悠久の時を生きる仕事
2020年、とある疫病の流行で、地方取材がとても少なかったこと。
その事実から、この仕事の形にどれほど楽しみを抱いていたことかを教えてもらう。
少ないがゆえに味わってしまう、ツツジの花の蜜を口に含むようにじっくりと理解した。
初めまして、と仕事でその日お会いした方の、人生で大事にしてきた言葉に触れられる。その現場に立つことができる。
やっぱり、この仕事がもたらす喜びは果てしない。
写真の仕事は、その状況においてもっとも写真として魅力的に伝えられる情報を捉えること。
上空から現場を見るような客観性と、どの瞬間も一期一会なのだと痛感しながら愛おしむ感情・その二つが同時にきちんとある時、写真はよきものになる。
秋の終わり、取材で訪れたのは滋賀県・信楽の二つの窯元さん。
それぞれの窯元は、規模や生産体制も異なり、現在の形態に着地するまでにも、先祖の代からたくさんのドラマがあった。
今回、これまでで何度目かの「職人」という肩書きを持つ人たちとの出会いの中で、気づいたことがあった。
この肩書きの人たち独特の生きるリズム、、、
それは自然との調和だったり、毎日同じことに手を動かし続けることのみに現れる特有の何か・だろうと感じていたけれど。
何かを受け継ぐというのは、それまでにある技術を続けてきた誰かの(例えば師匠の)時間を受け継ぐことで、その「技術=時間」を受け継いだ身体として磨きをかけながら、
変わり続ける「今」という時代の様式に寄り添う個人のセンスが語られる。
その「現れ」とは、積み重ねられた悠久の時を感じさせる仕事なんだ。
凝縮された時間と鍛錬の集積が、美しく集約されてしまう。
だからこその深淵さに、理解を深めた。
このプロジェクトにお声がけを頂いたstillwaterの皆様の、美しい情熱に触れて幸せだったお仕事。仕事におけるコミュニケーションとは、こんなにも信頼と暖かさとユーモアに溢れうるのかと感動させてもらいました。
*Homeland 公式HP
https://homelandnippon.com/
*stillwater
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