ななし(中年女のエッセイ)

中年の女性です。日常のことを書いています。 とりあえずお読みいただけたらうれしいです。

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マガジン

  • 遠方に住む毒父のために介護施設を探した話

    ゼロからの介護施設探し。介護施設がどんなところか、どんな種類があるのかよくわからないまま大急ぎで探しました。

  • 帰郷までの長い道のり

    50代の私と、80代の親について。

最近の記事

20代の"小娘"が社長を泣かせてしまった話

もう20年以上前のこと。中国の工場から雑貨を輸入し、日本のスーパーやホームセンターに卸す小さな商社に勤めていた。社長は私よりも20歳近く年上の女性。当時、20代の私にとってはもう完全な「大人」というかなんというか、正直なところ何を考えているのかわからないところがあった。 その社長を泣かせてしまった。 小さな小さな会社なので社長との距離が物理的にも精神的にもものすごく近くて、直属の上司=社長のようなものだった。私はまず社長の裏表の激しさに閉口した。 取引先で「あら、社長サ

    • 割引クーポンを使うタイミングを間違えた。後悔はしているが反省はしていない

      割引クーポンが好きだ。割引クーポンを手にしたとき、私の心の中にはもう一人の自分が見える。そいつは割引クーポンを入手できていない。レジで割引クーポンを差し出すとき、私はもう一人の自分に打ち勝ち、優越感を味わう。持てる者と持たざる者を分ける割引クーポン。割引クーポンのそのヒリヒリした感じが大好きだ。 先日、ドラッグストアの割引クーポンが発行されたので、愛用している「スーパーレチノール100マスク」を買いだめした。6袋だ。10%割引きなので、6袋だとなんと420円引き! 缶ビール

      • バッカルがなんだって、歯歯歯(カワイイの正解とはと歯)

        Doveの広告が炎上している。これ。 バッカルコリドー、ご存知でしたか。私は彼らが炎上デビューする前から知ってましたけどね(と古参ぶる)。 いや矯正するにあたって検索しまくったときに知ったわけだけど。やはり知ったら気になるものだね。知らなかったら気にならなかったのに、知ったら私にははっきりバッカルコリドーがあることを知った。ごりごりのバッカルコリダー。ちなみにバッカルファット(ご存知?)もめちゃめちゃある。バッカルコリドー&バッカルファット。大木こだまひびき、オール阪神・

        • 五十知命歯列矯正を始める

          50代で歯列矯正を始めた。前歯だけの「部分矯正」というもの。 もともと歯がすごいコンプレックスだった⋯⋯というわけじゃないが、上の前歯2本が出っ歯ぎみ。 ネットを検索すると、私のようなタイプは結構いるようだ。「強いコンプレックスというわけじゃないが」「すぐに矯正しなきゃならないわけじゃないが」「ものすごく不便を感じているわけじゃないが」という、じゃないほう芸人みたいな、じゃないが出っ歯。気にならないわけじゃないが、他の気になることの対処が忙しくそのまま半世紀。生え変わって

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        • 遠方に住む毒父のために介護施設を探した話
          4本
        • 帰郷までの長い道のり
          7本

        記事

          同窓会幹事さん、お疲れ様です、出欠連絡です

          検索エンジンに「同窓会」と入力すると「行きたくない」とサジェスチョンが出るくらい、同窓会に行くか行かないかは普遍的な問題なのだろう。 学生時代のときの立ち位置(いわゆるスクールカーストってやつ)と、現在の立ち位置(社会人カーストってやつ)が絡み合うから複雑だ。当時の立ち位置が納得できる位置でなければ行きたくないし、当時に納得できても今の位置が納得できなければ行きたくない。いずれにしても、参加者を類推し自分と比較したうえで、容姿の変化も含めてありのままの自分を受け入れるという

          同窓会幹事さん、お疲れ様です、出欠連絡です

          「30代になったら徹夜がキツくなった」って言ったことありませんか?

          先日、同世代(アラフィフ)の知人と「最近、早朝に目が覚めるようになった」「私もぐっすり眠れない。いやだね、もう年だね」なんて話をした。そういや30代になった頃は「30代になったとたん徹夜がキツくなった」と、友人たちとよく言っていた。40代に入ると「30代よりもさらに無理がきかなくなった。徹夜したら1週間引きずる」とかなんとか。節目って結構ある。節目節目で確実に加齢による変化を感じている。 振り返ると、体だけでなく精神的にも節目はあったように思う。それが万人に当てはまるのか、

          「30代になったら徹夜がキツくなった」って言ったことありませんか?

          お菓子をくれなきゃパートを辞めちゃうぞ! 

          100均の店舗は9月からすでにハロウィン仕様になっている。「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ」と、バケモノの仮装した子どもや若者が練り歩くあのイベント。年を追うごとに盛り下がってきている感はあるが、それはさておき「食い物の恨みは恐ろしい」のは万国共通の事実だと思う。 これから書く話は、私が食い物の恨みでパートを辞めたお話。 * 小さな会社で事務のパートをしていた。社長と、私のほかに事務員2人。 社長は無類のスイーツ好きで、ちっちゃな箱にちんまりしか入っていないのに

          お菓子をくれなきゃパートを辞めちゃうぞ! 

          「連れはトイレに行ってます」に私の本性が暴かれた話

          新大阪発、東京行き、東海道新幹線の自由席で。 自分の席の網ポケットだけでなく、隣の席の網ポケットにも飲みかけのペットボトルを入れて、「隣の連れは、いまトイレに行っています」ふうを装って、2席を確保していた女性がいた。 車内は混み合っていて、2列シートはもちろん、3列シートの中央の席も埋まっている。女性だけがゆったりと隣の席に荷物を置いて、足を伸ばして眠っていた。 ずるい、と私は思った。 思ってすぐに、何が? と考え直した。 私がもし立っていたなら、「隣、空いてますか?」

          「連れはトイレに行ってます」に私の本性が暴かれた話

          挑戦に敗れた青春、その思い #挑戦してよかった

          「がんばって」のたった5文字が言えなかった。 吹奏楽コンクールで演奏する自由曲の見せ場となるアルトサックスのソロ。部員の誰が吹くかを決めるオーディションで、顧問の先生はAを選んだ。 どうして? 私だってがんばっているのに。私だってできるのに。 「Aが休んだときのために、もう一人、吹けるように練習しておいて」 要するに補欠だ。私は「自信がないから」と辞退した。嘘だ。本当は吹きたいし、吹ける。オーディションのために練習してきたのだから。でもプライドが許さなかった。別の子が

          挑戦に敗れた青春、その思い #挑戦してよかった

          起きたことについて私はたぶん何もわかっていない

          電車に乗っていたら、白人系の高齢男性に「この、電車は、新宿に、行きます、か」と、たどたどしい日本語で質問された。「ええ、行きますよ」と、親切を装って答えたが、内心「さっき英語でアナウンスがあったと思うけど?」と思った。 それから「慣れない海外で乗り物は結構たいへんだよね」「そういやアジア人ってことで中国語で話しかけられたりしたことがあったな」なんて、自分が海外に行ったときのことに思いをめぐらせて、ハッと気づいた。 白人だからって英語圏出身とは限らない。「非英語圏出身でも簡

          起きたことについて私はたぶん何もわかっていない

          音痴が人前で歌ったら #挑戦してよかった

          私がチャレンジしたこと。幼い頃から「音痴」と言われてきた私が、おつきあいでコーラスサークルに参加してしまい、人前で歌ったこと。 とはいえ、汗水垂らした努力の日々もなければ、天才的な上達も当然なく。週1回の練習を申し訳程度に重ねて、ゆるゆると発表会に臨んでしまった。 会場は地域の福祉作業所。ステージはない。が、まあまあ広い会議室くらいのスペースにパイプ椅子がズラリ。超満員だ。みんなが私たちを凝視している。思わず息を飲んだ。 ピアノの前奏が始まる。 呼吸を合わせて歌い出す。

          音痴が人前で歌ったら #挑戦してよかった

          女と浴衣とSDGs #未来のためにできること

          80になる母が、汗をかきながら16の娘に浴衣を着せている。紺地に涼しげな朝顔柄。 「あんたはこの浴衣、あまり着なかったけど、孫が着てくれてよかったよ」 母は高校を出て上京し、事務をしていた会社で職場結婚。以来、専業主婦として生きてきた。私が生まれた日、姑から「なんだ、女の子か」とガッカリされたらしい。そして、何かといえば「俺が食わせてやってる」という父に耐え、「女は大学に行く必要はない」という父と戦い、私を育ててきた。 私の未来のために、母が必死の思いで行かせてくれた大

          女と浴衣とSDGs #未来のためにできること

          ぼんやりと漂える自分がちょうどいい #デジタルで変わったこと

          フリマアプリでは住所も電話番号も、名前すら知らない相手と品物を送ったり、送られたりできる。あなたは誰? そんなことは関係ない。すごい時代になった。 そういえばこの棚、どこで買ったっけ。購入履歴を検索すると、どうやら500キロ以上も離れた小さな家具店で購入したらしい。へえ、そうなんだ。我がことながら改めて知った。店がどこにあるかなんて何一つ意識せずに、ネットでポチってた。 学生時代の友人は、卒業から数年後に友達申請したSNSでつながっている。お互い何度も引っ越しているから、

          ぼんやりと漂える自分がちょうどいい #デジタルで変わったこと

          物議を醸している「私はなぜ書くのか」コンテスト。批判的な意見も見たけども、なんというか料理と似てる気がする。結局は好みの問題だし他人が何言おうと好きならやめる必要ないし家庭の味が一番という人もいるし。でも店出してバズってタレントシェフになりたいなら映えとかキャラ立ちが必要って話。

          物議を醸している「私はなぜ書くのか」コンテスト。批判的な意見も見たけども、なんというか料理と似てる気がする。結局は好みの問題だし他人が何言おうと好きならやめる必要ないし家庭の味が一番という人もいるし。でも店出してバズってタレントシェフになりたいなら映えとかキャラ立ちが必要って話。

          追い込まれた小田選手の表情から学んだこと

          車いすテニスの小田凱人選手が金メダル獲得。本当に素晴らしい試合でした。 みごと逆転勝利したことにも感動したが、一番心動かされたシーンは、第3セット、ゲームカウント3-5。追い込まれ、多くの人が「負けた」と思った瞬間。それでもあの場面で小田選手は不敵な笑みを浮かべ、観客に「もっと歓声をくれ」とでも言うような煽るパフォーマンスを見せた。あの表情に「世の中にはこんな人がいるのか!」と驚いた。 圧倒的な自信、もちろんそれは日々のたゆまぬ努力に裏打ちされた自信。そして自分を取り巻く

          追い込まれた小田選手の表情から学んだこと

          褒められたいハズレ組 #仕事での気づき

          メルカリで古着が800円で売れた。今日は雨だから発送に行くのは面倒だ⋯⋯と思いつつ、発送しなかったらしなかったでずっと気になってしまうので、結局足元を濡らしながらポストに向かう。メルカリは仕事でもないのに。手数料や送料を引いたら売り上げは500円以下なのに。でも、早く発送すればきっと相手は喜ぶだろう。我ながら簡単にやりがい搾取をされるタイプだと思う。 そう、「やりがい」という言葉に弱い。仕事で褒められたい。認められたい。報われたい。だがメルカリと違って早く発送すれば認められ

          褒められたいハズレ組 #仕事での気づき