりそこを明確に社内で浸透させることができなくて、そうすると営業の役員って大抵彼らのボーナスって営業成績で決まるわけですよね。そうすると100円のdealでも1億円のdealでもどっちでもお金が入ってくるので、dealが来れば来るほど100円だろうが1億円だろうが全勢力をもってクローズしたがるんですね。これは当然のことなんですけど、そうなると何が起きるかっていうと100円のdealが来て、会社にしてみればそれ単価上がらないから意味なくないとは言っても、いやいや自分の収入のためには何やらなきゃいけないのでエンジニアの人、この機能追加してくださいと。ただそれって大企業で使えないよねっていう社内の戦略での矛盾がありつつもそこが明確になってない状況で役員を雇ってしまうと結局会社の方向性とその人の成果にブレが出てしまうので、そこは一つ大きな失敗でした。
ーじゃあ売上目標だけじゃなくどうやってその売上目標を達成するかどういう状態で達成するかっていうのもはっきりさせて矛盾した行動もなくしていくこと?
そうですね。一番会社にとって大事な質問って会社にとって最も重要なことは今何かっていう質問に対してトップがそれを明確にして社員ランダムに聞いた時に8割以上の人がやっぱり同じ回答できることってすごい大事なんじゃないかなと思っていて。例えば私たちがsmb向けのサービスを大企業向けに切り替えた時にやっぱりアメリカだとエンタープライズと言われるのでGo enterpriseと毎週のようにしつこく言い続けたと。そうなるとやっぱり会社にとってそれが浸透していくわけですけどもやっぱりそうなってくると、いわゆるOKRの仕組みに落とし込んだときに、ObjectiveがGo Enterpriseでkey resultが例えば1年間で10社エンタープライスをもってこようと思った時に、それと並行して会社の年間の売上目標が5億とした時に5億をミスっても大企業を10社取る状況と、10社取るのはミスっても5億を達成する状況ってなった時に会社にとってどっちの方が大事ですかっていうトレードオフが起きた時にこのOKRの今の例で言うと売上目標を仮に達成できなかったとしても大企業を10社獲得すれば向こう3年5年のインパクトが変わるって思い込める目標をどう作れるかというところですよね。
ーなるほど。
そうなってくると仮にそれが本当で仮にそれがトップが信じきってることだったらもしかしたらVPofsalesの目標は売上を5億ではなくて大企業1社につきいくらボーナスという設定をしていればもうsmbの方はフォーカスしなくなるしsmbの機能のところもあんまり社内で混乱が起きないので会社として同じ方向に持っていけるんじゃないかな
ーなるほど。ちなみにsmbからエンタプライズ切り替える時に、とはいえsmbからリードは入ってくるじゃないですか。smbでお客さん入ってくるじゃないですか。smbを無視しないために何か工夫したいとかしてるんですか?
そこは反論があるの覚悟で言うと無視したほうがいいと思います。大企業に向けて決断を早めにすればするほど無視するダメージが低いというか、つまり1億の段階でスイッチするとダメージは1億分の客さんですけど10億のときにスイッチするとダメージが10億分来るので、結局早い段階で決めた方がいいっていう前提のもとできるだけ無視した方が良いと思います。なのである意味既存のターゲットじゃないお客さんがchurnしてもあんまり辛くないと思うべきだし、逆に言うと既存でターゲットセグメントのお客さんがchurnしたらなんでかは最優先課題として当てはめたほうが良いし。新規の方もできるだけ、僕の考えではターゲットセグメントじゃないお客さんは入ってこないようにする。例えばマーケティングの人たちがウェブサイト上でこのサービスは1000人以上向けのものですと書いたりだとか、例えばSDRが最初にクオリフィケーションする時に、正直うちは御社のサイズだとフィットしないのでこういうサービスがあるのでお勧めしたりだとか、できるだけ入ってこない、かつ入ってきたとしてもそこまで会社としてはアテンションを与えないっていう風にやってかないと結局ディストラクションになると言うかそっちの方にも集中が散漫してしまうので、基本的に戦略の肝はリソースをどこに置くかなのでそれが集中すればされるほど効果が出てくるのでそういった意味ではちゃんと決めてやらないことを徹底する事が僕にしかできないことかな。
ーかなり勇気ある、勇気が必要ですねそこは。
勇気があるがゆえにトップしかできないですよね。なんで現場に任しちゃうと絶対そういうのふわっとしてくるので俺が何をやって何やるか決めないと、基本的にこの明確な方向性ってでないと思うのでそれが綺麗だあればあるほどに会社としては効率よくリソースが割かれるんじゃないかなと。
ーシリコンバレーってすごく人材獲得戦争が加速してるじゃないですかもGoogleとかfacebookとかSalesforceとかもうとにかく大手企業と戦いながら人を取っていかないといけないんですけどFondで人をAttractするのってどう工夫をしてやってるんですか?
いくつかあるんですけどうちの場合でいうと、ジェネレーションのトレンドにも関わってくるんですけど会社のミッションビジョンっていうのは昔よりかは職選びのときに大事になってきてるってのはかなり統計として出てきていて、やっぱり金銭的に見るとどうしても大企業に入った方がいいってのも紛れもない事実で、会社にいろんなリソースもあるし、いわゆるストックオプションだけでも結構大きな額を払われる会社多いので、そういったことでかち合わないと。その上で自分の成長だとか、やれどんな社員だとそういうカルチャーがいろんなあるんですけど、一つは人生限られた中でどんなことを達成したくて、それと近いミッションを持っている会社ってどんなんだっけところから探す人たちがアメリカだと増えてきているのでそういった意味ではいわゆる社員の文化作りだとか社員の満足度を高めるっていう、ミッションも結構刺さりやすいというか選んでくれる人が多いっていうのはある。
ーミッションとビジョンの整合性で上手く焚き付けてうまくattractしていくっていう感じだね。
そうですね。あとは日本でも徐々に出てると思うんですがGlassdoorっていう社員からの口コミ、辞めた人も既存の社員も含めて、という所も含めてやっぱり隠せないと言うか何か起きるとすぐこういうところに表示されるし何か事件が起きるとすぐにpressに出るメディアに出る世の中なので、そういった意味では外に対して言っていることとちゃんと実行してることが統一されていること。で会社にとってちゃんと明確なところがあるってのは大事な話なのかなと。
ー話が前後しちゃうんですけど方向性の浸透って部分で設定するのはすごく大事な部分でそれを浸透させるのもすぐ大事だと思うんですけどこの浸透の部分、何か工夫されてる部分あったりしますか?
トップがやることは3つに分けられるかなと思っていて、まず設定すること。次にそれを伝えること。次に浸透させること。この3つじゃないかなって。まず設定した後に次は伝えることで、これはもう耳にタコが出来るくらい伝えることが大事でそれは毎週の全体会議だとかeメールなのか会社のポスターなのか、なんでもいいのでとりあえず伝えまくるのがまず一番大事。その上でどういう仕組みに落とせるかっていうのが大事で例えば大企業にいくっていうのが会社の方向性でそれを浸透させたかったら採用の面接の時の審査項目に「この候補者は大企業に行くって方向性に対してマッチしてますか」って質問を入れるとどうしても社員がフィードバックを記入する時に一回その質問見るわけじゃないですか。そうすると浸透するにあたって一歩近づくと。例えばうちの商品でいうとピアボーナスとか、そのコアバリューとか会社の方向性に沿った人を評価しましょうっていうツールなので、そうなると誰かが大企業向けのキーのプロジェクトをやったときに、評価される仕組みがあったらいい。そういった意味で会社の仕組みにどれだけ落としてくかで浸透性ってのはだいぶ変わってくるんじゃないか。
ーなるほど。ありとあらゆる面で決めた方向性が面接のプロセスだったりとかコミュニケーションだったりとかOKRだったりとかいろんなとこへ現れるって感じですね。
そうですね。これはトップが能動的にやっていかないと現場の人から方向性を浸透させようっていうあんまりできないことなのでもそこはしつこく、あと意思決定の時もこれって方向性に合致してるんだっけとか質問投げてみるだとか、そうやっていかないと浸透するってのは結構難しい。
The Modelを取り入れるべきタイミング
ーThe Modelについて話したいと思うんですけども、The Modelって日本でも本が出てもほとんどのSaaS経営者が取り入れようとしてるんだけどそもそもいつからThe Modelを意識して取り入るべきかっていうのを聞けると。
そもそもThe Modelとはなんぞやっていうところからいうと基本的には売り上げを拡大させる仕組み作りかなとなっていて、そのために自社内のワークフローできるだけ細分化して、それを数字で可視化してちゃんとマネージしましょうみたいのが肝かなって個人的に解釈してるんですけど、そうなった時に会社、特にスタートアップのフェーズってまずproductMarketfitがあって、次にgotomarketfitいわゆるどんなな売り方をしてどんなマーケティングするのがこの製品とってフィットしているのか。productMarketfit、gotomarketfit、最後にそれをスケールするの3段階かなって思いましたね。最初からproductMarketfitしていないのでスケールできるわけなくて、productMarketfitしてても売り方わかんないのにいざ予算を増やしますと言ったって絶対スケールできないので、この順番は結構不可逆かなと思っていますね。そうなったときにこのThe Modelの細分化して数字でちゃんとマネージしましょうっていうのはスケールするところにはめちゃめちゃ刺さるかなって思うんですけど、逆に最初のproductMarketfitだとかgotomarketfitを測るところではそこまで優先順位は高くないんじゃないかなと思っていて。逆に危険なのはThe Modelみたいな細分化するのが大事だって言ってproductMarketfitもふわっとしててまだgotomarketもわからないけど来年売上を3倍にして再来年もしなきゃいけないと。そうなってきた時にじゃあExcelで見るとじゃあ結局レバーってお客さんの単価と受注数と営業マンの掛け算になってくるわけですよね。そうなった時に単価をあげるのもよくわかんないし受注率って結構有限だと思っているので、そうなるともうレバーって営業マン増やすしかないよねってなると、結局計画づくりのときに、じゃあうち営業マン5人いるから来年10人採用しますっていう会社が多いんじゃないかな。うちもその時期が一時期あったんですけど、そうなってくるとプロダクトフィットしてなくて、どう売るかもわかんないのに資金調達だけしてお金がいっぱいあってエクセル上、採用計画10人だから会社の全時間が採用に使われて、結局そもそも何も伸びなかったっていう、採用計画だけ達成するけど売上未達ですって結構多いかなと思っていて、アメリカだといわゆるレイオフだとかよく行われるんですけど日本だとそれもし辛い文化なんじゃないかなと。でもそうすると結構重いダメージになるんじゃないかなというのは結構感じます。なので逆にproductMarketfitだとかgotomarketfitの時にはあんまりKPIドリブンな経営ではなくて、できるだけ顧客からの定性的なフィードバックとか顧客に本当に愛されてるかどうかをちゃんと察知してその売り方で本当にマッチしてるんだっけとか、もうちょっと一歩引いた、戦略と合致していてお客さんに満足されているかというところにフォーカスすればするほど逆に良いんじゃないか。なんでうちがリワードを開発してリリースしたときに経営会議にはあんまりKPIは出てこなかったですね。ただ結果的に半年1年後経ってKPIをちゃんと細かく見てみると実は全部のKPIが良くなった。それは戦略が合致して顧客が、お客さんに愛されてる結果だったりするのでKPIはあくまでも結果をトラックするものでThe Modelっていうのは戦略があってproductMarketfitがあってgotomarketfitがあるから、やっとスケールするときに使うって順番なので、あんまり初期段階でエクセルに溺れすぎちゃうと結構大事なもの見失っちゃうんじゃないかなと。
ーエクセル経営にハマってしまってるっていうのを気づかせるなんかポイントってありますか?
一つに過去半年で何社お客さんと会いましたか。ないしは、売り上げトップ10のお客さんのうち、過去半年何社会いましたかって質問してして大抵1とか2とか返ってくると結構やばいじゃないかと思っていて。基本的にproductMarketFitもgotomarketfitも顧客ありきのものなのでそこからトップが初期段階で離れて基本的にエクセルでしか見なくなるとやばいサインじゃないかなと。
ーgotomarketfitってフィット感ってどうやって測るものなんですか?
最初にする質問はやっぱり資金調達のときも肝だと思うんですけど、すごくあげたら5億あげたら、5億以上のARR追加できるんですかっていうのが質問の肝だと思っていて、結局今100億もらっても使い切り方がわかんない会社のがやっぱ初期段階多くなってくるわけですね。そうすると5億か10億もらった時にどのチャンネルにいくら投資するのか、それは何でそれが合致してるのか過去のデータから見るとそれがどう整合性が保たれているかっていう質問にちゃんと答えられるといわゆるがgotomarketが分かってるんじゃないかなという感じがして。なのでそもそも対象のセグメントお客さん誰ですかって言われて答えられなかったらダメだし、お客さんにどうリーチしてるんですかって答えられなかったらダメだし、それって実際何社に対して成功してるんですかっていう風に答えなきゃだめだし、そういういわゆる根本的な質問がちゃんと明確に答えれるかどうかが大事なんじゃないかな。
ー確かに。売れ始めるとすぐにTHEMODELに行こうとするっていう経営者結構多いなーって聞いててすごい感じましたね。
そうですね。エクセルをすると管理のときに可視化できるってのあるんですけどExcel使ったからお客さんがいきなり増えることは、そういう魔法ではないのでそこは結構気をつけないと危ないなと。
ーとはいえ、どこかのタイミングで社長とお客さんとの距離が生まれるのかなとは思うんですけど実際そうですかね?
いやそんなことはないと思います。マーク・ベニオフ、誰かがグルーポンが拡大する前、初期の段階でグルーポンの採用面接でグルーポンに訪れたときにマーク・ベニオフいたらしいんですよ。で何していたかって言うとグルーポンにSalesforceを導入して欲しいってことでマーク・ベニオフが直接営業に関与していた。なので広義の意味でのお客さん、それが新規なのか既存なのかは置いといてやっぱりトップで大企業であればあるほどにちゃんとそういう営業だとか既存顧客のカスタマーサクセスに関与するってのはもっとマストなんじゃないかな。なので全部に会うっていうのはどこかで無理になってくると思うんですけど、TOP20社に会うっていうのはTOP20の中身が変わってくだけで自分の時間配分はそんなに変わらないのでそういった意味ではTOP20社TOP10社、僕はいま一週間に50社会うようにしてるんですけどトップに会うっていうのは結構大事なんじゃないかな。
ーなるほど。早くスケールのフェーズに入りすぎてるなとかちょっと営業人員増やすのにちょっとスピード早すぎるなっていうのを確認する指標だったりとか現れるその症状とかあります?
一つに1円お金を使って1円新規で売り上げが増えてますか。つまり今年の赤字額が5億だったら新規のネットでの売り上げの増加が5億分あるかどうかっていうのは一つのわかりやすい指標になるんじゃないかと。なので結構上場してしっかりユニットエコノミクスが回ってて綺麗な会社ていうのは調達額とARRが結構1:1で回っているところが多いと思います。そこが結構わかりやすい指標なんじゃないかな。
ーもしこれからSaaS経営者がちょうど起業しようとしていて是非持ち帰ってほしいアドバイスとかちょっと浸透させたいアドバイスがあれば何なります?
一つが最低10年コミットできますか、ていうのが一つ。やっぱり特にSaaSは時間がかかるので、最初の売上が1年かかる会社もザラですし、今だと1億いくのもそこから数年かかるっていうのもザラになってきたので、そもそもある程度の規模になるのに10年以上かかるので、そもそも10年飽きずにやれますかと。創業者が辞めたくなるのが会社が潰れる理由の一つだなと思うので10年やるものなのかどうかって一つ大事なことかなと。もう一つに顧客との時間を楽しもうと。お客と話してちゃんとフィードバックもらって同時にちゃんと感謝されるこんなサービス作ってくれてありがとうって言うの直接受け付けることってめちゃめちゃ自分のエネルギーになると言うか活力になるというか。そういった意味では顧客と話すことを楽しめない事業はやらない方がいいじゃないか。
ー少なくとも10年覚悟しないといけないって部分でその覚悟の確かめ方だったりとかあとその10年続ける精神管理とかフィジカル管理とかなんかその辺のアドバイスってあります?
ちょっと一つはこれMillsが言っていたんですけど、やりたい事業のドメインが決まったら1日1個ブログをそのテーマで書いてみると。それを30日間続けられるかどうか、つまり自分の本当に興味あるインダストリーだったらそのことについて毎日ブログ書くって結構苦じゃないんですけどあんまり時間がパッションない業界だと結構30日連続でブログ書くって大変なんですよね。なのでそれで100%分かるわけじゃないんですけど、一つのわかりやすい指標なんじゃないかなと。二つ目にじゃあ長く続けるためにどうするかって言うと一つは仲間づくりですよね。やっぱりが社員数が増えて面接できない時もあるかもしれないですけど、やっぱり自分の中でどんな人と働きたいかを決めておいてそれに合致しない人はどれだけスキルセットが高くてもできるだけ採用しないと。そうすると結果的にカルチャーって強くなってっていくなと思うんですけど、その自分にとって譲れないものって何なのかっていうのと、絶対面接では聞いて外すっていうのは、ちゃんとやれるようにしてくとメンタル面でも結構長続きするんじゃないかなと。
ーなるほどね。自分の周り本当におきたい人をおける状況を作るっていう感じですね
そうです。やっぱり月曜日の朝にまたこのメンバーで打ち合わせできるって言う風に楽しんで思えるかどうか、もしくはあの人たちと話さなきゃいけないかっていうテンションで来るのって結構メンタル面では大きく差が出る。
ーFondは結構そのエンタープライズ狙っているっていうのと、太郎くんがよく大企業大企業っていう言葉を出してるんですけどその中で単価の重要性について教えてもらえます?
そうですね。SaaSの最初の一つのマイルストーンが年間の売上ARR100億だとした時に100億の達成の仕方ってざっくり分けると何パターンかあるんですけど一つが売上1億の会社を100社連れてくること、次が1000万の会社を1000社連れてくること、100万の会社を1万社、10万の会社を10万社ってざっくりいうと分けられると思うんですけど、その時に単価10万の会社を10万社集めるってめちゃめちゃ大変だなという風に思っていて、大変かどうかと同時に、日本だとそうだしグローバルでもそうなんですけどそんなにマーケットセグメントなる会社ってそんなに多くなかったりするわけですよね。例外は何個かあるんですけど、例えばスタートアップじゃない中小企業、例えば飲食店の方々だとか、わかんないですけど街の商店街にいっぱい並んでるお客さんだとかそういった人たちでも使う給与サービスだとか会計のサービスとかって必ずどんなサイズの会社でも使われるものなので、そこだと結構マーケットサイズが出てくる。例えばマネーフォワードさんだとかfreeeさんだとかもその一つのわかりやすい例。でもう一つがグローバルでかつベンチャーでも使われる。例えばAtlassianとかAsanaとかいまでいうとSlackとかZoomだとかって世界中で小さい会社でもちゃんと使ってくれるのでそれなりの規模が出るんですけど、その二つに当てはまらない限りは10万社から10万円ずついただくって結構難しいですよね。そうなってくると今度逆に一億で単価めちゃめちゃ高いしそれ作るのも大変だけどそれなりのサービスができて1億の平均単価のものを100社様からいただくって一社成功すれば5社目10社目って結構見えてくるものだなと思っていて、例えばWorkdayとかってめちゃめちゃ単価高いんですけど会社数あんまりそんな高くなくて、そうなってくると売上100億からの逆算から考えると単価が高ければ高いほど会社としての成長にたぶん寄与しやすいと思いますし、解約率も一般的には低くなりますし、1営業マンが達成できる予算も必然的に高くなるので、そうすると単価っていうのはSaaS経営において一つ大きなレバーなんじゃないかと思います。
ーなるほど。とはいえば大きい単価を狙うことによっていろんな障害だったりとかハードルはあると思うんですけど実際本当に大きい単価狙うべきか狙わないべきかっていうのを決めるときに注意した方がいいポイントってあります?
解決できるのが難しい問題と解決できるのが不可能な問題ってあると思うんですけど、そもそも市場に売上100億達成するほどの会社数がないっていうのは、基本的に解決不可能な問題だと思っていて、なのでそもそものゴールが売上100億を達成するって設問に対してどうやったら単価10万で10万社獲得できるかってそもそも市場規模から達成できないのでどうしようもないんじゃないかなって。ただ解決するのは可能だけど難しい問題っていうのはそれもどのスタートアップも直面してることで例えばサービス作りが難しいんだったらちゃんとサービス作りすればいいし、お金がかかるんだったら資金調達というレバーを使えばいいし、知識を深めなきゃいけないんだったら勉強すればいい。そういった意味では大企業向けの、そこにお客さんのペインが存在してるんだったら、解決するっての難しいかもしれないけど単価を小さくして売上100億達成するよりは可能な設問だと思ってるので、そのほうがやりがいがあるんじゃないかな。
ーなるほどね。ありがとうございます。そんな中、市場選ぶ時に大きい小さいとか選ぶ基準とかあると思うんですけど太郎くんがオススメする市場の選び方ってあります?
一番最初に会社を作ったときと、途中の戦略フェーズで変わるかなと思うんですけど結論から言うと小さすぎるのも問題だと思うんですけど大きすぎるのも問題だなって思ってて、一番最初始めるときは、市場は大きい方がいろんな市場を攻めやすいのでいいんじゃないかなと思うんですけど、こと戦略を練るフェーズにおいては僕は市場はできるだけ小さくするのがゴールなんじゃないんですけど明確にするというゴールを達成する方がいいんじゃないかなと思っていて、一つのゴールはある特定のめちゃめちゃ小さい市場でもその市場では圧倒的に自社がリーダーっていう状況をどれだけ作れるかなと思っているんですよね。なのでよくやりがちなのって10個いける市場があったら10個全部にバーと攻めて、そしたら売上上がるんじゃないかて考える人多いと思うんですけど、僕はちょっとそれは逆だなと思っていて、10個のうち一番刺さる市場ってどれなんだっけというのを一つ見つけますと。例えばそれが病院だとしたときに、かつシカゴにあって大企業ってなった時その時にもう20社くらいしか出てこないんですよね。そうなってくると20社のうち仮に10社がうちを使ってくれると11社目十二社の営業するときにめちゃくちゃ楽になるんですよ。ていうのも20社のうち10社うち使ってるんだから何でうち使わないのっていう流れになってくるのでそうするとどんどん11社12社が楽になってくるので結果的に20社やってその市場を独占する可能性がめちゃくちゃ高くなると。今度そうなったらシカゴの隣の町に入って同じ状況繰り返していって結果的に全市場でリーダーになったって方が結構戦略性のある攻め方だなと思っていて。一番危険なの同じ10社でもシカゴで1社、ニューヨークで1社、LAで1社、サンフランシスコで1社てなると、結局複数お客さんとった時の次のお客様への影響ってのがあんまり最大化されなくなってきちゃうんですよね。そうなってくるとできるだけ自分が独占できる市場ってのを見つけてそれどんどんどんどんドミノのように作っていくていうのが最終的に大きな市場を独占するステップなんじゃないかなと思います。
ーなるほどね。うまく市場を定義して独占できる市場を積み上げていくっていう感じですね。積み上げながらARR100億になるか、200億になるか1000億を目指していくという感じなんですね。
そうです。最初から大きな市場を独占するのはやっぱりすごい難易度が高いので相対的には小さい市場独占した方が難易度が低いのでそれを積み重ねた方が結果的にトータルの難易度が低いと。
ーなるほど。
なので究極、リードが獲得した時にこのリードの勝率って高いか低いかみんながわかるっていうのがわかりやすいですよね。例えばこのリードってシカゴから来てるんだっけニューヨークから来てるんだっけ、病院なんだっけ銀行なんだっけ、従業員3000人なんだっけ1000人なんだっけていう質問で見たときにこのリードだったら勝率めちゃめちゃ高いからというが分かるようになってくるとどの市場では勝ててどの市場ではまだ勝ててなくて、明確になっている証拠なのでそこは結構分かりやすい例なんじゃないかな。
ー確かに確かに。そうに見え方もいいっすね。なるほど非常に勉強になりました。ありがとうございます。