メーカーはなぜ的外れな製品を生み出してしまうのか
こんにちは、生意気小僧です。
私は機械メーカーにて全国のお客様へ機械を届ける仕事をしております。
そんな中でよくお客様に言われることがあります。
それは、
「なんでこの機能なくしちゃったの?」
「なんでこういう風に使えないの?」
という使い勝手に関するお言葉です。
私も今まで日常生活を送る中で、なんでこういう作りなんだろうと思うことは多々ありました。
しかし、メーカーに就職したことによってこの謎が解けました。
今回は、皆様へメーカーがなぜ的外れな製品を生み出してしまうのかについてお話します。
①設計開発はだれがする?
私には設計、開発の同期がいます。
彼らが私がお客様へ届ける機械を設計・開発しているわけですが、ひとつ問題があります。
それは、彼らは実際に機械を使ったことがないということです。
私の会社では、機械を使えるのは1割と言われています。
つまり、設計開発だけでなく、営業、調達、製造などほとんどの部門で使い方を知らないということです。
どれほど有名な大学を出ていても、どれほど優秀な頭を持っていても使い方を知らなければ仕事はできないでしょう。と私は思います。
実際、私も採用の段階では設計か開発と言われていましたが、もし今の部署に配属されることなく設計開発へ行っていたらとんちんかんな機械を作っていたことでしょう。
そして、製造業において現場は高卒、設計開発は大卒という風潮があります。
大学を卒業して新卒で入社する新入社員も現場配属ならやめてしまうかもしれません。つまり、設計開発の人材を現場に送りたくても送れない。そんな現状もあいまって的外れな機械が量産されてしまうのです。。。
②設計開発はだれのため?
私の会社では設計開発が現場の意見を取り入れるためにDR(デザインレビュー)というものが行われます。
デザインレビューとは、設計開発以外の部門の人間が意見することでより良い設計開発にするというものです。
しかし、私はデザインレビューで新たな問題を見つけてしまうのです。
私たちの部署から新しい機種からはこのように変更をしてほしいと要望を出したことがありました。
これは昔から起こっていた問題で、お客様からもたくさんの要望があったものでした。
それを設計開発に伝えると一言
「その仕様変更を行うと今までの機種にも適用してくれというクレームになるので出来ません」
確かに、改良されたら今持っている機械にもやってくれというお客様は出てくるでしょう。
しかし、そんな少数意見を気にしていたら何も改善できません。
デザインレビューに参加して思ったことは、設計開発する人にとって一番重要なことは
「自分が設計開発した機械でトラブル(面倒ごと)が起こらないこと」
です。
つまり、新しいことにチャレンジすればトラブルになるリスクが上がります。
そして、トラブルになれば設計開発した人は評価が下がり左遷されるかもしれない。
悲しいかなそれが現実です。
私は製造業においてその風潮を強く感じています。
自社だけでなく仕事で伺うお客様からも同様の話を聞きます。
製造業はある程度の歴史があります。
いわゆる昭和の会社スタイルが色濃く残る業界です。
そして、会社員は減点方式なんて言われています。目に見えないお客様よりも目の前の上司の機嫌を取ることは必然といえば必然ですね。
まだまだ日本の製造業は、「プロダクトアウト」の業界ということです。
③さいごに
いまだにテレビのニュースで日本の技術力は世界一だとか、日本にはトヨタがあるなんてよく言われています。
しかし、製造業に携わったことがない人にはこの惨状がなかなか伝わりにくいと考えています。
日本の終身雇用とはそもそも技術者を育てるための制度だったといわれています。
つまり、技術者というのは育てるのに長い年月と環境が必要なのです。
一度失われた技術は簡単には戻りません。
日本の技術力がなくならないためにも製造業の現状をこれからもお話していきます。
最後までご覧いただきありがとうございます。
日本の製造業に幸あれ。