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時を戻そうは禁止で

「時を戻そう」

「はい、お願いします」

そうはならない。残念ながら。
時間というのは不可逆的な存在である。
常に前へ進んでいて、逆方向へとUターンすることはないのだ。

そんなこと薄々気づいていた。
しかし、どれだけの回数、時が戻ればと願ったことか。
あの行動をやり直したい、と。

些細なくだらないことから、比較的重めの失敗まで。
日々の生活に後悔はつきものだ。
その度に、時が戻ればと思うのだ。

最近はそう思う頻度が多いのではないかと認知し始めた。
それと同時に、そう思うことほど無駄なことはないのではないかと気づきはじめた。

結局のところ、過去は変えられない。
大事なのはその過去を踏まえて、未来をどうしていくかである。
過去に執着する暇があったら、より良い未来を手にする方法を考えよう。

なんとまあポジティブなんでしょう。
我ながら素敵なマインドを育てつつあるのではないだろうか。
これからは未来志向に生きるのだ。

しかし、このような場で高々と宣言するのはいかがだろうか。
言う割には全然未来志向じゃないじゃないか!
そんな風に思われる醜態を晒さないとも限らない。

パブリックな場所で言うんじゃなかった。
誰か、時を戻してくれないだろうか。

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