【身の上小噺】レシート要らないって言えない
レシート要りますか?
そう聞かれたら、「要らないです」って言いにくいじゃんか。なんか断ったら申し訳ないじゃんか。自動でピーーーって出てきてくれ。そしたら気兼ねなく捨てられる。
渡されてもレジ横のレシート入れに捨てればいいじゃん
そうだろうけど、レシート要るか聞かれて要るって言ってしまったのよ。その手前、レシート入れに捨てたらバカだろ。「お前、要るって言ったやん。」ってなるだろ。
レシートの紙って普段俺らが使うような紙とは少し違う材質でしょ。それが貴重さを生んで、さらに断りにくいし捨てにくい。あのつるつるの紙を作るのにいろんな過程を経たんだなとか、わざわざ印字するためにつるつるにした方がいいよなって昔の人が考えてくれたんだなとか、このまま捨てるのはゴミを増やして環境問題を手助けしてしまうようなもんだなとか、だったら「レシート要りますか」のとき要らないと答えれば最初から余計なゴミを増やさずに済むのにとか、あゝずっと断れない俺が悪いのかとか思考をグルングルンさせていた。
実際にバイトでレジに立って「レシート要りますか。」と聞いたとき、「要らないです」と言われても、店員としては特に何とも思わないなと思った。今まで何を気にしてんだろと開き直り、「レシート要りますか。」を断れるようになってきた。
この前なんて断れたことが嬉しすぎて「めっちゃ要らないです。」なんて余計な副詞付けちゃったもんね。
あーあ、スッキリしたー
一つ断れたら次も断れるようになるんだろうな。
そうそう、次はアレを断れるように頑張るわ。
髪、セットしていきますか?